家族会議
家族で打ち合わせをします
こうして別室に通された俺たちは、机の上に並べられた新たな食事や飲み物と共に家族だけで話をすることとした。
一応、念のため近衛騎士のスキルで、盗聴系や隠密系の魔道具や仕掛けがないかは確認してもらったが、一切関知することはなかった。
<フラウス王国>はやはり信頼できる同盟国だという事が証明された。
とすると、影に潜む護衛についてもどのように紹介するか・・紹介しないのは不義理になるのではないかと思うのだ。
仮に彼らを紹介したとしても、これが<アルダ王国>の全ての戦力ではないし、俺たちの<神の権能>についても明らかにしていないため、万が一があっても対応できるだろう。
そう思いつつ、影にいる護衛である召喚魔獣も皆出て来てもらった。
ここにいるのは、
王族の、父さん、母さん、姉さん、兄さん、俺
神獣の、モモ、トーカ、ソラ、シロ
契約魔獣の、ユフロ、レイラ、エレノア、セリカ、マーニカ
近衛騎士の、二コラ、ラム、オルド、ハルド、ミーナ
だ。
こう考えると、とんでもない戦力がここにいることになるな。
「父さん、<フラウス王国>は素晴らしくリンデム王やリノス王子も文句の付け所がない程の人柄だと思うんだ。なので、契約魔獣をこのまま秘匿しておくのは少し心苦しいんだけど・・」
「そうですね。リノス様はとても穏やかで心優しい方でした。信頼できるので紹介しても問題ないと思います。」
少し顔を赤くしたソフィア姉さんが語ってくれた。
ロイド兄さんが少し笑いながら俺の事を肘でつついてきたが、無視だ。
「そうだな、このまま何もなく紹介してもどこから来たのかと問われることになるかもしれんしな・・しょうがない、ここは正直に全てを話そう。リンデム王はきっとわかって下さるだろう。」
そうして、近衛騎士や召喚魔獣達が食事をしている時に俺たちは次の話をしていった。
「<シータ王国>の状況について、各諜報員から最新の連絡を受けることはできるか?」
「たぶんできるけど、この国は<アルダ王国>と同じく何かの防御をしているはずで、そこを破る形での通信になってしまうけど・・」
「それは少々まずいな。これから契約魔獣の話もしなくてはならないのに、その前に防御系統の破壊までしてしまうと・・少々リンデム王に通信についての相談をしてこよう。ちょっと待っていてくれ。」
そして父さんは部屋を出て行った。
当たり前のように、近衛騎士の二コラ、そして影に召喚魔獣のユフロは影に潜って同行している。
暫くすると、父さんは部屋に戻ってきた。
「リンデム王に了解を取ってきたぞ。今から5分程度、防壁を解除してくれるそうだ。さっそく状況をウェインに聞いてくれ。」
『ウェイン聞こえるか、ジンだ。こっちはすべてうまく行っている。なので<シータ王国>の最新情報と、<アルダ王国>に異常はないかを教えてくれ。ただしこの念話は、<フラウス王国>の防御を一時的に解除して使用している為、時間制限がある。手短に頼む。』
『ジン様、滞りなく事が進み何よりです。まずは<シータ王国>の状況ですが、<S:帝級>と<A:上級>の戦士育成を管理者権限のある地下迷宮で始めたようです。<シータ王国>には、攻略済みの<S:帝級>地下迷宮が4つ程あるようで、それぞれの管理者に国王から育成指示が出たとのこと。育成は順調に進んでおります。ただ不思議なのは、わざわざ<A:上級>も数多く育成しているのです。力押しをするならば<S:帝級>を積極的に育成するべきですが、このあたりは時間の問題か、Lvアップをしている人族の問題か、地下迷宮のLvの問題か、現在調査しているところです。各辺境伯からも王都に続々と人族が集結しています。我らが<アルダ王国>につきましては、この情報を聞いたガジム殿を筆頭としたドワーフ族が防壁に更なる強化を施している以外は特に変わりはありません。』
『ありがとう。緊急事態があったら、いつでも連絡してくれ。それ以外はこちらからの連絡をまって報告する形とする。』
『承知しました。』
そして、報告をそのまま家族に話した。
「ソフィアよ、<シータ王国>が地下迷宮以下のLvである<A:上級>も育成している件、どう思う?」
「おそらくですが、地下迷宮の大きさとLvアップを行う人数の問題でそこまで上げきれないのではないでしょうか?父上はどう思いますか?」
「うむ・・その<A:上級>の地下迷宮内部がどのようになっているかわからんが、管理者になれば階層も広げることができるのだろう?だとするとソフィアの指摘は当たらない。何か裏があるとしか思えないのだが・・」
その通りだ。俺も<SSS:神級>の地下迷宮しか知らないが、基本的な機能は性能の差はあれど同じなはずだ。
仮にも<A:上級>の地下迷宮であれば、かなりの広さに層を拡張することもできると思うのだが・・
今後の諜報員の報告を待つしかないか・・
「わからないことはあるが、この件は何か裏がある物として警戒しておくとしよう。そして、今後だが、<フラウス王国>の力を借りることができる状態になっている。しかし、正直なところあまり危険な目には合わせたくないのだ。短い時間ではあるが、長きそして良き友人になれることを確信したからな。それに<フラウス王国>の武力がどれ程かもこれからの話になるし・・今現在言えることは、高い技術の錬金関連で助力いただくことだが、具体的な案は何かあるか?できれば近衛や召喚魔獣の皆にも意見を聞いておきたい。」
「恐れながら申し上げます。発言よろしいでしょうか?」
「いいぞ二コラ、しかし堅いな?もう少し・・こう、友人のようにできんのか?」
「申し訳ございません。ダン様は我が主のためそこはご容赦を。早速ですが、我らがこの地にたどり着く前にかなりの距離から見られている違和感を感じたのは召喚魔獣達からの報告でご存じかと思います。もしこの機能が魔道具によるものであり、我らも使用できる状態になるならば敵の情報を早めに手に入れることができるのではないでしょうか?正直我らのLvで警戒が届く距離ですが、これを中継として範囲を広げれば我らの警戒網から外れる地域も警戒網に含めることができると愚考します。」
流石は長年父さんに使えている二コラだ。
こういった類の話は兄さんとミーナには難しいため、彼らは指名されないように高いLvで空気になっている。
「では私ユフロも召喚魔獣を代表しまして発言させて頂きます。」
美人が優雅に一礼し話し始めた。
「この<フラウス王国>の技術は、ジン様と同じニホンという国の信じられないほどの技術をイメージした魔道具が多数あるかと思われます。これらの技術を我らが<アルダ王国>のドワーフ族と共に技術を研鑽することにより、より高い防御性能を発揮するアイテムや、回復アイテム、探知や迎撃アイテム等を開発することができるのではないでしょうか?」
「うむ、確かにその通りだ。なのだが、今日の彼等のはしゃぎ・・いや興奮状態を見たか?これにガジムが加わるのだ。制御がとても難しい気はするがな・・案としては悪くない。」
俺もそれ以外にはありえないと思う。だが、彼らの一部が<アルダ王国>に来たとした場合、どの様に安全を確保するかが問題だ。
「父さん、仮に<フラウス王国>の技術者が来たとして、安全はどのように確保する?<神龍>の異空間にいる竜人族のように、<神猫>か<魔界森>に同様の空間を作って住んでもらう?」
「そうだな、何だか閉じ込めてしまうイメージがあるため、緊急時にどこかの地下迷宮に避難する形で交渉してみるか。」
一応の方針は決定し、皆で部屋を出てリンデム王やリノス王子、そして煩い重鎮がいる会場に移動した。
この時は、召喚魔獣は皆出て来てもらっている。
懇親会場に再度入った時には何故か増えている我々に対してどのような厳しい反応があるか若干警戒していたのだが・・・
違う意味で厳しい反応になった。
そう、重鎮が召喚魔獣に群がり始めたのだ。
「君たちは初めてここに来たのかね?他の騎士達と同じようにすさまじい力を感じるが、何か魔道具的な物でも持っているのかな?」
「まて、質問は俺がする。そもそも君たちは幻獣の様だが間違いないか?」
「なんだと!幻獣だと!!俺にも話をさせろ・・」
「いや俺だ!!」 「ふざけるな・・俺に決まってるだろ」
「なにを・・・」
ギャーギャー・・ドタンバダン・・ザワザワ・・・
どうやら、召喚魔獣達の種族である幻獣は彼らの羨望の的らしい。
そもそも<シータ王国>にも幻獣はいなかったし、相当珍しいのだろう。
俺の傍には神獣もいるが、このLvになるときっと彼らの魔道具?か何かでは判別できないのだろう。
これは黙っていた方がよさそうだ。
こんな騒ぎでは済まなくなる可能性が高いからな。決して不義理ではない。
なんだか拍子抜けした感じがするが、まだリンデム王には説明できていない。
すると、この惨状?に苦い顔をしたリンデム王がこちらにやってきた。
「初めましてかな?皆さん。確かに幻獣のようだね。君たちはもちろん<アルダ王国>の訪問一団という事で良いのかな?」
「リンデム王よ、この件で少々お詫びしなくてはなりません。確かにここにいる5人は幻獣で我ら<アルダ王国>に属するものです。厳密にいうとこのジンの下にいるのですが・・。そしてこの幻獣は実は我らの影に潜ることができて、今まで影の中で我らの護衛をしていたのです。<フラウス王国>を疑うような真似をしてしまい深くお詫びしたいと思います。」
父さんは素直に現状を話した。
「なるほど、流石はダン王だ。常に警戒心を持つことは決して悪いことではない。しかも、先ほど外部との障壁を取り除いた際に召喚したと、言い訳もできるのに正直に話していただいた。やはり我らは良き同盟であることが証明されたのではないだろうか。」
「感謝します。リンデム王。」
父さんが言っていた通り、リンデム王は懐が深かった。
「なんだと、影に潜れるだと?」
「是非見せてくれ」
「俺にも見せてくれ」「俺も潜れるのか?」
ワー・・ギャー・・・
そうして俺たちは、重鎮に囲われて困惑している幻獣である召喚魔獣はそのままに、今後の話をさせてもらうことにした。
構っていても収まりそうにないのでね。召喚魔獣の皆ゴメンね。
流石に真面目な話になるだけに、リンデム王は何らかの方法で完全に酔いを醒ましておいたらしい。
お読みいただきましてありがとうございました。




