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ダンジョンに行ったらFランクは入れないと言われました

 そして、ダンジョンに行く約束の休みの日が来た。

 私は戦闘服の真っ黒なジャージを着て、部屋を出た。

「アミ、何よ、そのダサい格好は? あなたリック様とデートに行くんでしょ!」

 部屋の前で出会ったビアンカに呆れられたが、

「違うわよ。ダンジョンに潜りに行くだけよ」

「でも、せめてもう少しましな格好でいきなさいよ」

「ダサいって何よ! この服って本当に凄いのよ」

「どこが凄いのよ」

「女を止めたおばあちゃんが着ているみたいじゃない」

「エーレン、何言っているのよ。最近はおばあちゃんももっとおしゃれよ。こんな変な服着ているのはアミくらいよ」

 2人にぼろくそ言われたんだけど……


「何言っているのよ2人とも。この服はね、貴族のドレスくらいの価値があるんだから」

 私が2人に言うと、

「はああああ! どこがよ」

「絶対に嘘でしょ!」

 2人は信じてくれなかった。

「この服には対防毒や対火魔術、対水魔術、対風魔術、対土魔術も完全で、完璧な防御対策が出来ているんだから。金貨10枚以上の価値はあるわ」

 私が自慢げに説明したのに、

「ふーん、全然そうは見えないけれど」

「いろんな対策するならもっとましな服にしなさいよ」

「本当よね」

 2人に散々貶されてしまった。

 でも、黒一色の方がダンジョンでは目立ちにくくて戦いやすいのだ。


「せめてダンジョンの入り口にいくまでは、まともな格好でいきなさいよ」

「この服なら上から着れるんじゃない?」

「こっちの方が良くないからしら?」

「あっ、そうね。その服が良いわ」

 私は私の意志は関係なしに、2人によってジャージの上から水色のワンピースを着せられてしまった。



 寮から出て、学園の門から出たところに馬車溜まりがあった。

 リックはここまで迎えに来てくれると言っていたから、私がキョロキョロしていると

 一台の豪勢な馬車が私の前に止まった。


「えっ?」

「アミ!」

 馬車の扉が開いて、リックが降りて来た。

 リックは白い動きやすそうな服を着ていた。

 でも、服自体は高そうだった。

 エーレンやビアンカの言ったようにあの黒のジャージで来なくて良かったと私はほっとした。

 まあ、このワンピースでもこの豪華な馬車には釣り合わないが、真っ黒のジャージよりはましだろう。


「あれ、アミは今日はおしゃれしてきてくれたんだ。だったら俺ももう少しちゃんとした服を着てくれば良かったかな」

 リックが言いだしてくれたけれど、

「今でも十分に立派な格好じゃない!」

「そうか、これでもダンジョンに潜って汚れても良い格好なんかだが……」

 私とお貴族様では金銭感覚が違うと私ははっきりと思い知ってしまった。



「どうぞ、お姫様」

 おどけてリックが手を差し出してくれた。

「有り難うございます。王子様」

 私はリックの手を取って馬車に乗った。



 馬車はゆっくりと学園を滑り出した。


 馬車からの車窓は珍しくて、

「ねえ、リック、あの人混みは何?」

「ああ、あれは大道芸人がお手玉をしているんだよ」

「あっ、本当だ。じゃあ、あの白い塔は?」

「あれは騎士団の見張り塔だよ」

「なんかものすごく高いのね。あの上に立ったら絶対に遠くまで見れるわよね」

「何だったらまた登に来るか?」

「えっ、良いの? 私でも登れる?」

 私は驚いて聞いていた。


「普通は駄目だけど、つてがあるからなんとかなると思うよ」

「じゃあ、絶対にまた連れてきてね」

 私はリックに頼んでいた。

「任せとけ」

 リックの返事は心強かった。

 上に登ったらどこまで見えるんだろう?

 私は高いところが大好きだったので、登れる時がとても楽しみになった。



 しばらく馬車は走ると今度は王都の郊外に出た。

 のどかな田園風景が延々と続いている。

「あっ、リック牛が一杯いるわ」

「あ、シロツメグサの絨毯だ」

 私はダンジョンの入り口につくまではしゃぎまくったのだ。


 ダンジョンの入り口は大勢の人で賑わっていた。

 さすが王都の傍の大きなダンジョンだ。

 馬車を降りた私達は人混みの中をダンジョンに向かって歩く。

 周りは食べ物屋さんから防具屋、鍛冶屋、ポーション売りまでいろんな店が出ていた。

 弁当屋でお弁当を買って私の収納ボックスに入れる。

 ついでに非常食も買いあさった。

 ストックが少なくなっていたので、丁度良い補充だった。

「これで学園長に怒られて夕食がなくなってもなんとかなるわ」

 私がほっとして言うと

「アミはまだ学園長に怒られるつもりなの?」

 呆れてリックが聞いてくれたけれど、

「私は怒られるつもりはないんだけど、さすがに3日間連続で呼ばれると、次もあるかもと思えてしまうのよ」

 私は不本意ながらそう言わざるを得なかった。

「まあ、大丈夫だとは思うけれど、もし、そうなってまた食事がなくなれば俺に言ってくれればまたおごるよ」

「うーん、でも、あんまりリックに迷惑ばかりかけるのも悪いから」

 私は首を振った。

「いや、別に悪くはないさ。でも、学園長に怒られるつもり満々だな」

「だから私がそのつもり無くても、神様が許してくれないのよ!」

 そうだ。理不尽なことは全部神様のせいにするしかないと私は思っていた。


「神様って、アミは無神教のくせによく言うよ」

「えっ、そんなことないわよ。私も少しは神様を信じているわよ」

「教会に行った事はあるの?」

「それはないけれど」

「ほら」

 リックはそう言って笑ってくれるけれど、お母様は


「牧師は適当なことをて言って下々から金をむしり取る詐欺師だから近付いてはいけないわよ」

 私は釘を刺されているのだ。

 まあ、前世日本人の私も宗教には碌な想い出が無いから良いんだけど。

 あなたの後ろに怨霊がいると言われて一度両親が高額な壺を買わされていた。

 買っても私の病状は何も良くならなかったから絶対に詐欺だったし……

 私の症状が悪化していたときなので、両親はわらにもすがる思いだったのだろう。

 だから私も人の不幸で金儲けをする宗教は大嫌いだった。



 そんな話をしている間にダンジョンの入り口についた。


「嬢ちゃん冒険者カードをだしてくれるかい」

 入り口で騎士が私に指示してきた。

「はい」

 私が冒険者カードを渡すと、

「お嬢ちゃん。Fランクでこの大迷宮に潜るのは無理だぞ」

 騎士がしかめ面で宣言してくれた。


「えっそうなの?」

 私はそんなことを言われたのは初めてだった。故郷のダンジョンは顔パスだったから。


「おい聞いたかよ」

「あの子Fランクだってさ」

「Fランクって冒険者の最下層だろ」

「裏山で薬草摘みが関の山だろうが」

「それがこの大迷宮に潜るなんて10年くらい早いだろう」

 周りの冒険者達が馬鹿にしてくれたんだけど……


「えっ、アミがFランクなんてあり得ないだろう?」

 リックが慌てて、私を見た。

「お兄ちゃん。ここにちゃんとFランクってかかれているぜ」

 騎士は私の冒険者カードを見せてくれた。


「どういう事だ、アミ?」

「だってギルドの人が13歳になるまではFランクしか渡せないって言われていたのよ」

 私が言い訳すると、

「おいおい、そんな規則はどこも無いぜ」

「そうだ。余程山奥のギルドならそうかもしれないが、普通はランクに年齢制限なんてないぞ」

 周りの冒険者達がどっと笑ってくれたのだ。

 変だ。あの堅物のギルドの人が嘘をつくなんて考えられなかった。


「いや、この子はおそらくその辺の冒険者よりも余程強いぞ」

 リックが笑った冒険者を睨み付けた。


「おいおい、Fランクが強い出だと」

「兄ちゃん俺はBランクだぜ。何を言ってくれるんだ」

 むっとした冒険者がリックに突っかかろうとするし、

「兄ちゃんはEランクか」

 どっと周りの冒険者達が笑ってくれたが、

「俺はAランクだけど」

 リックはそう言って冒険者カードを出してくれた。

「何だと、本当か?」

「ああ、この人はAランクだ」

 周りの冒険者はその言葉で躊躇した。

「追々この若さでAランクって、どういう事だ?」

「ありえねえ」

「どこかのお貴族様で金か何か渡してズルしたんじやねえのか?」

 冒険者達が疑い深そうな目でリックを見た。


「おい、冒険者のランクは冒険者ギルドか管理している。めったなことは言うな」

 騎士が皆を見回して注意してくれた。

 さすがに周りの冒険者達が黙り込んだ。

「俺がAだから別にこの子を連れて行っても良いですよね」

「いや、まあ、良いんだけど、大丈夫なのか?」

 騎士は躊躇してくれた。

「大丈夫。この子は下手したらSランクの実力はあるから」

「冒険者ギルドのカードは嘘はつかないぞ」

 後ろから気に食わなさそうな冒険者が叫んでくれたが、リックは無視して私を連れてダンジョンに入ってくれたのだ。


ここまで読んで頂いて有り難うございます。

次はダンジョンでの冒険編です。

何が出てくるか、お楽しみに!

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
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