安心
続きです。
2回戦が始まった。
「早速使ってみるか。スキル速度強化大。」
アキラに教えてもらったスキルを使うようだ。
「よし。いくぞ!」
リリアーナがすごいスピードで攻撃を仕掛ける。あまりの速さに防御が追いつかずにまともに攻撃を受けてしまう。
「ぐっ!」
それに構わず次々に素早い攻撃をする。アキラは何も出来ずにいた。流石にこちらもスキルを使わないと勝ち目がない。
「スキル疾走×2。」
これでリリアーナよりも速くなった。アキラはリリアーナの周りを走り回る。
「何⁉︎スピードが上がった⁉︎」
リリアーナも驚いている。さっきまで攻撃が決まっていると思ったら急にスピードを上げて全然当たらなくなったからだ。アキラは隙を見て攻撃を仕掛けていく。
「くっ!全然見えない。」
目にも止まらぬ速さで少しずつ攻撃をしていく。ダメージが溜まっていっているのか徐々に攻撃力も速さも落ちてしまっている。アキラはトップスピードになり攻撃の回数も増えて最後はリリアーナの首元に剣を突き刺した。
「まだやるか?」
リリアーナはもう無理だと思い
「降参だ。」
と言い負けを認めた。リリアーナは負けはしたがアキラとここまで戦えるようになった。修行次第でまだまだ強くなれる。
「どうだった?戦ってみて。」
リリアーナに聞いてみた。すると信じられないというような反応を見せた。
「なんか私が私じゃないみたいだ。今までの私だったらここまで戦うなんて出来なかっただろう。ありがとう。アキラ。」
と素直に感謝の気持ちを述べた。
「それで何でこんなことが出来るんだ?」
リリアーナが聞いてきた。アキラはリリアーナにだったらいいかと思い話し始めた。自分は異世界から来たこと、そのせいでステータス表示というスキルを手に入れたこと、そのスキルは倒した相手のステータスを奪い取れることを話した。それを聞いたリリアーナは妙に納得したような表情をした。
「異世界から勇者を召喚したという話は聞いていた。その勇者はこの世界の人間よりも遥かに強いという。まさかそれがアキラだったなんて夢にも思わなかった。道理でとんでもない強さのはずだ。」
リリアーナの耳にも勇者召喚の話は入っていたようだ。それがアキラだと思わなかったのだろう。だがアキラの強さが異常だということは思っていたようだ。
「アキラに強くしてもらって以前戦った時よりかは戦えるようになったがそれでもアキラには遠く及ばなかった。それにまだ本気を出していないようにも見える。」
それにも気づいたようだ。もちろんアキラは手を抜いているわけではない。だがスキルは疾走しか使わなかった。今までたくさんのスキルを手に入れているので使えるのだが今回は使わないでいた。リリアーナはそれに気づいていた。ステータスを上げたからこそ分かったことだろう。
「俺に本気を出させるのはまだまだ先になるだろうな。だが修行次第でまだまだ強くなれる。上位の魔族にも勝てるぐらいにはなれるだろう。」
それを聞いたリリアーナは嬉しそうにしていた。
「本当か⁉︎私があんなに強かった魔族に勝てるようになるのか。」
ダンジョンで力の差がありすぎた魔族に本当に勝てるのかと。
「あぁ。これから修行を怠らないことだな。」
「この街を守れるぐらいに強くなってみせる。」
良かった。さっきまでの意気消沈した姿なんか感じさせないぐらい元気な姿を見せていた。リリアーナはこうでなくてはな。リリアーナがいればアンドグラムも安泰だろう。この街は彼女が守ってくれる。これでアキラは安心して次の街グラスターに行ける。
読んでいただきありがとうございました。