「第一話 プロローグ」
とある木曜日の朝。
今年から高校生になったばかりの高校一年生の東条和人とクラスメイトの加藤隆一は横断歩道の前で信号を待っていた。
「おい和人。結局部活何位はいるか決めたのか?」
隆一が部活動の話を切り出す。
「ん~。まだ悩んでんだよなあ。中学んときは文化部だったからどうせなら運動部に入りたいけどなんかめんどくさそうだからな~。」
「どうだ?悩んでんなら我らがサッカー部に入らないか?今部員が少ないから入部して即スタメン入りだぜ?」
「いやだよ。この前だってお前に誘われて小学生相手だからって言われてサッカーしに行った時だってコテンパンにされたんだぞ?」
「そうそう!お前あんとき面白かったな~。俺の弟にも家帰った時めちゃくちゃ弱かったって言ってたし。」
「うるせえよ!ていうかあん時俺がちょっと気になっていたクラスの美香ちゃんがこそこそ友達と笑ってたし絶対俺のことダっさとか言ってたんだよ!」
「まあまあ。落ち着けって。」
「俺あれ以来サッカートラウマになったんだよ。」
そんな他愛のない話をしていた時だった。
おばあちゃんがまだ信号が赤なのにもかかわらず横断歩道を渡りだしたのだ。
「え?おばあちゃん!危ない!!」
和人がそれに気づく。
向こうからトラックが来ているがあちらも気づいていないようだ。
「このクソババア!!」
和人はおばあちゃんの背中を押した。
だがトラックは和人の予想以上に迫ってきていて辺りに鈍い音が響いた。
「おい!和人!和人ー!!」
和人の意識はそこのない闇に落ちていった。