討伐
続きです。
ギルド長との話し合いは終わり早速魔族を見つけに街に繰り出すアキラ。探知をしつつ先程怪しい反応があった所も含めてもう一度街全体を見て回った。ステータス表示も使用しながら魔族を探した。するとおよそ10体程の魔族が潜んでいることが分かった。その魔族のステータスには擬態状態だとでていた。アズキエルの情報通り人間の姿になっていたようだ。擬態の精度は素晴らしくこれでは気づかないだろう。ステータスも並の魔族よりは数値が高かった。魔族にバレないようにスキル隠密を使いながら近づき1体ずつ始末していく。不意打ちだったこともあってか1撃で倒すことができた。すると流石に魔族たちも気づいたようで
「何⁉︎誰か1撃でやられたぞ。」
と通信で話していた。もちろんこの通信もアキラには筒抜けである。魔族たちが動揺しているうちに転移で次の魔族のところにいきまた1撃で仕留める。
「ひとまず全員集合するぞ。」
魔族が集まるようだ。街に被害がでてはいけないので集まる前に次々に倒していき全員を倒し切った。
「討伐完了」
魔族の死体が転がっていたら皆驚くので収納ボックスに入れておく。アキラは報告をしにギルドに向かった。
ギルド長室で潜入している魔族の討伐成功を告げる。
「おお。良くやってくれた。俺たちだけでは対処できなかった。アキラ。本当にありがとう。」
とアキラに感謝の気持ちを述べた。アンドグラムの冒険者たちでは魔族にはきっと手も足もでないだろう。アキラがいてくれて良かったと思っているようだ。
「それで次はどこに向かうつもりだ。」
と次の行き先を問われると
「取り敢えずグラスターに行こうと思う。」
アズキエルが持っている情報はこの国に潜伏している魔族がどの街にいるのかが分かるものだった。グラスターに魔族が潜伏している可能性は極めて高い。
「グラスターか。そこは鍛冶場の街だな。」
「ん?鍛冶場の街?」
とアキラが言葉を繰り返すとギルド長が答えた。
「あぁ。この国で一番量が多くて質の良い武器や防具が揃っている。良い武器を求めるならこの国に住んでいる人であれば遠くてもグラスターに行くほどだ。」
「へー。そんな街があったのか。」
アキラに防具は必要ないが武器は強い方がいい。今の武器でも十分強いがもしかしたらもっと良い武器があるかもしれない。
「それでいつ出発するつもりだ。」
「明日にでも発つつもりだ。」
そんなに長居するつもりもない。それにいつ魔族が総攻撃をしてくるか分からない。早めに行動しておいた方がいい。
「そうか。こちらに出来ることがあれば何でも言ってくれ。できることがあればする。
「その時は頼む。」
と言ってギルドを後にした。
宿屋に向かう途中リリアーナを見かけた。すっかり意気消沈していた。アキラはリリアーナを励ます目的も含めて声を掛けた。
「リリアーナ。大丈夫か?」
リリアーナは呼ばれた方に顔を向ける。
「何だ。アキラか。魔族はどうなった?」
と聞いてきた。リリアーナも気になっていたようだ。
「1人残らず倒してきたよ。もう魔族は潜んでいない。」
と告げる。それを聞くとホッとした表情になった。
「良かった。ずっと気になっていた。ありがとう。アキラ。」
の素直に感謝の気持ちを述べた。
「済まなかった。アキラ。私はまだまだ弱い。今日だってアキラの足を引っ張ってばかりだった。私が協力したいと言っておきながら情けない。」
やはり今日のことを気にしているようだった。リリアーナは今までこんなことはなかったんだろう。ギルドのトップにいて誰からも信頼されていた彼女がここまで弱るなんて誰も想像できないだろう。アキラはどうしたもんかと頭を悩ませているとふとある考えが頭をよぎった。一瞬いいんだろうかと思ったがリリアーナであれば心配ないだろうと思い話してみることにした。
「リリアーナ。今から時間あるか?少しやってみたいことがあるんだ。」
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