パーティー
続きです。
エミリーがアキラの部屋に入ってきた。
「突然ごめんね。」
とエミリーが言うのでアキラは
「ううん。どうしたの。」
と返した。すると突然泣き出してしまった。
「ど、どうしたの突然?」
とアキラは急に泣き出してしまったエミリーに困惑していた。アキラは自分が何かしてしまったのかと焦っているとエミリーが
「ううん。違うの。アキラくんが悪いわけじゃないの。」
と言うので何が違うのかと聞くと、
「アキラくんが無事に帰ってきて本当によかった。すごく心配したんだから。」
どうやらエミリーに相当心配をさせていたらしい。魔族にたった1人で戦いを挑んでいったアキラが大丈夫なのか不安だったようだ。エミリーはアキラがどれだけ強いか間近で見て知っているはずだがそれでもアキラが無事で帰ってきて良かったと心の底から思っているようだ。
「ごめんね。心配かけて。けど俺は大丈夫だから。」
エミリーにそう声をかけた。
「うん。そうだよね。アキラくんが無事なのはわかっているんだけどそれでも不安だったから。」
エミリーは一呼吸置いて
「あと改めて言わせて欲しいんだけど助けてくれてありがとう。アキラくん。」
エミリーにそう言われて
「どういたしまして。エミリーが無事で良かったよ。」
と返した。エミリーは頬を赤らめながら
「じゃ、じゃあね。アキラくん!お休みなさい。」
と言うと部屋を出て行ってしまった。アキラも少し照れていた。今まで女の子からというか人からお礼なんか言われたことがなかったから嬉しかった。それも気になっている女の子からなんだから心臓がバクバクである。アキラもエミリーを助けられて本当に良かったと心の底から思った。
翌日アキラは余程疲れていたのか夕方ぐらいまで寝てしまっていた。起きて部屋から出て階段を降りると宿屋に泊まっている皆が勢揃いしていた。
「やっと降りてきたな。アキラ!遅いぞ!」
アキラは何事かと思い声をかけると
「この国を救ってくれた英雄を労いたいと思ってな。皆で考えてパーティーをしようという話になったんだ。」
なんと皆がアキラのために準備してくれていたようだ。宿屋の女将さんも
「そうだよ。アンタがいなかったら今頃私たちはどうなっていたことか。だから祝わせてくれよ。」
そう言ってくれた。あとソンノやローズたち冒険者の仲間も来ていた。
「アキラくん。」
気づいたらエミリーが横にいてアキラに声を掛けていた。
「皆、アキラくんに感謝しているからこうやって準備してくれたんだよ。」
皆、アキラに助けられて感謝しているからこそパーティーを開いてくれたようだ。その気持ちがアキラはすごく嬉しかった。
「……っ……!皆。ありがとう。」
アキラは思わず泣いてしまった。こんな風にアキラの為に何かしてくれる人たちというのは今までいなかった。
「さぁ!ご飯を用意したから皆沢山食べな!アキラも。アンタの好物を沢山用意したから。」
「アキラくん。ご飯食べよ。」
エミリーに連れられて席に着く。確かに用意された食事を見てみるとアキラが好きな物ばかりが並べられていた。この宿屋に泊まってからアキラの食べている物を見て覚えてくれていたようだ。
「女将さん。ありがとう。」
アキラは女将さんにお礼を言った。
「礼ならエミリーに言いな。この子がアンタの好きな食べ物を教えてくれたんだから。」
なんとエミリーがいろいろしてくれていたようだ。
「そうなの?エミリー。」
そうエミリーに聞くと
「うん。少しでもアキラくんに喜んで貰おうと思って。」
「ありがとう。エミリー。」
アキラはエミリーの顔を見てお礼を言った。すると2人とも昨日の夜のことを思い出したのか少し顔が赤くなり恥ずかしくてなったのか2人とも目を逸らし
「ううん。いいの、いいの。どういたまして。」
エミリーは早口になりながらも言葉を返した。その後はエミリーの隣で食べていたが2人とも少しよそよそしい感じになっていた。
パーティーが始まって時間が経ってくると結構皆お酒を飲んだのか出来上がっていた。馬鹿騒ぎをする者が出てきたりしていて皆楽しんでいるようだった。その時、突然宿屋の扉が開いた。入ってきたのはギルド長とヒカルだった。どうしたんだろうと思っていると
「楽しんでいるところすまない。アキラ、少し時間いいか。話すことがある。」
とギルド長が言ってきたのだった。
読んでいただきありがとうございました。