襲撃予告
その時、食堂に接地されたテレビにノイズが走る。流れていたニュースが、暗い部屋に座る一人の人物がに切り替わる。一見して、男か女か判断に迷う外見をした人物だった。
メテクトリ:やぁ、諸君。私はタイタニストのメテクトリだ。私達の言葉を君達に届ける為に、放送をジャックさせてもらった。しばし、時間を頂きたい。
マッキナ:またタイタニストかよ。飽きない奴らだね。
メテクトリ:破局噴火が起きて半年が過ぎた。国も国連にも世界を救う力はない。それどころか、一部の人間だけを選び、宇宙へ、地下へ、海の底へと逃げようとしている。地上に残された君達は、それで満足かな?いや、違うはずだ。では、地上に残される我々はどうするべきか……今が戦うべき時だよ。武器を手に取るのだ。特に軍人の諸君。我々は君達に呼びかける。君達が守るべきものは誰だろうか。彼らは我々を見捨てようとしている。我々は見捨てられるに過ぎない人間だろうか?否、そうではない。我々は試されているのだ。誰が本当に生き残るべきなのかを証明して見せなくてはならない。それは率先して地上を去る者達ではないはずだ。我々はタイタニスト。地球と共に生きる者。昨日も、新たに地球から脱出しようとする宇宙船を破壊した。そして今日も、地上から逃げようとする者に裁きを下す。地上こそ神から与えられた楽園である。我々は地上から去るのではなく、適応しなくてはいけないのだ。今日もまた、地上を捨てて逃げようとしている者達がいる。我々は彼らを許しはしない。逃しはしない。今日の攻撃目標は暗き死の底に逃げようとしている、潜水都市ダイバー・ノアだ。ダイバー・ノアに避難している人間達よ、そこから退避することを勧める。我々と共に地上に残るのだ。生き残る機会は平等に与えられるべきものだ。地位や役割で決められるべきではない。それでは皆にとって今日が良い日であらんことを。
メテクトリが映っていた映像から、ニュースに切り替わる。
リーナ:ここが攻撃目標……ついに来ましたね……
アストラ:みすみす逃がしてくれるとはハナから思ってないさ。だから、俺達が防衛部隊として集められた。
マッキナ:リーナ、出航の準備はまだなのか?アイツらが手を出してくる前に逃げちまえば良いじゃないか。
リーナ:今はまだ避難民の誘導中です。全員の非難が完了するまでは出航できません。それが、このダイバー・ノアの建造理由ですから。
アストラ:非難までは後どれくらい掛かる。
リーナ:7割は避難完了です。残りは5万人ほど。少なくとも半日は掛かるかと。
アストラ:襲撃までには間に合わないな。
リーナ:はい。ですから防衛部隊にはタイタニスが現れ次第、迎撃命令が下されるはずです。
リーナ:二人とも今は十分に休息していてください。哨戒機が敵を発見次第、出撃となります。
マッキナ:あーぁ、めんどくせぇな。
アストラ:必要だから、俺達がここに配属されているんだ。やるしかない。
マッキナ:分かってますよ。地上に残っていても、どうせ死ぬんだ。それよりは防衛部隊としてダイバー・ノアに乗りこませてもらった方が賢い選択ですからね。ま、与えられた仕事は、キッチリこなしますよ。気は乗りませんけどね。