魔術の大先生は皆に有意義なアドヴァイスをしてくれて、魔術が改善しました
そして、翌日の放課後、私はクラスの皆を引き連れて魔術師の塔の前に連れて行った。
「皆、打倒A組を達成するために、今日からはこのノルトハイム王国の誇る世界一の魔術師、ヨーゼフ大先生に教わることになりました」
「えっ、ヨーゼフ先生って偏屈じじいとして有名なんじゃ……」
ライナーが余計な一言を呟いた。
「アミや。教育が出来とらんぞ!」
ヨーゼフ先生はそう言うや、ライナーを雷撃で一撃していた。
「ギャーーーー」
ライナーは黒焦げになって倒れ込んだ。
皆ぎょっとしてヨーゼフ先生を見ているんだけど……
「ちょっと先生、やり過ぎでは」
私が注意するが
「ふんっ、あのようなちゃちな雷撃ごとき防げんでどうする」
「いや、普通は無理ですから」
皆がいきなり10メートルくらい後ろにさがっているんですけど、どうするのよ?
「諸君。貴様等が何としてもA組に勝ちたいとアミに泣き込んだと聞いた。しかし、A組は高位貴族が多く、魔力量も多い。普通にやっていては勝てんぞ。それでも勝ちたいのか?」
ヨーゼフ先生は全員を見渡した。
「はい。先生、俺は勝ちたいです」
アーベルが手を上げてくれた。
「俺もです」
「私も」
「俺も」
皆各々声を上げてくれた。
「儂の訓練は厳しいぞ」
「望むところです」
アーベルが大きな声で頷いてくれた。
「そうか。儂は今まで取った弟子の数は少ない。今この国で今は2番目のアミの母親や、帝国の今の皇帝陛下、最近はここのアミだけじゃ。今回はアミに特にお願いされたから仕方なしに残り3週間、貴様等の面倒を見てやる。所詮相手は1年坊主じゃ。アミよりは確実に弱い。
儂の訓練は厳しいが、たった3週間とはいえ、おそらく貴様等の力は飛躍的に増えるじゃろう。最低1勝は出来るようにしてやるから心してかかるが良い」
ヨーゼフ先生はリップサービスかというほどの大口を叩いてくれたけれど……皆一勝出来たら、これは残りの二クラスに勝ったも同然ではないの。本当にそんなこと出来るんだろうか?
私は半信半疑だった。
「では、時間が無い。皆一斉に塔に向けて自分の一番得意な魔術を放ってくれ。詠唱して問題ないから何回もやってくれ」
「じゃあ行きます」
ヨーゼフ先生の声にまずはアーベルが位置についた。
「火の神ヘパイストスよ。我が身に力を貸してくれたまえ。出でよ、ファイアーボール!」
早速アーベルが火魔術を放ってくれた。
ゴルフボールくらいの大きさだ。
でも、これではAクラスのフランツの土魔術にあっさり防がれそうだ。
「よし、向こうで今から100回、死にもの狂いで魔術を放て」
ヨーゼフ先生は指示する。練習したら大きくなるんだろうか?
「次行きます」
ゲルトが出てきた。
「火の神ヘパイストスよ。我が身に力を貸してくれたまえ。出でよ、ファイアーボール!」
ゴルフボール小のファイアーボールが飛んで行った。
「うーむ。その方は水魔術の方が使えるのでは無いか?」
ヨーゼフ先生がゲルトに指摘した。
「えっ、でも先生、俺、水魔術は殆ど出ないんですけど」
「取りあえずやってみるが良い」
「判りました」
ゲルトは深呼吸をした。
「水の神オーケアノスよ。我が身に力を貸してくれたまえ。出でよ、ウォーター!」
ゲルトが詠唱したときだ。ぽつんとちいさな水滴がしたたり落ちた。
「えっ?」
「全然だな」
皆にがっかりされてゲルトは肩を落とした。
「その方、水を頭の中でイメージしとらん。大きな水の玉をイメージしてみろ」
「大きな水の玉ですか」
「そうだ。巨大な水の玉だ」
「巨大なですね」
「両手でつかめないくらいの大きな水の玉じゃぞ」
「判りました」
「よし、もう一度じゃ」
「水の神オーケアノスよ。我が身に力を貸してくれたまえ。出でよ、ウォーター!」
そうしたらどうだろう。
ゲルトが詠唱した途端だ。
両手に抱えられないほど大きさの水の玉が出て来たのだ。
「「「おおおお!」」」
「やりました。先生」
でも、そう叫んだときだ。その水玉が安定を欠いて、ゲルトの上に落ちたのだ。
「ギャッ!」
ゲルトは濡れ鼠になった。
「まだまだじゃ。前に飛ぶようにあちらで練習してこい」
「はい。先生、頑張ります」
ゲルトは喜び勇んで練習に行った。
「ヨーゼフ先生、見ただけでその者の最適の魔術が判るんですね」
私が驚いて確認すると
「ふんっ、儂は世界一の魔術師じゃからの」
鼻をうごめかしてヨーゼフ先生は自慢した。
「先生。俺も見て下さい」
「俺も」
「私もよろしくお願いします」
皆とてもやる気になってヨーゼフ先生は大人気になった。
ヨーゼフ先生は二回に一回は為になるアドヴァイスをしてくれて、その度にその者の魔術が改善された。
これは上手くいけば勝てるかも……私達は希望を持って訓練を始めた。
ここまで読んで頂いて有難うございます
必死に訓練始めるクラスメート。
果たして魔術大会の結果はどうなる。
次回をお楽しみに








