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第九章
第九章
Sは、薄く切った生ハムをある程度まとめて、実家に持っていっていた。
普段からハムやソーセージなど好まぬ母は、生ハムなどほとんど食べたことはなかったが、子供の勧めるものとあって、乗り気ではなかったが食べてくれた。
悪くはない感じで食べていたが、決して美味しいと言う顔ではなかった。
「生」のハムという事が、気に入らない理由の一つだったのかも知れない。
後日、母からSに
「今度来る時は、また生ハムを持ってきて欲しい」
と、連絡が入った。
本物の生ハムは、やはり美味しい。