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第十二章

  第十二章



 最後に残った足首の肉も、また難敵であった。


 乾燥した皮が硬く、しかも下の脂の層で刃が滑りやすかった。


 Sは刃が滑らないように気をつけながら目印の切れ目を入れると、そこに沿って刃を入れていった。


 スネの肉を取った時と同じように包丁を動かしていると、取れそうもなかった肉が骨から、またメシメシとはぎ取れた。


 Sの中に何か残忍さと共に、命をいただくという二つの感情が浮かんできた。


 最後まできれいに食べ尽くすこと、それは供養でもある。

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