<アルダ>建国へ向けて・・<フラウス王国>へ準備(2)
召喚獣が努力しています。
翌朝、早速俺は父さんの所に行きセリアを紹介し、各召喚魔獣が陰に潜む護衛として家族の皆の陰に潜ることを伝えた。
もちろんもう一人召喚し、現在Lvを上げている最中であることも伝えてある。
実は、父さん母さんのLvを上げるのが一番手っ取り早い安全対策なのだが、母さんは虫も殺せないし、父さんは忙しすぎて対応できないのだ。
そこは割り切って行こうと思っている。
「父さん、俺たちがいない<アルダ王国>の防衛は、ウェインとガジムに任せる方向でどうだろう?実は、<神猫>と<魔界森>の魔獣が外に出ていない状態であれば命令することができて、その命令だけを外で実行するようなんだ。とすると、基本的な防衛だけではなく、狙撃犯に加えて魔法防壁の外からも侵入者に攻撃できることになるから、安全だと思うんだ」
「ふむ、そんなこともできるのか。そうするとジンの言う通りその方が良いかもしれないな。我々にも護衛を追加してもらったり、何から何まですまない」
「いいんだよ父さん。実は俺、昔の話は少ししたと思うけど、今の家族は俺の理想なんだ」
ちょっと言って恥ずかしくなってしまった。
若干沈黙が流れたが、そんな空気は兄さんであるロイド・アルダが部屋に入ってくるなり吹き飛ばした。
「おーっす、ジン。今日もグァーっと気合入ってるか?」
「あ、おはよう兄さん。うん、気合入っているよ・・」
この人は何時でも情熱にあふれている。何を言っているかよくわからないが。
そうこうしている内に母さん、姉さんも集まってきたので改めてセリアを紹介し、影に潜む護衛の話、防衛の話をして納得してもらった。
母さんは、
「ジン、無理をしてませんか?ここのところ色々あった上に、いつもジンの力を借りているようで少し心配です」
やっぱり優しいな。俺、前世では割と早くに母さんを亡くしていたから、なんて言ったらいいんだろう、無条件の愛情??もちろん父さんからは受けていたけど、ちょっと違う、母の愛?みたいなものに飢えているのかもしれない。
何故か嬉しさで涙目になってしまったよ。
神獣であるモモ、シロ、トーカ、ソラが前後左右から抱き着いてきた。
きっと、俺の心の動揺が分かっているのだろう。こちらも無条件の愛情だ。とても嬉しい。
ただ、動けなくなるので長時間は困るが・・・
相変わらず皆はスルーして話は続く。
父さんが、
「ジン、そうすると、最後の召喚魔獣であるマーニカのLvアップが終わるのが今日の夜で良いのか?」
「うん、その予定。そこでドロップアイテムも集めておいてもらうことになっているから、あそこは基本Lvが高すぎるので、2つ程度ドロップを土産として持っていけばいいと思う。あと、まだドロップ装備がないオルド、ハルド、ミーナにもそこで渡してあげられる予定だよ」
母さんの近衛騎士オルド、姉さんの近衛騎士ハルド、兄さんの近衛騎士ミーナは無言で深く頭を下げてきた。
言葉を発しないのは、彼らは現在護衛中で、更に俺が父さんと話をしているからで・・でもお礼の表現をしたいからこのようになったのだろう。
「そうすると、夜に土産のドロップ確認、そしてもしあれば近衛のドロップ装備の確認。問題なければ明朝に出立するか。早い方が帰還も早く安心できるだろう。皆もそのつもりで準備してくれ。」
そうして、いつの間にか集まった俺の家族と主要メンバーは父さんの執務室を後にするのだった。
でもウェインは防衛のため不在、もちろんガジムも不在だったけどね・・
そうすると、昼間は正直何もすることが無くなってしまう。
なので、改めてあのおいしい食事を俺と神獣、近衛で食べに行くことにした。
早速城を出て北に向かって歩いた。
この通りは<神猫>を攻略しに来る冒険者向けの対応ができる通りとなっている為、食事処もたくさんあるのだ。
やはりいい匂いがしてくるので、店頭で肉を焼いている店に来た。そう、串焼きだ。
前回もおいしかったので、今回も期待できるだろう。
神狼4人分、近衛1人分、俺の合計6人分を頼み皆で外の椅子に座って話しながら食べ始めた。
最初近衛のラムは食事を固辞したが、場合によっては明日から気を張る作業が続くこと、この領地の中は絶対に安全であることを伝え、一緒に楽しんでもらうことにした。
ラムも襲撃にあった時のドワーフ族長ガジムを見ているので、魔法防壁には絶対の信頼を持ったらしい。ガジム自体はやらかしたのであまり信用していないようだが・・
食事をしていると、領民が<アルダ王国>建国について喜びの声をかけてくれる。
中には正直に、不満は一切ないのだが今後の生活に不安が若干あると教えてくれる領民もいた。
そこは正直に現状を話し、交易相手を見つけに即行動すること、防衛は全く問題なくむしろ過剰であることを伝え、安心してもらった。油断はしないが・・
そして食事を終えるともちろん足湯!!
神獣の皆もこれが大好きで、2人は俺の膝の上、2人は俺の隣にぴったりくっついて足湯に入った。
ここ<アルダ王国>では、王族(俺の家族)だけではなく、領民もこのような状態を見せつけられてもスルー出来る高いLvのスキルがあるらしい。きっと<スルー:Lv10・・神級>だな。
本当は、祭りのときに彼女たちを神獣と紹介しているからなのだが・・
そして充実した一日を過ごした俺たちは、改めて<魔界森>の塔5階層へ転移し、新たな召喚契約魔獣であるマーニカを迎えに行った。
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名前:マーニカ
種族:幻狐(幻獣)
Lv:88・・SS(聖級)
【スキル】
<炎魔法 :Lv9・・聖級>
<風魔法 :Lv8・・帝級>
<土魔法 :Lv7・・上級>
<雷魔法 :Lv7・・上級>
<氷魔法 :Lv7・・上級>
<水魔法 :Lv7・・上級>
<危険察知:Lv7・・上級>
<危機回避:Lv7・・上級>
<気配察知:Lv7・・上級>
<物理耐性:Lv7・・上級>
<魔法耐性:Lv7・・上級>
<転 移 :Lv6・・上級>
【称 号】
<魔界森>管理者ジンの僕
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良いドロップが出るような魔獣を準備したからなのか、同じ種族なのだがLvは若干セリアよりも高くなっていた。
「マーニカ、これからよろしく。君たち召喚魔獣は、リーダーをウェインにやってもらっている。戻ったら紹介するけどね。それで、現状は水晶さんに説明を受けていると思うけど君には俺の陰に潜んで俺の護衛をしてもらう」
「承知しました、ジン様。しかし、私は<影魔法>を取得しておりませんので、現状では影に潜ることができませんが・・」
「大丈夫だよ。俺と契約をした魔獣は俺の<神の権能>の一部を使用することができるので、問題なく陰に潜れるよ」
「試してみてもよろしいでしょうか?」
「ああ、もちろん」
マーニカは俺に近づき足元の小さい影の中にあっという間に消えていった。
『マーニカ、聞こえるか?影の中にいるときや、声を出せない状況の時はこの<念話>で話をしてくれ。そこから外を視認できるのか?』
『ジン様、ありがとうございます。外の状態は視認できますが、<危険察知>や<気配察知>でも状況は分かります』
『よし分かった。居心地は悪くない?』
『若干申し上げにくいのですが、かなり快適です・・・』
良かった良かった。結構長い時間いて貰うことになるので、居心地が悪かったらどうしようかと思ったよ。
じゃあ、集めて貰ったアイテムの確認をしようかな。<神の権能>を使用して鑑定しよう。
机の上に並んでいるのは、
指輪 × 4
腕輪 × 3
だ。さっそく見てみよう。
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名 称:風魔法の指輪
効 果:風魔法スキルLv1UP × 1
名 称:土魔法の指輪
効 果:土魔法スキルLv1UP × 1
名 称:光魔法の指輪
効 果:光魔法スキルLv2UP × 1
名 称:危機回避の指輪
効 果:危機回避スキルLv2UP × 1
名 称:<槍:帝級>
効 果:攻撃力、速度に大幅補正
使用時は槍となり、通常時は腕輪
名 称:<双刀:帝級>
効 果:攻撃力、速度に大幅補正
使用時は2本の刀となり、通常時は腕輪
名 称:<手足装甲:帝級>
効 果:攻撃力、速度に大幅補正
使用時はガントレットとソルレットとなり、通常時は腕輪
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とんでもない装備だな。
水晶さん、近衛用の装備はぴったり出るように調整してくれたんだ。
すごいぞ水晶さん。
指輪は、お土産はLv1の二つで、Lv2については父さん母さんにつけて貰おう。
影に潜ったまま転移が使えるかのテストも兼ねて、マーニカにはそのままでいて貰い部屋に転移した。
当然問題なく転移てきたので、今日の活動は終了かな?
いやいや、ごめん、忘れてた。近衛にドロップ装備を渡して確認してもらうんだった。
ついでに父さん母さんにつけてもらう指輪とお土産の指輪を渡さないと・・
あれ?俺少し疲れてるのかな?
そんなことを思い、皆と改めて父さんの執務室に向かった。
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