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国際会議(5)・・会議内の対決

<シータ王国>国王が何やら文句?言っている様子・・・

 やはり属国は<シータ王国>の言いなりか、若しくは<シータ王国>に恩を売るために自ら実施したか・・何れにしてもどう対処するかは決めている。


 俺の<神の権能>を使用して毒物を除去することもできるが、今回はあえてしない。当然口にもしない。


 きっとこの毒入り食事が出てくることを知っていたので<シータ王国>のドルロイ国王は父さんに反撃されてもイライラはしているが鉾を納めたのだろう。


 人族至上主義、他種族排他主義のあいつらが今この場にいる俺達の近衛騎士であるエルフや魔族に対して文句を言わないのも、近衛騎士の前で主人である俺達が苦しみだすのを見るのが楽しみだからなのだろう。


 因みにだが、俺や近衛騎士達のLvや<スキル>は、<神の権能>を使用して<鑑定眼>やこれに準ずる魔道具を使用しても、大幅にLvが落ちている状態と、一部のスキルは見えない状態にしている。


 このおかげで<シータ王国>と<ロガリア王国>は自分たちが有利であると踏んで暴挙に出たのだと思う。


 王族達が配膳された食事をしつつこちらの動向を見ているので、<フラウス王国>と<ゴルデア王国>の王が立ち上がり、代表して<フラウス王国>リンデム国王が、


 「皆、今この場で我ら<フラウス王国>と<ゴルデア王国>の二国は、このダン・アルダ国王が統治する<アルダ王国>を国として認めたいと思う。<シータ王国>から何やら言いがかりはあったが、ダン国王は明確な回答をした状態だ。何の問題もないだろう。」


 <シータ王国>のドルロイ王は、まさか<アルダ王国>以外の国から反撃されるとは思ってもいなかったのか、顔が赤くなってきた。だが、毒入りの食事を食べると思っているのか何も反応はしなかった。


 開催国である<ロガリア王国>国王は、チラっと<シータ王国>ドルロイ王を見た。ドルロイ王は軽く頷いた為、その場で、


 「<フラウス王国>と<ゴルデア王国>二カ国の承認を得た<アルダ王国>を約定通り新国家としてここに認めるものとする。」


 一斉に拍手が起こった。


 相変わらず<シータ王国>のドルロイ王はしかめっ面だが、早く食事をしてほしくてしょうがないようだ。


 そんな彼等を横目に、俺達は異空間から先日この<ロガリア王国>に下見・・と言う名の食べ歩きに来た時においしいと思ったものを買い込んだ食事を<フラウス王国>と<ゴルデア王国>そして俺達<シータ王国>の皆に配り護衛も含めておいしくいただいた。もちろん影にいる神獣にも転送しておいたよ。

 しょうがないから飲み物だけは飲んであげたけどね・・


 それを見た<シータ王国>と<ロガリア王国>は慌てだし、<シータ王国>ドルロイ王が、


 「この開催国である<ロガリア王国>の食糧事情は見ての通り実り豊かな山や川に囲まれており非常に良い。そのためとてもおいしい食事を提供してくれている。この行為を無にするのは国家の代表として品格を疑うが?」


 ともっともらしいことを言ってきた。確かに配膳された食事を見ると、日本の記憶にある料亭?の漫画に出てきそうな、配色もよく、飲み物、メインのおかず、野菜、そしてお米・・デザートまでついている。

 異物がなければ喜んで食べさせてもらったところなので、正直かなり残念ではある。

 とはいえ食べられない物は食べられないので、父さんが、


 「ご指摘ありがとうございますドルロイ王。ただ我々もこの<ロガリア王国>の食事は今頂いておりますよ。この串焼きも絶品ですね。正直見た目も良く匂いもとても良いこの配膳していただいた食事を頂きたいのですが、余計な物が混入されている為口にできないのですよ。」


 「な!なんだと、<ロガリア王国>の食事に言いがかりをつけるのか!?」


 何故か<シータ王国>のドルロイが切れているが・・・お構いなしに父さんは続ける。


 「そうですな。我々が一切この食事に手を付けていないのはここにいる皆様が証明していただけるかと思います。なので、私の言が事実か否か、是非ともドルロイ王にこの食事を食べて頂きたい。そもそも私の隣にいらっしゃるのは皆さんに転移魔道具を貸与している魔道具大国の<フラウス王国>ですよ。混入された毒物を検出する魔道具など比較的容易に作れるとは思わないんですかね?」


 いやいや、実際そんな物持ってきてないでしょ?作っているかも怪しいし・・でも父さんは持って来たとは一言も言っていないので、全く問題ない。


 会場はにわかにざわつき始めた。

 父さんの言う事がかなり理にかなっており、ドルロイ王の態度からも父さんが有利な立ち位置になってはいる。しかし今までの力関係があるため、公に父さんに味方をするものは今の時点では<フラウス王国>と<ゴルデア王国>以外にはいない。


 当然不利を悟ったドルロイ王と開催国の<ロガリア王国>の王は現状自らが不利であることを理解しているため、配膳係の獣人・・奴隷紋が見えるので奴隷であるが・・を一気に攻め立てた。


 「おい、この大事な国際会議において勝手に(・・・)異物を混入したのか。国のメンツを潰す行為だぞ。国家、いや世界に対する背信の責任を取れ。今すぐ処分してくれる。」


 何故か<ロガリア王国>の配膳係に対して、<シータ王国>のドルロイ王が喚き、近衛から剣を引き抜きこちらに歩み寄ってきた。


 会場のざわめきは大きくなり、皆食事の手を止めてこちらを心配そうに見ている。そもそも落ち着いて状況を確認すれば色々とおかしい発言なので、明らかに<シータ王国>は黒であることがわかる。正直怒りより呆れの感情が大きくなっている。

 こんな強引な手で事を収める事ができると思っているとは・・今まで相当この会議で好き放題してきた経験からそうなってしまっているのだろうか?


 ドルロイ王、いや腹が立つからドルロイでいいや。ドルロイはこちらに近づいて、震えて動けないでいる獣人に対して剣を振り下ろした。

 きっと奴隷紋の制約で何も発言できず、逃げることもできない状況にされているのだろう。俺達にはそんな獣人を見殺しにする選択肢などない。


 ざわめきが一気に大きくなった。

 

 ドルロイがこちらに来ている途中でみんなに<念話>で軽く打ち合わせ、今回は俺の近衛であるラムがドルロイの動きを制限する事としていた。


 <フラウス王国>や<ゴルデア王国>の護衛では、獣人の保護を失敗する可能性があるので、ラムを選択したのだ。二コラとハルドはそのまま父さんとソフィア姉さんの護衛に入ってもらっている。

 この王族の中では俺が一番強いし、影に二人も神獣が潜んでいるのでラムを護衛から外しても問題ないからな。

 

 ラムを始めとした近衛騎士達は、最後のLvアップ時に力の調整を強制的に覚えたらしく、ドルロイを粉々にしてしまう心配はなくなったのが良かった。

 最早心配する所が普通の人とは違っているが・・問題ないな。


 そして振り下ろされた剣は、獣人を傷つけることはなかった。

 

 キィーン・・と音がしたと思ったら、ドルロイの持っていた剣は根元から折れ、床に突き刺さっていた・・・と他の人には見えただろう。


 実際はラムが少し前に皆で食べた串焼きの串に精霊魔法を付与し、高速で投げただけだが・・・

 串焼きの串で剣を・・それもかなりの業物に見える剣をへし折るとは、実に清々しいじゃないかラム!!音も金属がぶつかった音がしていたので、相当強化された串なのか?


 よく見ると、ドルロイの持っている折れた剣の先端には若干串焼きのタレがついているのがわかる・・いや普通は分からないが。

 なかなか笑える状況だ。


 この状態を<念話>で説明したら、皆うつむいて震えだしてしまった。

 笑いをこらえているのだ。俺は止めに、


 『あの剣、タレがついているからおいしいかもよ?』


 と<念話>でダメ押ししておいた。


 「「「ぐははは・・フフフ・・」」」


 ドルロイ始め会議の参加者は、突然俺達が笑い始めたのを怪訝そうに見ていたが、こちらとしては我慢ができないのだ。

 唖然としているドルロイを見ながら父さんが告げた。


 「いやいや、ククク。失敬失敬。ふぅ。ドルロイ王、なかなか良い剣でしたよ。フフフ・・私の国<アルダ王国>では獣人も皆等しく国民であり、目の前で謂れのない罪で命を奪うのは認められません。まぁ貴方にも言い分はあるでしょうが、どうですか?この件はこの獣人をこちらで預かることで手打ちとしませんか?」


 父さんは暗に、この配膳の内容は目を瞑る代わりに獣人をこちらに引き渡せ・・と言っている。

 このくらいは即座に理解できるであろうドルロイは、怒りに手を震わせながらも、状況から承認せざるを得ないと判断したのかしぶしぶ了承して自席に戻って行き、自分の護衛と何やら話し始めた。

 奴隷紋がある限り、あいつらに不利になることは言えないし、継続してドルロイの言いなりになるのは変わりないと思っているのだろう。

 俺は奴隷紋を消すことができるのだが、そんな事をあいつ等に教えてやる程お人良しではない。


 「獣人の君、君のおかれている状況はおよそ把握しているつもりだ。私達が思っている状況であろうがなかろうが、今回の件については責を負わせるつもりは一切ないので安心してほしい。」


 父さんは優しく獣人の女性に話しかけている。

 耳の形から想像すると、兎獣人かな?

 父さんは更に続けた。


 「君に今一つだけ確認したいことがある。君の様な状態に置かれている仲間はここにいるのかい?」


 父さんは、彼女の仲間がいればきっと一緒に連れ帰ろうとしているのだろう。

 しかし、残念なことに彼女は首を静かに横に振った。

 確かに見渡す限りこの会場にいる配膳係は彼女を除き皆人族だ。

 <シータ王国>が来ている時点で人族以外がこの場にいるのがおかしいのだ。そこの所に注意を向けておくべきではあったのだ。


 


 

 


 


 

お読みいただきましてありがとうございました。

今日ももう一話、頑張って作成していきたいと思います。

ブクマ・評価で応援よろしくお願いします。

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