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距離を置きたいのに、幼馴染が本気を出してきました  作者: いか人参


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28/29

28.卒業パーティー

最終話です!


シュシュアとレヴィアスが婚約してから1年が経ち、晴れて卒業を迎えた二人。共に卒業パーティーに参加していた。


シュシュアはいつもの通り全身を(レヴィアス)色に染められ、彼もまた差し色に同色を使って揃い感を出している。袖口のカフスボタンにはしれっと、彼女の瞳の色である紺碧の宝石を忍ばせていた。



「本当に夢のようだな。こうしてシュシュが俺のパートナーとして隣にいてくれてるなんて。」


いつも以上に煌めいて見える会場を眺めながら、目を細めたレヴィアスが感慨深そうに呟いた。



「その台詞、そっくりそのまま返すよ。私だって夢みたいなんだから。」


すぐ隣の端正な横顔を見上げながら、シュシュアがクスッと微笑んだ。



「その目線でその台詞はズルい…シュシュが俺のことを殺しにかかってきてる…明日の夜まで我慢我慢…」


「余裕のない男は捨てられるぞ。」


無遠慮に声を掛けてきたのはレッカだ。


彼は3学年に入ってから姿を偽ることをやめ、今は美しさの際立った顔面を前髪で隠すことなく、曝け出している。そのせいで周囲にいる女子生徒達のレッカを見る視線が熱かった。


 

「……せめてそこは、嫌われるぞ、だろ。お前の方こそ、早く婚約者を見つけないと伯爵位を継げないないんじゃないか?」


相変わらず辛辣な物言いの友人に、レヴィアスが意趣返しで言い返した。



「フッ。どうやらこの顔は人気のようだからな。相手に不足することはあるまい。現に、俺が養子に入る噂を聞き付けた家から釣書が届いているらしいしな。後は勝手にトーキン伯が選ぶだろう。」


「お前はそういう奴だったよな…………」


レヴィアスが乾いた笑いをこぼした。



「そんなことより、いいのか?良い場所が取れなくなるぞ。」


「…しまった、出遅れた!シュシュ、行こうっ」


「ちょっ…レヴィー!?」


慌てた様子のレヴィアスに腕を掴まれ、若干小走りになりながら会場中央へ移動するシュシュア。


ようやく引っ張られなくなったと思ったら、彼女はダンスフロアの中心、最も目立つ場所に立っていた。

周囲には多くのカップル達が向かい合って演奏の開始を待っている。最初の曲ということもあり人が多く密度が高かったが、気付くとなぜかシュシュア達を取り囲むように距離を取られていた。



「シュシュア」

「!!」


周囲に気を取られていると、レヴィアスに名を呼ばれて目を見開く。彼はシュシュアの前に跪き、真っ直ぐに彼女のことを見上げていたのだ。


(こんなところで…まさか…)


その燃えたぎるように熱い瞳に、シュシュアの心臓の鼓動が煩くなる。この状況で考えられることは一つしかなかった。



「心から愛してる。君がいるだけで俺の世界は嘘みたいに輝いてどうしようもなく心が満たされるんだ。誰よりも何よりも大切な人。どうか俺と結婚して欲しい。」


レヴィアスのよく通る落ち着いた声が会場に響く。


彼の紡いだ言葉がシュシュアの心を満たしていった。これまで感じたことのない充足感に、彼女は胸がいっぱいになりながら瞑目した。


(この世で一番大切な人…)


降り注ぐ幸せを噛み締め、シュシュアは歓喜に溢れる涙を堪えながら笑顔を見せた。



「もちろん喜んで。私もレヴィーのことが大好き。」


言葉にした瞬間、シュシュアの感情の器が決壊した。嬉しく嬉しくて、溢れ出す想いが止まらない。シャンデリアの光を受けて宝石のように煌めく涙が頬を伝う。



「って、もう結婚式は明日なのに。」


へらっと笑いながら慌てて涙を拭おうとしたが、その手はレヴィアスに取られてしまった。代わりに彼の唇が頬をつたい、優しく涙を拭っていく。



「ひゃあっ」

「最高に嬉しい。ああもうほんと大好き。シュシュ、愛してる。」


次の瞬間には強く抱きしめられていた。耳まで真っ赤になった彼女の顔を隠すように、レヴィアスはその腕の中にシュシュアを収める。


会場内から温かな拍手が沸き起こった。

側で見守っていたミュイと、彼女に促されたレッカの拍手がきっかけとなっていたのだ。


大歓声の中曲が始まり、皆二人に温かな眼差しを向けながら音楽に合わせて優雅に踊り始めた。



「俺たちも踊る?俺は別にこのままでも良いんだけどね。むしろこっちの方がいいかも。」


レヴィアスが腕の中で恥ずかしがっているシュシュアに、甘い声で囁いた。



「…おどる!」


シュシュアが上擦った声で答える。

曲が始まり周りがダンスをしている中、フロアど真ん中で抱擁したままというあり得ない事実に気付いたらしい。顔から火が出そうであった。


狼狽えている様子に、レヴィアスがクスッと笑みをこぼす。



「了解、俺のお姫様。」


シュシュアの顎に手を添えて上を向かせると、彼は極上の笑みを浮かべた。そして彼女の腰を抱き、曲の途中だというのに、スマートに誘導してまごつくことなくステップを踏み始める。



「明日の結婚式、楽しみだな。一緒に幸せになろう。」

「うん」


互いに見つめ合う横顔はとても甘やかで尊く、周囲の視線を掻っ攫っていた。


1組また1組と見惚れてステップの足を止める中、二人は彼らだけの世界で幸せに満ちたダンスを楽しんでいたのだった。



最後までお読みいただき本当にありがとうございました!二人のその後もいつか投稿できればと思っていますので、また機会ありましたらよろしくお願いします。


***


良かったらサクッと読める本当にくだらない(笑)短編もぜひ(´∀`)


思ってた婚約破棄イベントとちょっと違うんですけど

婚約者の本音に負けそうになる王子様


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