なんとか勝てた
続きです
見事ゴブリンを倒したアキラはボロボロの状態で皆が待っているところに戻ってきた。
「皆。何とか勝ったぞ。」
勝ったことを皆に報告した。するとブライドが
「ボロボロじゃないか。その状態でよく勝ったな。早く帰って治療を受けてもらえ。」
そしてギルドに帰ろうとしたときだった。洞窟の真上の空に反応があった。
「あいつ人間のくせになかなかやるではないか。我が用意したゴブリンを倒すとは、これはあの方に報告をせねば。」
「一体誰だ?」
アキラが見ようとしたときにはもうすでにいなくなっていた。それが誰だったのか今のアキラには分からなかった。
ギルドに戻ってきたアキラたちは、負傷者が多くいる為治療を受けていた。アキラもその内の1人だ。治療を受けていたアキラが
「そういえばエリザさん。倒したゴブリンここに出しますね。」
と言うとエリザは
「え?出すってどこから出すんですか?ってえー!何ですかこれは一体⁉︎」
そうなのだ。実はアキラは倒したゴブリンをステータスの収納に入れていて今出したのだ。
「収納バックみたいなものに入れていたんです。これで依頼達成ですよね。」
依頼の途中だったから丁度いいと思ったアキラ。
「はい。依頼も達成ですしこの数だとかなりの値段になりますよ。」
と言うので
「それは討伐に参加した冒険者で分配します。」
とエリザと話していたら
「ギルドからも特別報酬を出そう。ゴブリンの集団を全滅させてくれたからな。」
ギルド長がそう言いながら出てきた。
「アキラ。ブライド。奥で詳しい話を聞かせてくれ。
「分かった。治療が終わったらすぐにいく。」
と言ってギルド長、ブライドとゴブリン討伐について詳しく話した。
「ゴブリンの強さは普通の強さではなかった。」
アキラが言うと
「あぁ。かなり強かった。ゴブリンたちで連携をされたら俺でも苦戦した。」
とブライドもそれに賛同した。するとギルド長が
「最近この森一帯でどうも魔物が活性化している。少し調査した方がいいかもしれないな。」
ゴブリンについて大方話し合えた後アキラの力についての話しになった。
「アキラ。お前にはスキルは1つもなかったはずだがなぜゴブリンの人数、強さが事細かに分かったのか教えてくれるか?」
「それは俺も気になっていた。」
アキラは自分のスキルについて話し始めた。実はこの世界に召喚されたことも。他の人には決して話さないようにと伝えた上で。全部を伝えた後でギルド長が
「そうだったのか。レベルが上がってスキルが増えたのか。それも強力なスキル。分かった。このことを俺の口から誰かに喋ることはない。」
「あぁ。俺もだ。」
2人ともアキラの正体が分かっても変わらず接してくれて、秘密も守ってくれる。この世界に来てから本当に信頼できる人ができて良かったと思うアキラだった。
その日は宿屋に戻った。ゴブリン討伐で疲れたしエミリーのことも気になっていた。エミリーは他の冒険者が送り届けてくれた。中に入ると皆が出迎えてくれた。まずエミリーの母親の女将さんが
「ありがとうアキラ。娘をエミリーを助けてくれて。」
女将さんが感謝を伝えてくれた。女手一つで育ててきた娘だから余計に心配だったのだろう。
「エミリーは無事ですか?」
聞くと
「あぁ。今はぐっすり眠ってるよ。明日になれば目を覚ますだろうと言われたよ。」
良かった。本当に助けれて良かったとアキラは思った。
宿屋で食事をしている人たちも
「よくやったなアキラ。よく看板娘のエミリーちゃんを助けてくれた。」
と労いの言葉をかけてくれた。
「今日は娘を助けてくれたからお礼に私の奢りだよ!」
と言うのでその日は夜まで飲み明かした。
昨夜、深夜まで飲んでいたので昼ぐらいになってようやく目を覚ました。下に降りると
「アキラ君。おはよう。」
とエミリーが挨拶をしてきた。目を覚ましたみたいですっかり元気そうだ。
「おはよう。エミリー。って言ってももう昼だけどな。元気そうでよかったよ。」
本当に助けられて良かったと思うアキラ。
「アキラ君がゴブリンに連れ去られている私を見つけてくれて助けてくれたって聞いたんだ。本当にありがとう。」
とエミリーはアキラに感謝を伝えてくれた。心なしかアキラを見る目がいつもと違う気がする。
「いや、俺だけの力じゃなくて他の冒険者が力を貸してくれたおかげだよ。」
「それでもだよ。本当にありがとう。助けてくれたお礼をしたいんだけど、明日一緒に出かけない?」
これは所謂デートに誘われているのだろうか。アキラは今まで女の子とろくに喋ったことなどなかった。この世界に来てから変わったとはいえデートに誘われるなんて想像もしてなかった。こんな可愛い子から誘われたら断る理由なんてない。
「いいよ。明日一緒に出かけよう。」
と答えるとエミリーは嬉しそうにして
「本当?絶対だよ。」
と答えた。初めて女の子とデートの約束をした。もしかしたら好かれているかもしれないと思ってしまう。明日が早く来ないかなと思ってしまうアキラだった。
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