国際会議(7)・・近衛の対決・ラム無双
相手の護衛を叩き潰します。
ラムちゃん 無双
何やらドルロイが喚いている。
あいつらの護衛3人に対してこっちはラム1人が相対しているのだからきっとその件だろう。
あいつの言っていることをまともに聞いているとかなり頭に来る。<神の権能>を持ち、MTが信じられない状態の俺をここまで怒らせるとは、なかなかドルロイもやってくれる。
そして最後にドルロイはこういった。
「ここまで我らをコケにするとは・・良かろう。そこの護衛もエルフなどと言う下賎な種族であり、我ら人族の優秀な護衛も力加減を誤ってしまうかもしれんな・・身の程を教えてやる。最早詫びを入れても許さぬぞ!」
なんでお詫びを入れる必要があるのかわからないし、勝手に怒り狂っている。情緒不安定だな。
流石に父さんが、
「ドルロイ王よ、我が近衛騎士を侮辱するのは辞めて頂こう。して、この勝敗はどの様につけるのか?」
「フハハハ、まだ勝てるつもりでおるのか?3対1で最早変更はさせぬぞ・・貴様の目の前であの忌々しいエルフが無様に切り刻まれ、動けなくなったら負けだ。」
・・こいつはやっぱり正真正銘のクズだな。
「では我らの勝ちはどの様に判定するのだ?」
「学のない貴様に教えてやろう。我らの護衛は3人共この世界最強<S:帝級>だ。貴様の護衛<A:上級>では手も足も出ないぞ。その上3対1だ。仮に貴様ら3人に対して我の護衛1人でも勝機はないというのに、この状態でまだ勝つ気か?神経を疑うぞ??」
「貴様に言われる筋合いはない。ではこちらの勝利はあいつらの戦闘不能とさせてもらおう。今この場にいる各国の代表よ、聞いていただけたか?このドルロイ王が約束を違えないように証人となっていただこう。」
「貴様、我の事を貴様などと・・無礼な。いいだろう、そこであの顔だけは良い貴様の護衛が切り刻まれる姿を見ているといい。」
「一つ教えておいてやろう。彼女は俺の護衛ではなく、俺の息子であるジンの近衛騎士で、貴様の護衛よりもはるかに強い。ジン、そしてラム、まどろっこしいことは辞めだ。殺さない程度に戦闘不能にしてやれ。ただしこの闘技場は壊すなよ?」
ラムが不安そうな表情でこちらを見て確認してきた。一応<念話>で・・
『ジン様、ダン様はかなりお怒りで作戦をお忘れの様子ですが、いいのでしょうか?』
『いいよ、俺も、もうかなり頭に来てるからやっちゃいな。どの道<シータ王国>は<アルダ王国>に攻めてくるんだろうから、今のうちに戦力の一部を潰しておくのもいいでしょ。でも会議場にいた時とは違って良い剣を帯剣してるからそこは作戦通り確実に破壊しておいて。』
『承知しました。』
そしてお互い一度自分の国王が座っている位置まで下がると、その位置で再度向き合って武器を持ちだした。
思った通り、あいつらの護衛3人はおそらくドロップアイテムであろう剣だ。俺達の近衛騎士に渡したアイテムよりはランクが大きく下がっていそうだが、なかなか良い装備を持っているんだな。
世界最強と思っている<S:帝級>とあのドロップアイテムであろう剣の組み合わせであれば、いつも以上にドルロイの態度が大きくなるのも頷ける。
残念なのは、3人全員全く同じ剣であったことだ。
色、形、そして効果もどうやら同じだな・・
俺達の近衛が持っているように普段はリング状に変化して持ち運んだりはできないし、Lvも固定なのだ。
種類の異なるドロップアイテムであれば、今後俺達の戦力増強の資料としたかったのだが、あれ1種類ではあまり参考にはならないな・・
ドルロイ・・なんて使えない・・
対してラムは、右手の指の間に串焼き・・若干タレの付いた串を3本、そして左手にも3本挟んで持っている。合計6本のタレ付きの串だ。もちろん肉はおいしく頂いた後なので串にはついていない。
それを見たドルロイを始めとした辺境東、南伯、そして3人の護衛は顔を真っ赤にして怒り出した。
いや~、沸点低いね!!正直言うと、今のラムにはこの串でもお前ら相手では手加減するのが大変でオーバーキルなんだよ!!
余計な気を遣うこっちが大変なのをわかっていないのだからしょうがないが・・
そして怒りの表情をしたまま3人はラムに向かって行った。
まあ、流石は<S:帝級>だ。持っているスキルまでは調べていないが、3人ともとんでもない速さでラムに向かっており、観戦している他国の人々は姿をとらえる事すらできていないだろう。
対してラムは、右手を一回軽く振った。
これも普通の人には一切見えないスピードだが、その瞬間「キキキィーン」と、ドルロイが兎獣人に切りつけた時のような金属音が闘技場に鳴り響いた。
そして次の瞬間、剣を持っていた3人が闘技場の床を転がっていたのだ。
3人は戦闘経験も豊富なのだろう、流石に即体勢を整えて再度剣を構えるが、そこで完全に固まってしまった。
そう、3人とも根元から剣が折れているのだ。若干のタレが付いた状態で・・
「グハハハハ・・」「ハハハハ・・」「フフフフ・・・」
正直俺達の陣営はこうなることを予想できていたので、笑いを抑えることができない。タレ付き剣3本、出来上がりだ。
その状態でラムがもう一度今度は左手を軽く振った。
「キィーン」
またしても金属音がなり、護衛一人が苦しそうに胸を押さえて膝をついた。
あいつが胸に短剣を忍ばせていたが、短剣を抜かないからそのまま破壊したため、胸に衝撃が来たのだろう。
しかしラムは素晴らしい。胸の短剣を破壊した上でも護衛は殺していない。短剣の強度を踏まえた上での力加減?をしていたのかわからないが、力の調整具合が絶妙だ。
彼女からしたら、微細過ぎる調整で大変なのだろうが・・とにかくすごい。
俺の予想をはるかに上回る圧勝だ。ラムは戦闘開始から一切動いていないのと、手を二回振っただけで相手の武器を完全に破壊してしまった。そもそも本来の武器である<弓:聖級>も使っていない状態でこうなのだ。
まるで大人と蟻の戦いだ。
あいつらは、ラムの狙いが武器でなければ命がなかったこと位理解しているだろう。腐っても戦闘経験豊富な<S:帝級>なのだから。
しかし、彼らは人族以外に良いようにやられた屈辱感と、変なプライドから正確な判断ができないらしい。
胸を押さえて苦しんでいた護衛も立ち上がり、3人で武器がない状態で襲い掛かってきたのだ。
ラムはやはりその場を一歩も動かずに一人一人ゆっくりと打撃を加えて戦闘不能にしていった。
関節をやられれば物理的に動くことができない為、3人とも芋虫のように闘技場の上を蠢いている。
最早勝敗は明らかだ。
「ドルロイ王よ、誰が・・どのように見ても我らの勝利は揺るぎない。3対1、しかもそちらは何やら魔道具のような剣を使用している。Lvが付与されているのだろうな。対してこちらは串焼きの串・・ククク・・こちらはLv付与ではなくタレがついているだけだ。ここまでの差を見せつけられて、まさか勝敗に文句はあるまいな・・・。最早貴様の姿を目にすることすら嫌悪感がある。そこの芋虫・・いや護衛だったか?3匹も目障りだ。お前たち3人でそこの3匹を連れて俺の前から即消えろ!」
父さんはきつく言い放ち、ラムの前に移動し彼女をねぎらっていた。
彼女からしたら準備運動にもなっていませんよ?
汗一つかいていないし、呼吸も全く乱れていないでしょ?とは伝えないでおいてあげた。
我ら<アルダ王国>の大勝利で終わり、<シータ王国>の権威も失墜したため、この世界は良い方向に行くのではないだろうか?
その証拠に、観戦していた他国の王族は、あまりの戦力差による圧倒的な勝利を得た<アルダ王国>に対して祝福の言葉と、喜びの言葉をかけてくれているのだ。
だが、残念ながら全ての国ではない。と言うよりも、<フラウス王国>と<ゴルデア王国>以外では5カ国程度だろうか?むしろ少数派だ。
今まで<シータ王国>の圧政?圧力?があって不利益になっていた国々の様だが、その他の国はうまい汁を吸っていた国や、いまだ<シータ王国>の呪縛から逃れられない国、今後は俺達<アルダ王国>が権力を振るうと恐れている国、そして相変わらず人族至上主義であるが故俺達を受け入れることができない国、なのではないだろうか・・
俺はこの騒ぎの最中に、そっと気付かれないように兎獣人の奴隷紋は消しておいた。
万が一騒ぎに乗じてドルロイが悪さするかもしれないのでね・・
ドルロイにしてみれば、奴隷に対する命令が伝わらなくても、敗戦による動揺とか、この騒ぎによる影響とか・・まさか契約が解除されたとは思わないだろう。
しかし、この結果から<シータ王国>が何やらきな臭い動きをしてるという情報については、確証を得ることができなかった。
何か奥の手があれば、あの状態のドルロイは使っていただろう。ドロップアイテムの剣を使用していたように・・
今回は何もなかったという事は、まだ準備が整っていないか、この場では使用することができない何かか、そもそもそんなものはないか・・
ドルロイの態度を見ると、決して<アルダ王国>のことは許さないだろうから、楽観は禁物だ。
まあ、今回の会議で得られたものは大きかった。
この世界において国家として承認され認知されたこと、<フラウス王国>と<ゴルデア王国>と良い関係になっていることを公にできたこと、今現在の<シータ王国>のLvを知ることができたこと。
5カ国程度ではあるが、我々に好意的な国が表れたこと。
少なくとも良い結果となったので、俺達は満足して<フラウス王国>の魔道具を使用して帰還した。
もちろん俺達に好意的になっていた5カ国<ラーム王国><イグイム王国><ミューラ王国><ベネチカット王国><エフソデア王国>とは今後色々話をさせてもらう予定だ。
お読み頂きありがとうございます。
楽しく読んで頂けるように頑張ります。




