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大同盟の交流・・(6)適性判断

<スキル>のチェックをはじめます

 移住者第一陣が<アルダ王国>に到着した翌日、また王城前の広場に集まってもらい適正を見ることとした。


 屋外で実施するのは、屋内よりも解放感があり緊張しないであろうという配慮からだ。

 手順としては、カードを作成してもらい初期のステータスと<スキル>を表示させた状態を確認する。もちろん無断で見るのではなく、事前に見させてもらうこと、今後は非表示にできる事を説明はする。

 

 その後に、グループで面談して、例えば家族や友達と離れないように配慮した移住先の決定を行うのだ。


 今回の面談は400人いるため、カード作成窓口は10カ所、面談は王族である俺達5人で行うことになったのだが、正直ロイド兄さんには若干の不安がある。<幻獣>のセリアもいるし大丈夫だろう・・大丈夫だよね?残念ながら、近衛騎士であるミーナにはこのあたりは期待していない。


 昨日人が変わったように不思議な音の表現が一切ない話し方ができていたから、問題ないでしょう・・と自分を安心させてみた。


 いよいよカード配布作業が始まり、個人で、あるいは家族や友人とのグループでカードを作成・受領後に王族との面談を行うべく移動が始まった。


 カード作成・受領後に王族との面談の待ち時間をなるべく減らすために、特殊能力がある者以外は列の短い箇所に均等に配置するように、カード配布窓口の職員には伝えてある。


 特殊能力・・例えば<隠密系統>や<錬金術>など、防衛、発展に特別に寄与できそうな者については俺のところに来る。と言うよりも俺は特殊能力のある者のみの担当だ。


 暫くはボケーっと状況を確認していたが、やがてぽつぽつと俺の所へ向かってくる者が表れた。

 家族やグループの内一部が特殊能力を持つ者がいた場合、全員俺の所へ来る。


 まず最初は、何と<ラーム王国>で最初に話しかけれ暮れた兎獣人の女の子だ。

 彼女は姉妹と思われる4人でこちらにやってきた。


 「ジン様、私たちはこちらに来るように言われたのですが・・」


 おずおずと話かけて来てくれた。

 若干後ろに位置取っている彼女と同年代・・10~15歳位?に見える姉妹もいる。


 「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。まず皆でそこの椅子に座って楽にしてね。何か飲む?」


 「いえ、大丈夫です。では失礼します。」


 4人とも多少おっかなびっくり座ってくれた。

 

 「じゃあ始める前に、カードの説明は聞いたかな?」


 「はい、ステータスがわかること、今後は身分証になること、いろいろな機能があることを聞きました。」

 

 相変わらず返事をしてくれるのは彼女一人だが、まあいいでしょ。早く慣れてくれるといいな。

 じゃあ、早速確認させて頂きますかね。


 「では、皆の住みやすい環境、力が発揮できる仕事を決めるためにステータスを見させてもらうね。カードを貸してくれるかな?」


 全員首にかける形で受け取っていたらしく、首からカードを外してこちらに持ってきてくれた。

 話をしてくれている兎獣人以外は特殊能力などはなかった。

 

 だが、彼女は別だ。


----------

名前:ロメ 

種族:獣人(兎)

 Lv:1

 HP:9/9

 MP:10/10

 MT:8/8

【スキル】

 <未来視:Lv0・・無級>

【称 号】

 なし

----------


 これは驚いた。

 初めて見るスキルだ。

 Lv0なのでまだ何もできないだろうが、非常に有用なスキルに見える。


 俺達がLv上げを行っている時には一切出ていない・・または、対象の魔獣がいても取得することができなかったスキルだ。成程、もっとスキルについては勉強する必要があるな。あとで水晶さんに詳しく聞こう。


 とは言っても、全ての国民に例のLvアップをさせるつもりは一切ない。向上心が無くなってしまう可能性があるし、あのシステムが公になって色々な問題が出てくるのを避けたい。


 現在は俺の兄弟、近衛騎士、幻獣部隊を始めとして、<シータ王国>に対抗するために複数の部隊のメンバーが実施済みだが、彼らは元から<アルダ>に対する忠誠心が非常に・・いや異常に高く、一気に上がったLvに慢心することが決してなく、現在も研鑽し続けている。

 更にLvアップのシステムについて・・王族以外には詳細は教えてはいないが・・決して口外しないとわかっているからだ。


 基本的には、ある意味王族直轄の部隊のみ今後もLvアップ作業を行うことになるだろう。


 「ロメさん、自分の<スキル>は確認したかな?」


 「ジン様、私に敬称はいりませんので、ロメでお願いします。<スキル>はカードをみてびっくりしましたが、どの様な効果があるかなどは分かりません。」


 「じゃあ、そうだね・・ロメちゃん、って呼ばせてもらうね。ロメちゃんの<スキル>については正直よくわからないので調べて後で教える事にさせてもらうよ。推測はできるけど、間違った情報を今の時点で与えたくないからね。で、前もって確認だけど・・その<スキル>が特殊であるのは間違いない。なので、<スキル>を磨いて<アルダ王国>王族直轄部隊に所属する気はある?<スキル>の詳細がわからないから何とも言えないけど、長期間<アルダ王国>を離れる単独任務もあり得るので、ロメちゃんの姉妹・・で良いのかな?相談して決めて貰って構わないよ。もちろん断ってくれても何の問題もないし不利益にもならないから安心してね。」


 「あの、もし・・もしも<スキル>が<アルダ王国>の利益になる物であった場合だとしても、お断りして問題ないのですか?」


 「もちろん。何の問題もないよ。今回の移住については一気に増えた<アルダ王国>の国土を有効活用してもらう意味もあるし、大同盟の協力関係で、皆幸せに生活してもらう目的なのだから、安心して。」

 

 彼女は俺の回答に少し驚いた顔をするも、表情を引き締めて即回答してくれた。


 「私、やらせて頂きます。私と私の姉妹にこんなに良くしていただけるこの<アルダ王国>に恩返しがしたいんです。」


 と、瞬間カードが若干光った気がした。彼女たちは気が付かないようだが、Lvの高い俺達は気が付いたためカードを再度見ることにした。


----------

名前:ロメ 

種族:獣人(兎)

 Lv:1

 HP:9/9

 MP:10/10

 MT:8/8

【スキル】

 <未来視:Lv0・・無級>

【称 号】

 <アルダ王国>に忠誠を誓う者 ・・ NEW

----------


 なんだかむず痒い称号が増えているが、ちょっと嬉しい。でも無理はさせないようにするからね。


 「ロメちゃん、ありがとう。詳細はもう少しゆっくりして生活に慣れたころ、また話をさせてもらうね。で、住む場所や姉妹の今後なんだけど・・住む場所は草原が近くにある場所とかが良いのかな?」


 「いいえ、特にどこでも全く問題ありません。」


 おっと、前世の先入観があるみたいだ。

 そうすると・・今現在人口が少ない場所は各地下迷宮(ダンジョン)だ。と言うよりもまだ誰も住んでいない。

 <神狼>は闘技場とか、最悪の場合の前線になる可能性があるために、種族的には基礎能力が高い者に住んでもらいたい。とすると、その他の箇所か・・・


 「ロメちゃん達は、今後学校に通ってもらうことになるんだけど、ざっくりと戦闘系、商業系、農業系、魔道具系の特殊科目を学ぶことができる。もちろん基礎的なマナーなどは全員無条件で学んでもらうけどね。特殊科目の中で、やってみたい・・と思う事はあるかな?」


 ロメちゃんに残りの3人が何やら耳打ちしている。俺達は聞こえてしまうのだが、聞こえないふりをする。


 結局、3人の意見は一致していて、今までの飢えの経験から農業系に行きたいとのことだったので、元辺境南伯領にある<神龍>に住んでもらうことにしよう。


 <神龍>下層には龍人族が住んでいるが、彼らはまだ環境の変化を望んでいない為、いずれお互いを紹介出来て龍人族も1階層で生活してもらえるといいな。

 

 「では、基本的な居住地は地下迷宮(ダンジョン)<神龍>1階層の町にしてもらうね。もちろん魔獣なんて出てこないから安心して。2階層からは魔獣がいるけど、2階層から1階層には決して来ないし、2階層への入口は<アルダ王国>直轄で管理するから全く問題ないよ。まずは学校に行ってもらうけど、将来的な仕事は地下迷宮(ダンジョン)の町では攻略にくる冒険者相手の仕事が多くなるので、例えば皆には宿に提供する食料を作ってもらうとか・・になると思うよ。」


 基本的には冒険者ギルトで入退出を管理することになるので、例えば小さい子が間違って侵入してしまうといった心配もない。


 そして、初の面談は問題なく終了した。

 その後も面談は続く。結構特殊な<スキル>を持っている者がいるんだな。


 その後も新たな<スキル>を見ることができた。

 今回の<未来視>の他には、<統制術><戦略術><超聴力>だ。

 

 種族的な物なのか、直接攻撃系の者はいなかった。 


 今回来てくれた400人は、ある程度満遍なく地下迷宮(ダンジョン)、但し将来的に危険があり、鍛錬場等に近い<神狼>を除く箇所に住んでもらえることになった。


 これでガジムの防壁作成作業が終われば、細かい街のインフラや闘技場、各種鍛錬場、そしてロイド兄さんも案を出す子供とのふれあい場所を作成して終了だ。

お読みいただきありがとうございました

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