表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/169

<アルダ>の日常(3)・・祭り開催と襲撃?

他の辺境伯が一応?攻めてきます。

 塔の管理者登録も終え、魔界森の危機もついでに乗り越えた俺たちは、いよいよ祭りに参加する朝を迎えた。


 神獣達は、部屋のレイアウト変更に忙しかったらしく、何やらせわしなくしていたが・・


 城の前の大広場にて父さんから俺の契約魔獣と、神獣を紹介してもらった。

 もちろん前もってほとんど顔合わせ済みのため、何も問題はなく祭り開催となった。

 

 メインの街道には出店が多く出ており、領民でにぎわっていたが、この<アルダ>に来ていた領外の人々も楽しんでいるようだ。


 もちろん<アルダ>に入るには、<魔眼>持ちがチェックするため悪意のあるものは中に入ることはできないので、安心だ。


 俺はこの世界での初めての祭りにわくわくし、先ずは食事関係の出店に行くこととした。

 そこには、魔界森や<神猫>で取れた魔獣を調理した様々な料理が売られており、それはそれは良い匂いがしてくるのだ。


 例えば、詳しい名前は知らないが鳥系の魔獣の串焼き・・前世の焼き鳥に近いが、肉自体がありえないほどの食感なのだ。


 初めの歯ごたえは腰があり、噛むととても柔らかく変化する。


 そして肉に飽きてきたら飲み物だ。エルフ族が住む森の果物から抽出した飲み物らしく、さっぱりしているのに口の中にまろやかな味が残るのだ。


 前世ではとても味わった事のない味だ。


 お腹が膨れたら、装備を見ることにした。買うわけではないが、ここではドロップで手に入れたアイテムの他に、執念深いドワーフ族が鉱石から加工した独自の武具があり、どの様なものがあるか興味があったのだ。

 

 出店に出ている武具を見ていると、そこに兄ロイドの護衛である<猫獣人>のミーナがいた。


 彼女は兄さんと同じく拳で語り合うタイプなので、そのあたりの武具を物色しているのだろう。


 今度近衛騎士にはドロップアイテムを渡せるといいな。俺と父さんの近衛騎士であるラムと二コラは持っているので、戦力は同等位にしておきたい。


「ミーナ、武具を探しているの?」


「ジン様、実はそうにゃんです。この間のLvアップで今あるどの武具もすぐ壊れてしまうんですにゃ」


 あ、微妙に猫言葉なんだ。

 でも、武具がすぐ壊れてしまうのはかわいそうだな。

 

「どんな武具を探しているの?」


「やっぱり攻撃力が上がるグローブと、ブーツにゃのです」


 よし、心のメモに記入して水晶さんにどうすればいいか相談しておこう。

 相変わらず他力本願だがしょうがない。


「もし今度良いドロップがあったら取っておくよ」


「ありがとうございますにゃ」


 そういって、あまり邪魔をしないようにこの場を立ち去った。


 その後は相変わらず飲み食いしたり、何故か出店状態になっているお風呂ではなく足湯?につかったり、楽しい一日を過ごすことができた。


 まもな日も落ちてきて祭りもそろそろ終わりか?と思った時に、門番のボノガから<念話>が入った。


 <アルダ>の一般住民以外は、俺の<神の権能>を使用して、領内であればだれでも<念話>を使えるようにしている。


 領内限定とスキルの能力を制限することで、<念話>スキルを持っていない者でも体への負担がないようにしたのだ。


『ボノガより緊急報告。既に一部警戒に当たっている者や高Lvの者は気が付いていると思うが、現在東門に辺境東伯と王国の旗を持つ一団が近づいてきている。同様に西門にも辺境西伯および南伯の旗を持つ一団がきており、更には南門には、スキル<隠密>を使用した数人の斥候が来ていると報告を受けている。大至急警戒態勢を取られたし』


 俺、すっかり警戒していませんでした。

 このタイミングかよ。


 慌てて気配を探るとボノガの報告通りで、それ以上の事はなかったので一安心だ。


 各門には頼りになる俺の契約魔獣がそれぞれ向かっているしね。


 そこに父からの念話で、


『祭りが終わるまで余計なトラブルは避けたい。大至急全ての門を封鎖しろ。狙撃班はこちらからは攻撃するな』


 と指示が出て即門が閉じられ、ドワーフの誇る魔法防壁により彼らのLvでは我々には何もすることができなくなった。


 今祭りを楽しんでいる領民は、何も知らないまま祭りを終えることができるだろう。


 そうしていよいよ祭り終了の時間がやってきた。


 かなり外は薄暗く、時々ドーンという音と小さな光が外から見え聞こえるが、領民は祭りのイベントと勘違いしているようで誰も驚いていない。


 実際は、クズ共がしびれを切らして攻撃しているのだが・・・


 祭り開始と同様に、皆が城の前の広場に集まり父さんが、


「皆、祭りを楽しんでもらえただろうか?存分に楽しんでもらえたならうれしい。そんな時にこのような事を話さなくてはならないのは非常に心苦しいが聞いてほしい」


 そして、いまの<アルダ>のおかれている状態・・謂れのない言いがかりでおそらく逆賊扱いになっており、残念ながら現時点で攻撃を受けていること。


 しかし、彼らのLvでは領民の安全に問題はないので心配しないで良いこと、今後は彼らと徹底抗戦することになる可能性が高いが、領民の安全は命に代えても守ることを伝えた。


 領民の反応は分かれるかと思ったが、流石尊敬する領主である父さん、ダン・アルダだ。

 領民は口々に、


「何が逆賊だ、そんな奴らに良いようにされてたまるか!!」


「我らがダン様に言いがかりをつけるとは・・」


「ダン様に栄光あれ、我らが<アルダ>に栄光あれ!!」


 と、最後には<アルダ>コールが起こる始末だ。


 領外から偶然来ていた人族は少し驚いていたようだが、そもそも<アルダ>に敵意がない者しか領地に入ってこられないため、こちらの言い分に納得しているようではあった。

  

 今この瞬間も攻撃をされているので、彼らを<アルダ>の住民ではないと解放してもそのまま攻撃されてしまう可能性が高いため、領内にいて貰った方が良いだろう。


 父さんが手を上げ、<アルダ>コールは止まった。

 

「皆、ありがとう。私、私の家族、そして近衛兵を含む皆が領民を守るので安心してほしい。これから外の不遜な連中と一応は交渉するが、今までの経緯から決裂するだろうと思っている。その場合、我らは<シータ王国>から独立し、新たな国として!! より良い国として活動していくことをここに誓う!! 全力で行くぞ!!」


 うぉ~!!


 地響きのような歓声と共に祭り?は終了した。


 そうして父さん、兄さん、俺、神獣4人、そしてそれぞれの近衛兵を伴い、王国の旗と変更東伯の旗があると報告のあった東門に向かった。


 契約魔獣は既に各門に到着し警戒に当たっている。


 東門に到着し魔法城壁の上から外の状態を確認すると、必死に魔法を行使する者と、物理的に城壁を破壊しようとしている者、そして壁自体を登ろうとしている者が見えた。


 残念ながら、我らがドワーフはその程度のことで敗れる城壁など作っていない。あいつらの執念を身をもって思い知れ。


 と思っていると、やはり誰も突破することはできずに見事に疲れ果てるか、落下するか、武器が破壊されるか・・・


 なかなか見ごたえがある状態になっている。


 父さんはこのまま話をしてもとても聞ける状態ではないだろうから、もう少し待って相手が疲弊したころで話をすることとしたようだ。


 その間に俺は、水晶さんとある相談をしていた。


『ここ<神猫>以外の4大地下迷宮(ダンジョン)である<神龍><神鳥><神狼>について、彼らのLvアップの助長やドロップ、肉等提供することになりかねないので、封鎖とかいい方法はないだろうか?』


『今現在各<神猫>以外の地下迷宮(ダンジョン)に侵入している者は合計で831人になっています。最高到達層は4階層であり、完全封鎖を実行すると、内部の侵入者は外に出ることができなくなります。その為、到達層以降の侵入可能設定を変更するとともに、侵入層までの魔獣の出現数を0、当然ドロップも0とするのではいかがでしょうか?』


『いいね、こちらにデメリットはある?』


『なにもございません。侵入者は何れ地下迷宮(ダンジョン)から出ていくので、その時点でそもそも進入禁止設定にする方法をとればよいと思います』


『よし、きっとこれからの交渉はうまく行かないと思うので、その時は即実行して』


『承知しました』


 あれ?これならわざわざ魔界森の塔5階層に行かなくても、全部管理できるのでは? と思ってしまったが、言わない。


 そもそも俺は全く管理していないので言えないのだ。


 そんなことを思いつつ、魔法防壁下で蠢いている腐れ人族を見つめていた。

お読みいただきましてありがとうございました。

ブクマや評価が気になり始めている今日この頃です。

是非実施していただけると、とても嬉しです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ