国際会議(2)・・開催国の調査とLvアップ
久しぶりに<神龍>にいる龍人が出てきます。
出てきますが・・<神龍>は出ません。
街中に入りまず目にしたのはやはり屋台の食事た。
川で取れる魚や山菜等、この環境ならではの物がたくさん並んでいる。
ウェイン、ユフロ、レイラ、モモ、トーカが屋台から各自好きな物を購入し終わったので、近くの椅子に座って食事を楽しむことにした。
歯ごたえも良く、とてもおいしい物ばかりだ。
次の視察部隊?は、俺が情報を得てから来られるため無駄な時間は無くなるだろう・・という事を居残り組に伝えて納得してもらった経緯があるのだ・・
なので、紹介できる美味しい食事をすぐに見つけることができてホッとしている。
領民もゆったりしている雰囲気があり、少数ながら人族以外も見ることができる。
基本的にこの世界で暫定的に最も力のある<シータ王国>が他種族排他主義を唱えているので、公に人族以外を数多く住まわせている国はほとんどないが、このように少数ならば稀に見ることができる。
残念ながら奴隷等劣悪な環境であれば時々見かけるが・・
よし、あまり遊びばかりでは来た意味が無くなるので、会議開催場所の情報を得ておくか。
まずは隠密系統に優れているウェインに会場を偵察してもらおう。
その間俺たちは・・・ゴメン!暇なのでもう少しおいしそうな食事を見つけようかな・・・
あっという間にウェインは帰還してきた。一緒に食事をしたかったか?
「ジン様、会場の方を見てきましたがこの短時間に帰還できることでお察しの通り、警備は甘く、魔法や魔道具での補強もなされておりません。これは、ダン様はじめとして<アルダ王国>参加メンバーの護衛について再考された方が良いかもしれません。というのも、会議開催直前に再度調査する必要はあるとは思いますが、魔法や魔道具でのチェックがない場合敵方もやりたい放題になるので、こちらも陰に潜り護衛を増やす等の対策を行う必要があるのではないでしょうか?・・あっそのおいしそうな串焼き頂いてもいいですか?」
なんだかウェインも少し砕けた感じになってきてくれている。
俺としては嬉しい限りだ。報告も内容自体はしっかりしているしね。
しかし、やはりここの食事はおいしいんだよな。
「よし、これはウェインに開催直前に再度この会場をチェックしてもらおう。父さんには話しておく。ただし<アルダ王国>の防御力を下げるわけにはいかないので、場合によっては<神獣>に影に潜ってもらおうと思う。」
「モグモグ・・承知しました。」
そうして俺たちは殆どの時間を食事に費やして<アルダ王国>に帰還した。
残されたメンバーである、エレノア、セリア、マーニカ、ラム、ソラ、シロとは翌日に<ロガリア王国>に向かう事として、早速父さんの執務室に向かった。
「父さん、<ロガリア王国>のチェック体制や管理体制はかなり甘いよ。入国も簡単な審査だけ、そして会場自体もウェインに見て貰ったけど魔道具や魔法系統の強化等は一切なかった。なので、もしこの情報が<シータ王国>に漏れている、または伝えられていると考えた場合、護衛を充実する必要があると思うんだ。開催直前にもう一度ウェインにチェックしてもらうので、もし変更がなければ、神獣達を影に潜らせたいと思う。」
「わかった。<シータ王国>時代に<ロガリア王国>の話は聞いたことがある。<シータ王国>から見れば<ロガリア王国>は属国だそうだ。そう考えると、今回の<フラウス王国>の布告や<ゴルデア王国>の情報を掴んだ<シータ王国>が警備体制について指示を出している可能性もあるな。」
その通りだ。だとすると、俺達だけに厳しいチェックが入る可能性も排除できないので警戒が必要だ。
<神の権能>で陰に潜ってしまえば、<S:帝級>クラスでは感知すらすることはできないが・・ガジムや重鎮A、Bのような者が作った驚異的な魔道具が存在するかもしれないので、一応注意しておこう。
そして翌日、残りのメンバーと共にやはりおいしい料理を堪能し、会場の視察はせずに帰ってきた。
よし、現状を整理すると・・会議開催までは一ヵ月以上あることになる。
その間に各人のLvを上げると共に、先ずは放置しすぎている<神龍>にいる竜人について状況を確認しようと思う。
そしてその後に会議参加メンバーを父さんと話て決定し、ウェインの調査結果による体制変更も考えて・・意外とやらなくてはいけないことがある。
幻獣そして近衛騎士は一気に不在にはできないので、毎日交代で各自好きな場所、<魔界森><神狼><神鳥><神龍><神猫>の何れかでLvアップ作業をしてもらうことにした。
Lvアップ作業中は集中しすぎて時間の経過がわからなくなる場合が多々あるので、水晶さんが管理してくれる。
但し!!場所はどこでもいいのだが、破壊しないように気を付けるように!!ときつ~く釘を刺されている。何故かLvアップに行かない俺にもだ・・
俺からも各人にきつく言っておこう。何故か俺も怒られる羽目になりそうな予感がするからな。
そうして俺は<神龍>最下層から続く隔絶した空間に行き、久しぶりに龍人族と話した。
とりあえず族長のチェダに現状を聞いた。
「久しぶりだね。皆の状態はどう?」
「お久しぶりです。皆完全に体も回復し楽しく過ごせております。これもジン様のおかげです。」
「どういたしまして。今地上では父さんが<シータ王国>から独立を宣言したため、<シータ王国>の各辺境伯は敵になっている。つまり、この<神龍>のある辺境南伯も当然敵になっているんだけど、この<神龍>含め<神狼><神鳥>は全て侵入禁止にしてあるから安心してほしい。それで今後なんだけど、皆は引き続きここに住むか、<アルダ王国>に移住するか、魔界森の中心部に移住するか、いくつか選択肢があるんだけど・・」
「魔界森ですと?とてもそんな危険なところには住めないのではないでしょうか?」
「言うの忘れてたっけ?実は魔界森も迷宮になっているらしくて、俺そこの管理者にもなっているんだよね。だから安全だよ。魔界森のメリットは本物の空を見ながら生活できる所かな・・」
「なんと、そういう事でしたか。では一族の皆と相談させてから決めさせていただいてもいいでしょうか?」
「もちろん。時間がかかるだろうからまた明日来るよ。」
そうして俺は<神龍>を後に・・いや、ここにLvアップに来ると言っていたミーナの様子をちょっとだけ覗いて行こう。決して破壊行為をしていないか心配しているからではない。
当然ばれないように<神の権能>の隠密系を発動させてからだ。
神獣の皆も同じように権能を発動してくれた。
そして198階層に来た。
今回水晶さんは特に指定の魔獣を準備したりはしていない為、完全にランダムだ。
ミーナは<手足装甲:帝級>を発動した状態で手あたり次第魔獣を爆散させていた。水晶さんからの脅迫・・いや、注意をきちんと聞いているのか、地下迷宮が壊れないように威力の調整や、効果範囲の調整を都度行っている。
これはこれでかなりの修行になるのではないだろうか?
水晶さんは・・まさかこれを狙っていたのか??
『いいえ、違います。偶然です。』
『ですよね~』
よし、一応安心した。ミーナでこれなら当然他のメンバーも問題ないだろう。
でも、このまま修行したらどの程度のLvまで行くんだろう?俺達と同じ<SSS:神級>まで行くのかな?
『残念ながら、<神級>になるには魔獣を倒すだけでは達することはできません。神の許可が必要になるのです。なので最高戦力としては<Lv98・・SS:聖級>が最上位となります。』
『俺って<神人>で、<神獣>も神がついているけど、俺達が許可を出せばいいの?』
『残念ながらそうではありません。ジン様は持っていたスキル<テイマー>のおかげで既に神である<神獣>の力を得ることができるため神になり、その力を完全に得たことにより<神人>になっています。なのですが、ここでいう許可を出す神とは、別の次元の神・・何といいましょうか種族を管理している神のことを指すのです。』
『えっと、神にもそれぞれ担当があって、<神級>になれるかどうかの担当の神様がいるってこと?』
『はい、それです。その通りです。』
『じゃあ質問なんだけど、例えば俺が何か神様の機嫌を損ねる事をしちゃったとして、その場合<神級>や<神人>でなくなる場合ってあるの?』
『ジン様の場合、先ほど申し上げた通り特殊な方法で<神級>や<神人>になっています。そのため種族を管理している神の力は及びませんので、そのようなことにはなりません。』
なるほど。そうすると今回のLvアップでは皆のLvは98になるんだな。
ドロップが出るといいんだけどその辺りはどうかな?
『残念ながら進入禁止設定としていた時に、自動でドロップ発現率も0にしております。侵入者がいないのに設定しても無駄になると思いましたので・・申し訳ありません。今から変更しますか?』
『いや、とりあえず今はいいや。だけど今度幻獣のメンバーにドロップ渡したいので、あとで夜中にこっそりここに来るから、その時は設定変更お願いね。』
『承知しました。』
そうして俺達は改めて<神龍>を後にした。
お読みいただきましてありがとうございました。
まだまだ自転車操業中です。早くストックが欲しいところですが・・
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