久しぶりの再会
続きです。
「ランクがSになったことで立ち入り禁止の場所に行けたりいろんな制約がなくなります。それからランクSだけ他の国に行っても同じランクSとして扱われます。」
それはかなり便利だ。これからアキラは世界中を見て回らなければならない。アンベッカム王国だけではなく国を出て他の国に行かなければならない。女王が話を通してくれているだろうがアキラ自身もそういう制約がないほうが動きやすいだろう。
「Sランク冒険者が誕生したのでギルド長に報告してきます。」
程なくしてクリスがギルド長を連れて戻ってきた。
「アキラ。来るのが早かったな。お前がくるのはザニーグ冒険者のギルド長から聞いていた。」
ギルド長が話していたようだ。来るのが早かったのはアキラが転移を使ったからだろう。
「お前に話すことがあるからギルド長室まで一緒に来てくれ。」
2人はギルド長室で話しをした。
「まずはSランクギルドカードだ。」
新しいギルドカードを渡された。今までのギルドカードとは全然違いかなり豪華になっていた。
「魔族の話は聞いていたからアキラがダンジョンをクリアしたことはさほど驚いていない。魔族を倒せるのだからダンジョンぐらい楽にクリア出来るだろう。」
「いや、それでもぎりぎりだったよ。負けててもおかしくない戦いだった。」
ダンジョンのボスのオークキングはかなり強かった。楽勝ではなかったのだ。
「そうだったのか。それでも勝つなんて流石だな。それでは本題に入ろう。ここアンドグラムに魔族がいたのは本当なのか?」
ギルド長はそう聞いてきた。これも聞いたのだろう。アキラは答えた。
「ああ。本当だ。最後のダンジョンのボスの部屋に潜んでいた。」
「そんなところに潜んでいたのか。だったら気づかなくて当然だな。アキラ以外は誰もボスの部屋までたどり着けないのだから。」
ギルド長はそう答えた。ボスの部屋にもたどり着けないのだという。
「リリアーナでも無理なのか。このギルドで一番強いんだろう。」
アキラは聞くと
「ああ。無理だな。いくらリリアーナでも第3のダンジョンは中盤辺りまでしか進めないそうだ。」
このギルドで一番強いのだからこの世界の基準でいっても相当な強さのはずだがそれでもクリアまでは程遠い。魔族の強さは最低でもボスのオークキングのレベルなので魔族には勝てるわけがない。
「俺の勘だがまだ魔族が住み着いていると思ってな。それで調査に来たんだ。」
アキラがそう言うとギルド長は
「何⁉︎そうなのか?俺は全然気付いていないのだが。」
と少し驚いたような顔をした。
「まぁ。いないかもしれないが一応な。」
アキラもまだ確実にいるとは思っていない。だが一度いたのだからいる可能性もあると思う。それに一度見られているから戻ることはないだろうと思わせて戻っている可能性もある。
「私に出来ることがあれば何でもしよう。何でも言ってくれ。」
ギルド長がそう言ってくれた。
「ありがとう。その時は頼らせてもらう。」
アキラはそう言うとギルドを出て早速調査に向かった。
まずは何処から見ていこうかと思いながら歩いていると見知った顔を見つけて話しかけた。
「よお!久しぶりだな。リリアーナ。」
するとリリアーナはその声に反応し振り返り
「アキラじゃないか。久しぶりだな。」
と挨拶を返すと少し近づき周りに聞こえないように
「魔族が王都に攻めてきたそうじゃないか。大丈夫だったのか?」
と聞いてきた。リリアーナにはそのことは聞かされているようだ。高ランク冒険者には話しているらしい。
「あぁ。かなりきつかったが何とか倒すことが出来たよ。」
そう言うとリリアーナは
「魔族を倒すなんて驚いたな。だがアキラの強さだったらそれも当然か。私よりも遥かに強いからな。」
と最初は魔族を倒したことを驚いているようだったがアキラの強さであれば当然かと納得しているように見えた。
「それで今は何をしていたんだ?」
読んでいただきありがとうございました。