手合わせ
続きです。
「リリアーナ。今から時間あるか?少しやってみたいことがあるんだ。」
リリアーナは少し疑問に思いながらも
「あぁ。時間ならあるがどうしたんだ?」
と答えた。アキラはそれならと思い、
「ちょっと来てほしい所があるんだ。付いてきてくれるか。」
「あぁ。分かった。」
と言って2人である場所に向かった。2人が向かった先は
「ここはギルド裏の訓練場じゃないか。」
そうアキラが連れてきたのは2人が初めて会って戦った訓練場だ。
「どうしてここに連れてきたんだ?」
リリアーナは疑問を呈した。どうして自分をここに連れてきたんだと思っているんだろう。
「その質問に答える前に一ついいか?」
と前置きしつつ
「今からここですることは誰にも言わないって約束できるか?」
と聞く。リリアーナは何でそんなことを聞くのかと思ったが
「何でそんなことを聞くのか分からないけどアキラがそういうんだったら誰にも言わないよ。」
と言った。アキラはそれを聞くとステータス表示を使い、今日魔族から奪っておいたステータスをリリアーナに分けた。能力値は魔族と大差ないぐらいにまで上げてスキルは攻撃力大、速度強化大、身体能力強化大を分けてあげた。
「取り敢えず何も聞かずに俺と手合わせをしてくれないか。」
と言う。アキラと力の差が大きすぎると思っているリリアーナは断るように言った。
「いやいや、アキラと手合わせなんかしても勝負にならないだろう。」
実際に力の差を見せつけられたリリアーナはやっても無駄だという。アキラはなんとか手合わせをしてもらおうと説得を試みる。
「そこを何とか騙されたと思ってやってみてくれないだろうか。頼むよ。」
しつこく言っているとやがて根負けしたのか
「分かった。アキラがそこまで言うんだったらやってみるよ。手合わせをお願いします。」
手合わせをしてくれることになった。両方とも剣を取り出して
「じゃあいくぞ。」
「ああ。」
戦いが始まった。リリアーナが真正面から剣で攻撃した。前のリリアーナからは想像できないような速い攻撃だったのでステータスを上げたのを知っているアキラでも驚いた。だがアキラはこれを剣でなんなく防ぐ。攻撃をした当の本人も驚いていた。
「何だ。このスピードは。それにこの攻撃力。」
この強さは自分では信じられないという様子だった。
「これで攻撃は終わりか!」
アキラがそう言うとリリアーナは
「まだまだ!」
と言って攻撃を再開させた。次々に素早い攻撃を繰り出すリリアーナ。アキラはその全てを防いでいるが気を抜いたら一瞬でやられてしまう。アキラが反撃に出る。攻撃を受け流すとともにカウンターを浴びせる。アキラも良い攻撃だと思ったがこれはリリアーナに防がれてしまった。両者の凄まじい攻撃で息つく暇もない。リリアーナは何かおかしいと思いアキラに尋ねた。
「私がアキラ相手にここまで戦えるなんて何かおかしくないか。私に何かしたのか?」
流石に変だと気づいたようだ。アキラはスキルこそ使ってないが特別手を抜いているわけではない。
「リリアーナのステータスを全体的に上げたんだ。それで魔族にも引けを取らないぐらい強くなったはずだ。」
それを聞いてリリアーナは驚いた。
「そんなことができるのか。道理で戦いが始まってから力が湧き上がってくるのを感じたわけだ。」
以前とは何か違うことに気づいていたようだ。
「スキルも攻撃力大、速度強化大、身体能力強化大と増やしておいた。試してくれないか。」
スキルは持っているだけでは使うことはできない。どんなスキルを持っているか鑑定をしてもらって確かめて始めて使えるようになる。練習をすることによって同じスキルでも熟練度が上がるとより強力になる。
「何⁉︎スキルを増やすこともできるのか。」
普通はスキルを増やすことが出来ないのにそんなことも出来るのかと驚いていた。」
「まぁ、詳しい話しは後で話す。2回戦をしよう。」
と言って2回戦が始まった。
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