やはりお前だったか
続きです。
アキラはリリアーナと一緒に中に入った。そこにいたのはボスである。オークキングではなかった。
「やはりお前だったか。アズキエル。」
そこにいたのはアズキエルと他の魔族が数体いた。実は少し前からアキラの探知にアズキエルたちの反応があったのでボス部屋にいることは分かっていた。
「久しぶりだな。人間。」
周りを見てみるとオークキングの死体がころがっていた。
「一体ここで何をしていたんだ。」
アズキエルに聞く。
「お前のせいで俺たちの計画が潰された。今のままではお前には勝てない。そこで前回はここの魔物を強力にしようとしていた。その魔物を俺たち魔族が倒すことによってさらにレベルを上げて強くなろうという魂胆だ。」
確かにここにいる魔族はアズキエル含めてかなり強くなっているように見えた。王都を襲撃していた魔族よりも強い。ここで相当修行していたようだ。リリアーナではすぐに殺されてしまう。
「リリアーナはすぐに部屋の外に出るんだ!」
リリアーナを守りながらでは流石のアキラもきついのでそう呼びかけた。するとリリアーナは
「あ…あ…。」
と声も出せずに震えていた。力の差が歴然なので動けないでいたようだ。
「スキル転移。」
転移スキルを使いギルドに送りすぐにボス部屋に戻った。これで何も気にせず戦える。
「覚悟はいいか。」
アズキエル達を見て臨戦態勢を取るアキラ。アズキエルもそれに応えるように
「今度はそう簡単には行かないぞ。行け。お前たち」
と手下に戦うように命じるアズキエル。アキラは武器強化、身体能力強化のスキルを使い魔族5体に攻撃を仕掛けた。5体同時に素早い斬撃をする。魔族達はアキラの速さに追いつけないのか防御も取れずに攻撃を受けた。王都での戦いでかなり強くなったアキラはこの2つのスキルだけでも魔族と戦えている。
「アズキエル様が警戒するはずだ。ここまで強くなった我々より強いとは。だが戦いまだまだ始まったばかりだ!」
と言い5体で連携をして攻撃をしてきた。アキラはびっくりした。今まで魔族が数体で攻撃をしてきたことはあるが基本は単独行動を好む傾向があるので1体ずつ相手をしてきた。ここまでの連携してくるのは初めてだ。
「くそ。スキル疾走!」
疾走を使い何とか攻撃を回避しつつスキルステータス表示を使い少しずつステータスを下げていく。王都にいる1ヶ月の間でアキラは戦いながらでもステータス表示のスキルを使えるようにしていた。以前までは集中力がいるので戦闘中は難しかったが今では楽に出来る。
「あれ。こいつのスピードと攻撃力がどんどん上がっているのは何故だ。」
魔族も何か異変に気づいたようだがもう遅い。いくら魔族で5体もいようと下がりきったステータスではアキラの敵ではない。5体連続で斬撃を繰り出し倒した。
「後はお前だけだ。アズキエル。」
圧倒的強さで魔族を倒したアキラに驚いていた。
「なんだ。この強さは。以前俺と戦ったときよりも数段強くなっている。」
「俺は戦えば戦うほど強くなるんだ。覚悟しろ。アズキエル。」
アキラがそう言うと動揺はしていながらも冷静でいた。
「また出直しだ。今回はいけると思ったが想像以上に強いからな。じゃあまたな。」
とまた転移で逃げるつもりのようだ。逃げる術があるから冷静でいられたようだ。だがアキラは2回も逃すほど馬鹿ではない。
「そうはさせるか!スキル捕縛!」
スキルを使いアズキエルを縛り上げる。このスキルを使えば身動きを取れないうえにスキルも一切使えないのでアズキエルでさえ逃げることができない。
「これでもう逃げられないな。知っていることを洗いざらい吐いてもらうぞ。」
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