後編
☆☆☆王都
☆聖女ギルド「エレガント聖女団」
「聖女団の本拠地を移転してみんか?それか聖女二軍をポロ領に派遣してもいい。勿論、名だたるポロ聖女ハウスを使ってもいいぞ」
「オ~ホホホホホ、王都の安全は私たちが守っていますわ。ポロ領に行く理由はございませんわ。
エリザベートさんの聖女団がいたはずですわ・・それに・・」
「あ、もう、結構です」
・・・さすがに、ここは無理だったか。名門聖女団だからな。お高くとまってやがるぜ。
次は、
☆聖女ギルド「飛龍聖女団」
「僕たちは、飛龍と連携して、空の魔物を討伐するのが得意だよ。ポロ領に行く理由がないかな。それに・・・」
「分った。後悔しないでもらいたい」
☆聖女ギルド「サイドポート聖女団」
「君たち、ポロ領に来ないか?」
「え~、あたいたちは、海の魔獣討伐が得意だよ。ここを離れる理由はないよ。それに・・・」
「分った。皆、保守的だな。大もうけ出来るのに、見積もり表を見たかね」
「そうじゃなくて、聖女保護規定があるから、そもそも、いけないよ!」
「何だ、それは?」
聖女保護規定、聖女団の共倒れを防ぐために、その地の聖女団の許可が無ければ、他の聖女団は移転することが出来ないとする規定である。
「そうか。まあ、何とかなるであろう」
☆☆☆一方、エリザベート
エリザベートたちは、森で野営をしていた。
「ウク、やってられませんわ!追放されたのではないですわ。追放してやったのよ!」
「エリザベートの姐御、飲み過ぎ」
「聖女ハウス引き払って、今夜は野宿だぜ。あそこの訓練場膝痛くなるよな」
その時、森の奥から、助けを求める声が聞こえてきた。
「助けて、下さい!あ、そこの聖女の方々!主人の馬車が魔物に襲われています!
魔アナグマキングと、魔クマとキツネ将軍が襲っています」
「う~、あっ、こんな野良聖女だけど~鬱憤晴らしに行くわよ!」
「「「「おりゃーーーー」」」
・・・・・
エリザベートの指示で、的確に魔物を狩る。
「守備陣は、馬車に防壁を!」
「「「ホーリウォール!」」」
「打撃陣は、ブッコミよ!」
「「「おりゃ、メイスの乱れ打ちだ!」」」
「投手陣は、ブッコミ隊を援護よ!」
「「「ホーリーボール!おりゃ、おりゃ」」」
「ギャ」
「グギャ!」
「コーン!」
魔物たちは去って行った。
「有難うございます!あ、素敵な聖女さんたち・・」
馬車から降りてきたのは、美青年だった。
隣領地の領主である。
「ノースアイランド伯爵と申します」
ガチッ
エリザベートの手を握る。
「実は、我が領に聖女ハウスを建てる予定がありまして」
「はあ、もう、私たちは、疲れましたわ。解散してソロの聖女になるか。派遣聖女団として転々とするか・・迷っていますのよ」
「聖女ハウスには温泉をつけます。訓練場は芝生です!広告費、聖女グッズの販売利益、広告など、そちらの納得いく条件で結構です」
「「「「温泉!」」」
「まあ、とにかく、ノースアイランド領に行きますわ・・・ポ」
☆☆☆一方、ポロ伯爵領
「な、何だと、エリザベートの聖女団の収益が、領の収入の半数を占めていたと!」
「だから、帳簿を見ましょうよと言いましたよね」
「エリザベートを呼び・・いや、待て、良い考えがある」
・・・・
ポロン♪ポロン♪
「あ~何か変だぞ~エリザベートの言うことは~~根拠がないぞ~~~ポロ聖女ハウスは快適だ~~~~
ああ、今なら~帰って来てくれれば~ポロ伯爵は考えるかも知れないぞ~~~~話会おう」
吟遊詩人で呼びかけたが、
エリザベートからの返答は無かった。
そもそも声が届いていたか怪しい。
何故なら、エリザベートたちは幸せの絶頂だったからだ。
☆ノースアイランド領、聖女ハウス
「あんた痩せるんだからね!おデブだとキレが悪くなるからね!」
「何だと!」
「痩せたら、男にモテモテになるんだからね!」
「おーし、やせたろ!」
フフフフ、キャ、私はあれから、新団長を、ミラクルピンクブロンドと異名を取る。転生聖女のサリーに任せた。
私は・・・
「愛しのエリザベート、ドレスとジュエリー、受け取ってくれるね」
「キャ、は、はい」
ノースアイランド伯爵の婚約者になりましたわ。
☆☆☆ポロ伯爵領聖女ハウス
「しかし、広告がさっぱり無くなったな。聖女団が撤退してからだな」
「さあ、さあ、最新の下水設備の展示だよ!」
「なあ、これも大事だけど、何故、聖女ハウスでやる必要はある?」
・・・・
「聖女ハウスに仕切りをつける?これで、音響魔道師が来るか?」
結果、予定は埋まらなかった。
しかし、ポロ伯爵は余裕だ。
「ふん。まあ、損失は領民の税金で賄えばいい!それか王都から援助してもらえばいい。
そうだ。メロナ伯爵と会おう。王都から援助金をもらった経緯を教えてもらおう」
・・・・
☆メロナ伯爵領
ボロボロ・・・
「屋敷はやけにぼろいな」
「ようこそ。ポロ伯爵、何の御用ですか?」
「実は、王国から援助してもらわなければならない事態になりそうでして」
・・・・
メロナ伯爵はポロ伯爵領と近い位置にする領地で・・・財政破綻した伯爵家だ。
「忠告します。財政破綻した伯爵家は悲惨ですぞ。領主一家は、年間歳費大金貨3枚(300万円)で暮らせと、王都からお達しが来ています。
援助金を頂きましたが、ヒモ付きです。お金の使い道は、全て王都の役人の指示通りです。
止めた方がいいです。
領民は離れ、更に税収が減り。負の連鎖ですぞ」
「・・・・そんな」
さすがに、ポロ伯爵は絶句した。
「いや、エリザベートは助けてくれる。年間何日か来てもらうように、交渉しよう・・」
「大変です。伯爵!領地に、魔物のスタンピードが発生!、この伯爵館をまっすぐ狙って来ます!」
ドドドドドドドドーーーーーーーー
「ヒィ、助けてくれ!」
以後、伯爵の姿を見た者はいなかった。