潜入
続きです。
「これでもう逃げられないな。知っていることを洗いざらい吐いてもらうぞ。」
アズキエルをスキル捕縛で捕らえることに成功した。
「くそ。なんだこれは。全然動けないぞ。」
アズキエルは何とか抜け出そうとしているが動いてすらいない。
「逃げようとしているようだが無駄だ。手足1本も動かせないはずだ。」
「こんなスキルも持っているなんてお前は一体いくつのスキルを持っているんだ。」
魔族は人間の持っている最大スキルよりも多いがアキラの使っているスキルの数が明らかにそれよりも多いので不思議に思ったようだ。
「そんなことはお前は知らなくてもいいことだ。さっさと知っている情報を話せ。殺されたくなければな。」
魔族は基本的に仲間意識というものがあまりない。だから自分が殺されそうになったら何でも話すものだとアキラは思っていたのだがアズキエルはそうではなかった。
「俺は情報なんて何も知らない。殺すんならさっさと殺せ。」
と何も知らないと言ったのだ。自分を殺したら情報が分からないから殺せないと思っているのかもしれない。
「分かった。この中にでも入っておけ。」
「ま、待て!」
とアキラは言い収納ボックスの中に入れた。アキラは魔族を入れておける魔族専用の収納ボックスというものを作った。ここに入れておけばその魔族が持っている記憶を知ることが出来る。確かにアズキエルが言った通り知っている情報は少なかったがそれでも少しはあった。取り敢えずギルド長に報告をしようと思い転移を使いギルドに戻った。ギルドに戻るとリリアーナが放心状態でいた。
「リリアーナ。ただいま。」
そんな状態のリリアーナに声をかける。するとすぐに顔を上げてアキラを心配そうにして見ていた。周りの目も気にせず
「アキラ。大丈夫だったのか。」
と聞いてきた。
「すまない。私は全く役には立たなかったな。」
と何も出来なかった自分を責めていた。仕方がない。魔族と対峙すれば誰だってそうなるだろう。
「リリアーナ。ここじゃ周りの目もあるから移動するぞ。ギルド長室だ。」
と言って2人でギルド長に向かった。
「それで何があったのか話してくれるか。」
ギルド長に起こったことを話し始めた。人間が誰も入って来れないダンジョンの奥で魔族たちが魔物を使い力を付けていることを。
「ということはその魔族はとんでもない強さだったらだろうな。リリアーナがここまで弱っている姿を見るのは初めてだ。ギルドのみんなもびっくりしていた。」
ギルド長もリリアーナを見て驚いていたようだ。ギルドで一番強いので弱っている姿を見せることはないだろう。そのリリアーナがこんなになっているのだから相当な強さだと推測出来る。それからアズキエルの記憶から得た情報を話し始める。
「これはその倒した魔族から得た情報なのだがアンドグラムに人間に擬態した魔族が潜んでいるらしい。」
見た目は人間とほぼ一緒にしているらしいので見分けるのは困難だという。魔力反応も人間に似せているそうだ。アキラが街で気になる反応をちらほら見つけていたがそれが恐らく全て魔族だ。
「そんな⁉︎俺は全然気づかなかったぞ。そんなに魔族か入り込んでいるのか。」
ギルド長も決して弱い方ではないのだがアキラでも気づかなかったぐらいの擬態なのでギルド長が気づかないのもしょうがない。
「あぁ。幸い魔族たちにまだこちらは気付かれていないのでこの街に被害が出ないように確実に1体ずつ仕留める必要がある。俺がやるから皆には知らせずにいつも通りしていてくれ。」
アキラがそう言うと納得した表情で
「アキラなら大丈夫だろう。色々とすまない。よろしく頼む。」
こうしてアキラはアンドグラムでの魔族狩りを使ってすることになった。
読んでいただきありがとうございました。