人として父として死ぬこと
アストラ機とマクシムス機が対峙する。
マクシムス:別れは済んだか?
アストラ:わざわざ待っててくれるとはな……
マクシムス:すぐに追いかけるさ。その前に貴様と決着をつけたかっただけだ。
マクシムス:我々には待ってる相手がいる。ひと足先にカルカリーナの元に向かっていてくれ。アイツも寂しがっている。
アストラ:そう寂しいことを言うなよ。待っているのは俺だけじゃない。お前もさ……
マクシムス:さて、ケリをつけようかね!
アストラ:リーナ……機体のリミッターを解除する。
リーナ:エンジンの性能以上の機動力を出そうとしては、機体が持ちませんよ……
アストラ:どれくらい持つ。
リーナー:一分くらいです。
アストラ:それだけ持つなら十分だ。機体のダメージもかなり蓄積している。これ以上ダメージを受けられん。
リーナ:分かりました。父さんにお任せします。
アストラ:行くぞ、マクシムス!!
エンジンを全負荷させた状態で、マクシムス機に突撃するアストラ機。
マクシムス:機体の限界以上にスピードを上げたか!!それでは機体が爆発するぞ?それを知りながら捨て身で来るか、アストラ!!
アストラ:こうでもしなきゃ、お前には勝てないからな。それに、頑丈さは俺の取り柄でね。
アストラ:人間には耐えられん機動も、俺になら耐えられる。
マクシムス:バリアは剥がれた。全ての一撃が致命傷だ。怖くはないのかね?
マクシムス機の射撃をかわし、距離を詰めていくアストラ機。
アストラ:俺の分は全て託した。もう失ってこわいものはないさ……
マクシムス:そうか、だが速さだけでは俺には勝てんぞ!!
アストラ:残念だが速さだけではないんでね。覚悟もあるんだよ!!
マクシムス:接近戦で挑むか、良い度胸だ!!
ソニック・リッパーを取り出し、お互いが刃をぶつけ合う。
アストラ:ソニック・リッパーを受け止めたか……
マクシムス:当たり前だ!!この程度で私をやれると思うなよ!!
アストラ:思ってないさ、俺もな。
ソニック・リッパーを手放し、空いた手でマクシムス機の腕を掴むアストラ機。
マクシムス:ソニック・リッパーを捨てただと!?正気かアストラ!!
アストラ:正気だよ。俺に付き合えよ。水底までな……
アストラ機がフルスロットルで、マクシム機を掴んだまま海面に向けて降下していく。
マクシムス:腕を掴んだだと?ちっ……全負荷状態の相手ではパワーが足りんか!!引きずられるっ!!
マクシムス機がマシンガンでアストラ機を狙う。
アストラ機は左手に持っていたライフルを捨てて、マシンガンを持った相手の腕を掴む。
放たれた、弾丸が機体の肩を削り取る。しかしアストラ機を止めるには至らない。
アストラ:ソニック・リッパーが使えんから、マシンガンに切り替えたか。お前の勘も鈍ったな。残念だが、破壊するには間に合わん。
水面に衝突し、そのまま水中に潜っていく両機。
マクシムス:くっ……水中に引きずりこまれたか。機体の水中適正は低いとは言え、浸水までには時間が掛かるぞ。それまでに破壊すれば良いだけだ。貴様の敗北には変わりはない!!
アストラ:お前は言ったじゃないか。限界以上にスピードを上げれば、機体が爆発するとな……
エンジン全負荷状態で、更に海深くへと潜っていく両機。
マクシムス:まさか、オーバーヒートさせて機体を爆発させる気か!!
アストラ:ようやく気がついたか……
マクシムス:一緒に死ぬつもりか!!
アストラ:俺達を待ってる人間が居るんだ。さぁ、一緒に行こうじゃないか。
マクシムス:クソッ、俺が、こんなところで!貴様なんぞにっ!!
アストラ:リーナ……俺の答えだ。人として、父親として死ぬことに後悔はない。託せることを幸せに思う──
アストラ機が爆発した後、巻き込まれたマクシムス機も誘爆する。