中級魔族
続きです。
アキラはギルドを出るとステータス表示を使い魔族が集まっているところに向かい始めた。大体魔族は3人から5人くらいで固まって行動しているようだった。アキラのことを警戒しているように見えた。すると3体の魔族が一直線にアキラの方に向かって来ていた。出会い頭に1体が攻撃をしてきた。アキラはそれを防御すると「やはりな。」と言い話しかけてきた。
「俺たちの仲間を次々に倒して回っているのはお前だな。アズキエルの報告とも容姿が一致しているし間違いないだろう。」
どうやら魔族たちはアキラのことを分かった上で向かって来ていたようだ。確認の為に攻撃をしたが完璧に防がれたので確信したようだった。魔族の攻撃を防げる人間なんてそうはいないからだ。
「だったらどうした。」
アキラが返すと魔族は
「俺たち魔族を倒していい気になっているんだろう。お前が倒したのは魔族の中でも下位魔族と呼ばれている奴らだ。それでも人間が魔族を倒したのは賞賛に値する。だが俺たちはそれより上の中級魔族だ。そう簡単にはやられはしないぞ。」
エミリーを助けたときに戦った魔族が言っていた通りのようだった。あくまでアキラが倒したのは下位魔族といって比較的弱い部類の魔族のようだ。今アキラの目の前にいるのは中級魔族。今までのようにはいかないようだ。アキラだって魔族を倒して更にレベルアップしている。中級魔族が相手でも勝てるはずだ。
「俺は戦う度に強くなっている。そう簡単に勝てると思うなよ。」
アキラが言うと
「俺たちは油断せず全力でお前を倒しに行く。行くぞ!」
魔族との戦闘が始まった。3体が3方向から剣で斬りかかってきた。アキラはその攻撃を全て防御し冷静に対処していく。確かに今まで戦った魔族よりかはスピード、攻撃力ともに遥かに上回っている。だがそれでもアキラを上回るほどではない。
「これを防御するか。なかなかやるな。だがこれならどうだ!」
3体の魔族はさらにスピードを上げて次々に攻撃をしてくる。流石のアキラもきつくなってきて少しずつ魔族の攻撃が当たるようになってきた。
「ははは!どうした!こんなものか!お前の実力は!」
「いやこんなものじゃない。いくぞ。スキル肉体強化、スキル武器強化の重ね掛け!」
スキルを使ったことで魔族よりも更に速いスピードで動くことができ3体それぞれにダメージを与えた。普通の武器では魔族の体が硬すぎてダメージを与えることなど出来ないがスキル武器強化を使うだけでなく重ね掛けをすることによってダメージを与えることに成功した。以前だったらスキルの重ね掛けをしたら消耗が激しかったがレベルが上がったことによって少しであればデメリットなく使うことが出来た。スピードで完全に上回ったアキラは次々に攻撃が当たりダメージを与えていく。
「くそ!このやろう!」
魔族も反撃するが楽に避けることができた。アキラの実力は魔族を大きく上回っている。
「どうした。もう降参するか。」
アキラが聞くと笑顔をみせ
「降参?そんなものするわけがないだろう。まだ俺たちは本気を出していないからな。」
魔族がそんなことを言う。
「ハッタリか?」
アキラが聞くと
「ハッタリ?そんなわけないだろう。いいだろう見せてやる。スキル魔族流肉体強化!」
魔族はそう言うとだんだん姿を変えていきおぞましい姿形に変わっていった。
「待たせたな。これが俺の本気だ。」
これはアキラが使った肉体強化と同じスキルだが似ても似つかない。魔族用に改良されたスキルらしい。さっきまでの雰囲気とは全然違う。
「これを使うと反動が大きいから出来れば使いたくなかった。」
これが奥の手のようだ。
「どれぐらい変わったか見せてみろ!」
アキラから攻撃を仕掛けた。魔族は防御もせずに攻撃を受けていた。だが傷一つつけることができない。アキラだって段違いに強くなっているのに。
「こんなものか。ふん!」
魔族が気合いを入れるとアキラは吹き飛ばされた。すると3体の魔族が次々に攻撃をしてくる。アキラは防御することも出来ずに殴られ続けている。
「更にスピードを上げるぞ。」
アキラはスピードを上げた攻撃に目で追うことすら出来なくなっていた。
「ぐは!」
まともに攻撃を食らい続けて満身創痍のアキラ。
「どうだこの力は!お前ごときでは傷すらつけることはできない!」
「はぁはぁはぁ。まさかここまで強くなるとは思わなかった。」
力の差をまざまざと見せつけられた。アキラの攻撃が全く通用せず魔族の攻撃を防御も出来ないどころか目で追うことすら出来ない。こうなったらこちらも奥の手を使うしかないようだ。
「確かにお前は段違いに強くなった。正直ここまでとは思わなかった。だが俺もまだ本気は出していない。」
アキラが言うと魔族は
「何を言っている?ハッタリはやめておけ。」
と少し驚いたように言った。嘘を言っていると思っているようだった。まずは傷ついた体を回復した。
「スキル超再生」
これもダンジョンで手に入れたスキルだ。
「何!一瞬で回復しただと⁉︎」
かなり驚いた様子だった。
「嘘かどうかは自分で確かめてみろ。スキル武器生成。いでよルインソード!」
ついにアキラはルインソードを出した。すると魔族は
「それはまさか情報にあった剣か⁉︎」
と驚いていた。やはりこの剣も知られているようだった。
「行くぞ!ここからが第2ラウンドだ!」
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