<アルダ王国>に帰還と、同行
アルダにおまけ?と共に帰還します。
そして俺たちは<アルダ王国>に帰還する日を迎えた。
<フラウス王国>に到着してから2日後の朝だ。
リンデム王は、魔道具を使用しこの世界の各国に対して<アルダ王国>と同盟を結んだことを宣言するとのこと。
このことにより俺たちは、既に国家として成り立っている国から、国として認められたという事を他国に知ってもらうことができるのだ。
現在は、門の出口・・そう、魔方陣が複数ある場所に召喚魔獣達も影に潜らずに集まっている。
そして、見送りにはリンデム王とそのお妃、煩い重鎮が勢揃いしていた。
第一王子は<ゴルデア王国>に留学中とのことで今回の訪問ではお会いすることはできなかったが、現状の説明は魔道具で既に説明済みとのことだ。
今回俺たちの帰還に同行するのが、4名いる。
一人は想像通り第二王子のリノス。その護衛である近衛騎士1名、そして残念ながら煩い重鎮の2人の合計4名だ。
この重鎮2人はケガだらけだが、すがすがしい顔をしてリンデム王の傍にいる他の重鎮を見ていた。
リンデム王の傍にいる重鎮たちは、額に青筋を立ててこちら側にいる2名を睨んでいる。
怨念の声が<フラウス王国>側の重鎮から聞こえてくる。
「なんであいつらが同行できるんだ。俺の方がふさわしいのに。」
「くそ、あの時右ストレートではなくアッパーにするべきだった。」
「その通りだ。あいつめ目潰しなんて汚い技を使いやがって・・」
「いっそのこと、ここであいつら潰すか?」
・・ガヤガヤガヤ・・
いやいや、君たち大丈夫?重鎮だよね?<フラウス王国>大丈夫か??
リンデム王は慣れたもので、一切相手にせずリノス王子に向かって、
「リノスよ、お前は我らが同盟国、そして兄弟である<アルダ王国>に誠心誠意、全力を以て貢献しろ。中途半端は決して許さん。例え命が散ろうとも<アルダ王国>のため、そして我らが<フラウス王国>のために<シータ王国>を叩き潰せ。」
「はっ!!」
リノス王子とその護衛である近衛騎士、そして煩かった重鎮も跪いた。
こういった所は切り替えが早く、ケジメがついている。
「ダン王、彼らは<アルダ王国>の者としてしっかりと使ってください。しかしこんなに少人数でよかったのですか?我らとしては助力は惜しまないのですが・・」
「そうですぞダン王、何なら私も同行・・」
「いや私が・・」
・・・また始まった。
「いえ、<シータ王国>の動きが完全につかめてない以上あまり大人数ですと対処が難しいかもしれません。状況に応じて助力をおねがいすることになると思いますが、この通信魔道具、そして警戒できる探索魔道具をお借りできているので十分です。」
父さんも慣れたもので、表情一つ変えずに煩い奴らは完全にスルー出来ている。
「では皆、行くぞ!」
そして、俺達は短くても長い<フラウス王国>の初訪問を完全な形で終えた。
実は<フラウス王国>のリンデム王は、前世の食事である日本料理の方法や材料を沢山くれた。楽しみでしょうがない。モモ、シロ、トーカ、ソラは皆で料理の作り方をあの短い時間で一生懸命俺のために覚えてくれたのだ。
俺のためだよね?自分が食べたいからかな?どっちでもいいか。
しかし、こういった細かい心配りをしてくれる<フラウス王国>には感謝しかない。
場合によっては、ドロップが増えた場合にはもう少し優遇してもいいかもしれないな。
そうして俺たちは馬車に乗り込み、<フラウス王国>のメンバーも彼らの馬車に乗り込んだ。
召喚魔獣達は馬車に乗り込んだ瞬間に影に潜ってもらった。正直狭いから。
そして走ること1時間、<フラウス王国>側からいったん休憩の要望が来たため、馬車を停めて休憩することとした。
彼等の馬車も、<アルダ王国>の馬車と比較しても遜色のない性能なので、疲れたとかそんな理由ではないだろう。
早い休憩に若干心配になりながら集まると、期待通り重鎮AとBがこう言ってきた。いや、彼等も名前はあるけれど、紹介の時に皆一遍に言うものだから煩くてよく聞こえなかったんだよ。
なので、暫定的に重鎮AとBだ。
「ダン王様、ここからこの速度で行けば本日の夕刻前には貴国に到着するという事でよろしいか?」
「ああ、その通りだ。」
「とすると、その短い間でも少しでも親睦を深めるために、各々の馬車に分かれるのではなく、配置を変えてみるのはいかがだろうか?」
来たな!俺は絶対に一緒にはなりたくないぞ。こういう時は・・・そうだ、久しぶりにホントに助けて水晶さん。
『久しぶりですねジン様。<フラウス王国>にいるときは防壁を破るわけにはいかずに様子を見ることができませんでしたが、状況は把握しました。この場合は、外の空気を吸いたいとか、乗馬の練習をしたいと言い訳をして近衛と交換してジン様が馬に単騎で乗るか、空を飛ぶ練習をするという事で飛行すればいいのではないでしょうか?』
そうだ、俺飛べたんだ。神獣の皆と空飛びたいな。
空にいればあの煩い重鎮AとBから解放されるしな。でも、その後がすごそうだけどとりあえず今を何とかしないといけないから、俺は空にしよう。
とすると生贄・・いや代役は・・ちょうど馬車の席が空くし、召喚魔獣の皆・・ホントゴメン。
「「「「「ジン様のお役に立てるのであれば問題ありません。」」」」」
くぅ~泣かせるな。なんていい奴らなんだ。
でも頼んだ。
「俺、外の空気を吸いたいし、スキルの鍛錬もしたいので別に行動させてもらえないかな。空を飛べるらしいので練習したくて・・」
「なんですと、空を飛べるとな!!」
「素晴らしい、是非とも我らにもご教示いただけないだろうか?」
やはり来たな。皆には悪いが矛先を変えないと収集付かないからな。
「申し訳ありません、特殊なスキルなのでおそらく取得は難しいでしょう。その代わりと言っては何ですが幻獣の5人が皆さんのお相手をしますよ。」
「おお素晴らしい。」
「是非ともお願いしたい。」
あっさりと引き下がったな。
でも、ちょっと罪悪感が・・<アルダ王国>に戻ったら召喚魔獣・・いや長いから幻獣で良いか・・幻獣の皆と多めにスキンシップを取ることにしよう。
ドロップアイテムのプレゼントもしてあげたいな。
そうして幻獣の5人が影から表れて、馬車に乗るメンバーを決めていた。
俺と神獣はもちろん除外してもらいましたよ。
どの組み合わせになったかは正直興味がないので、いや、姉さんとリノス王子が同じかだけはちょっとだけ気になるけど。
そうして俺は<神の権能>を使用して、神獣の皆と空を飛ぶ事に集中した。
楽しすぎる!! 空気が薄かったり少し気温が下がったりしても<神の権能>で補正できるし、景色は良いし、ものすごい解放感だ。
前世の父さんが飛行機で行方不明になっていたから、空に対して嫌悪感があるかもしれないと少し思ったが、全くそんなことはなかった。
俺達は馬車から付かず離れずの距離を保ちつつ、高度を変えながら飛行を楽しんだ。普通スキルを使うとMPを消費するのだが、もはや俺には関係ないらしい。一切疲れず優雅な空の旅を楽しむことができたのだ。
馬車よりも俺たちの方が高い位置にいるので、目標をとらえるのも当然早い。程無くして<アルダ王国>の魔法防壁入口である西門が見えてきた。
本当なら転移を使って一瞬で帰還できるのだが、<フラウス王国>出立時は煩い人間が多数いたため実行せず、その後は空の旅が楽しすぎて忘れてたのだ。
無駄な時間と思われるかもしれないが、幻獣たちにとってはある意味地獄、姉さんにとっては天国のような時間であっただろうと推測する。
そう、無駄な時間なんてないんだ。幻獣重ね重ねゴメン。
楽しい旅?も終わり、俺達は<アルダ王国>西門に到着した。
先行して<念話>でウェインに連絡しておいたため、幹部は皆西門に集まっていた。
正直<念話>で連絡せずとも彼らはこちらを補足しているだろうが、そこはお約束だ。
そして無事に目的を達し他俺たちは祖国である<アルダ王国>に帰還した。
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