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短編大作選

せんせいとせいと

ぼくは、やきゅう部の2ねんせい。


ひとりの女性に、一目ぼれしてしまった。


同じクラスのせいと、ではない。


ありふれているが、担任のせんせいに。


まだ、あって10日しかたってない。


でも、すきなものはすきなのだ。


あの、ばつぐんのスタイル。


あの、やさしい空気感。


さいこうとしか、言いようがない。


せんせいとせいとは、恋愛してもいい。


そう思う。


だから、ぼくは決めている。


いつか、せんせいに告白すると。






今は、セミが鳴くきせつだ。


2ねん1くみの担任である、じゅんこはいつも、じぶんで弁当をつくる。


それをひる休みに、同僚のあやかと、話をしながら食べている。


「じゅんこって、モテるでしょ?」


「そんなことないよ。あやかの方がモテるわよ」


せんせいの、ほめ合いがはじまった。


「だって、じゅんこ可愛いもん」


「いやいや、あやかには負けるよ」


二人の話は、とまらない。


一秒たりとも、静寂はない。


するとあやかが、定番のしつもんを投げ掛けた。


「じゅんこって、彼氏いるの?」


「いるよ」


あやかは、とてもおどろいた様子だった。


「このがっこうに、いる人なの?」


あやかは、おそるおそる聞く。


「そうよ」


「えっ、うそ」


あやかの驚きが、とまらない。


口を閉じることも、できないくらいに。


「だれだと思う?」


「けんとうもつかないよ」


すこし間をあけて、じゅんこは、口を開いた。


「実はわたし、せいとと付き合ってるの」


「・・・・・・」


あやかは、驚きすぎて、ことばが出なかった。


しばらく、沈黙がつづいた。


そして、じゅんこはゆっくり、口をひらいた。


「彼、やきゅう部で、ものすごくがんばってるのよ。だから、好きになったの」


「そうなんだね・・・・・・」


このあと、二人の会話がなくなった。


言うまでもなく。






付き合ってから、一年後の七月。


板橋純子は、結婚することとなった。


だが、同僚の橘綾香は、素直に喜べなかった。


なぜなら、綾香も、その男性のことが好きだったからだ。


綾香は、その男性のことをずっと片想いしていた。


仕事を始めて、すぐの段階から。


会った瞬間に、恋が降ってきた。


純子から、その男性と付き合っていると聞いた時、綾香は驚いた。


何であんな女と、男性が付き合っているんだろう。


そう、綾香は思ったりした。


ずっと、その男性を奪ってやると思っていた。


なのに、奪うことは、叶わなかった。


ちなみに、その男性というのは、同僚で野球部顧問の、増田聖人である。






ぼくは、告白せずに失恋した。


すきな人が、結婚というものをしたのだ。


他にパートナーがいるなら、仕方がないことだ。


あいてのせんせいは、よくしらない。


でも、かなりのイケメンというウワサがある。


イケメンのせんせいに、せいとがかなうわけがない。


恋はおわった。


ぼくの恋は、エンディングをむかえた。

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