<アルダ>の強化(7)・・神狼達と契約完了そして召喚(4人目)
やっと家族全員と逢えました
基本方針が決定され、家族と近衛、召喚魔獣と神獣以外が退出した後の円卓にて・・
「ジンよ、ここまで<アルダ>の基礎能力を上げてくれて感謝する。さっきは皆に侮るなとは言ったが、ここまでくればよほどのことがない限り危険に晒されることはないと考えている。個別にいる所を集団で襲われたり、Lvの低い領民が襲われたししない限り大丈夫だろう」
「そうだぞジン、俺もお前のサポートのおかげでLvが爆上がりだ。危ないことがあったらこの兄であるロイドが全部ズバーっと解決してやるから大船に乗ったつもりでいろ」
「またロイドは!ズバーっとかわからないって言っているでしょ?それよりもお姉ちゃんである私ソフィアに全て任せておきなさいよジン。私もこうみえてかなり強くなったんだから」
「ジン、皆のために色々してくれて疲れているでしょう?もう少しゆっくりしてもいいんですよ?」
家族全員が俺にとても気を遣ってくれている。こんな風に皆が皆の事を思いやる素敵な<アルダ>。この場所を守りたくて力を使っているのだから、別に疲れるなんてことはない。なぜかいつも眠いけど・・
「大丈夫だよ。皆ありがとう。早速だけど、ここの<神猫>を攻略して残る家族と契約をしてきたい。そうすれば<アルダ>の守りも盤石になると思うんだ」
「そうだな。ジンも早く家族に会いたいだろうから行ってくるといい。残りの情報収集先の配置など細かいところはこちらでやっておく」
「ありがとう父さん」
そして俺と神獣3人、契約魔獣2人、近衛騎士のラムの合計7人が退出しようとしたので、防衛のために契約魔獣には<アルダ>に残ってもらうこととした。
「ウェインとユフロは、<アルダ>防衛のためにここに残ってくれないか?特に父さん、母さんはLvが高い訳ではないし、近衛だけでは不測の事態に対応できないことがあるかもしれない・・」
「「承知しました」」
そう、彼らは文句を言わないのだ。これがラムであったらいくら俺がお願いしてもスキルを最大限使用してでもついてくるだろう。神獣の3人は最早言うまでもない・・。
「そういえば父さん、今<神鳥>で召喚した魔獣がLvアップをしているので、おそらく今日の夕方にはこっちに帰還できると思う。時間的に俺が<神猫>を攻略するのとそう変わらないので、一緒に紹介できるかもしれないよ」
「おお、そうか。楽しみにしているぞ。気をつけてな」
そうして俺は<神猫>入口まで転移でみんなと移動した。 いやしようとした・・・のだが、スキル<転移>が発動しないのだ。
あせっていると、モモが
「どうやら魔法防壁のせいですね、内から外、外から内共に高い防御性能を付加しているようで、防壁を跨ぐ魔法による移動はできなくなっていますね。彼らの力が一気に強大になってしまったせいか、細かいコントロールまではできていないため、ご主人様など味方を除外する設定ができなかったのではないでしょうか?」
「ふむ、流石我らが<アルダ>の誇るドワーフ族だ。安全を最優先に即防壁を強化するとはなかなかやるではないですか」
いやいや、ラムよ、君はきっと大きな勘違いをしている。
あいつらはむしろ俺の移動を阻害することに命を懸けている気さえするんだ。
そしてモモよ、君も勘違いしているぞ。あいつらは細かい設定はやればできるのだろうが、基本的におおざっぱなので、できてもやらないぞ。
でも、内から内、つまりここから門の出口までは行けるのかな?
そう思い試してみると転移することができた。
という事は俺の<転移>のLvを上げない限り、外から直接防壁内部に入ることができないわけだ。
ちょっとめんどくさいが、こうなったらこっちも意地だ。今回の<神猫>攻略後に水晶さんにお願いして<転移>のLvが上昇しやすい魔獣を準備してもらおう。
悔しがるあいつらの顔が目に浮かぶぞ。フフフ
でも待てよ、あいつらの執念は凄まじいものがあるから、もしかすると勝手にLvを上げ始めるかもしれない。危険を伴うことも平気でやりそうなので、ここはこちらが少し大人の対応をして、内緒で転移できるようにしておこう。
そうと決まれば、早速<神猫>の攻略を始めよう。
俺たちは門の外までは歩いて出て、即<転移>で<神猫>入口前まで移動した。
そこには、<アルダ>領に所属する人族が入場、退出を管理しており、万が一行方不明等が出ないかを確認しているのだ。
そもそも、初心者育成用と思われているため、力の無い物が良く<神猫>に潜る。そうすると予定の日数を経過しても戻らない事が多々あるため、<アルダ>の騎士団が捜索に出ることになるのだ。
残念な結果になっていることも良くあるので、初心者にはここは決して甘くない事。そしてその他注意事項などを伝えているのだ。
しかし、辺境北伯を侮っている者が相当数おり、あまり聞き入れられていないのが現状だ。
<アルダ>側としては、無駄に命を散らすことは避けたいため、継続して注意喚起をしているのだが・・
今回の王国とのトラブルで、ここ辺境北伯が逆賊扱いとして扱われるようになったら、きっとこの場所も劇的な変化が起こってしまうのだろう・・。
俺たちは早速<神猫>に入った。現在この中にいる人族はやはりLvが低く、2階層を超えたあたりで誰もいなくなってしまった。
そこからは周りの目を気にする必要がないのでいつもの通り全力疾走だ。
そうして体感で3時間ほど・・・日に日に強くなっている気がするが最下層への転移水晶がある場所まで到達してしまった。
深層は、俺と<神獣>の合計4人が<神級>のスキルを使用しまくったため、いつもより早い到着になったのだろう。
ラムは残念ながら最大のスキルが<Lv9・・聖級>なのでスキルの制約を受けており、あまり魔獣にダメージを与えられてはいなかった・・
そして来ました最下層。
そこには茶色の髪の毛、目が紫の幻想的な美女であるシロが微笑みながらこちらを見ていた。
「ジン、ずっと、ず~っと待ってたんですよ。他の神獣からメッセージが届いていましたが、一番近くにいる私が最後だなんて、ちょっと悲しいです・・でも、又逢えて、今とっても幸せです・・・」
シロは目に涙を一杯ためて優しく抱き着いてきてくれた。
他の神獣も100年ぶりに逢うシロに優しい微笑みを浮かべていた。
ラムは、一歩下がって控えている状態だ。
「最後になってしまってごめんなシロ、これからはみんなとずっと一緒だから幸せになろうな!!」
「はい・・はい・・ジン!」
一応神であるはずだが、今は俺にしがみついて離れない美女だ・・・
優しく撫でてやり、俺も家族みんなに逢うことができたことを喜び、心の中で、名前の知らない地球の神様にお礼を言った。
そしてシロが落ち着いたころ・・攻略よりもそちらの方が時間がかかった気がするが、いつものルーチンで服を着てもらい、水晶さんの統合、そしてシロとの契約を実施した。
そういえば、俺の種族がこれで4/4になるはずだ。
どうなったのだろうか? いやそれを確認するよりも前に水晶さんに確認しておきたいことがある。
『水晶さん、これで4大地下迷宮全ての統合ができると思うんだけど、以前統合の数が増えた時に力が上がったと言っていたよね、全ての統合で何か大きく変わるんじゃないかと思っているんだけど、どうなの?』
『さすがジン様、その通りです。神が作られた全ての4大地下迷宮を踏破・統合した場合、この4大地下迷宮の位置する内側の領域、魔界森と言われている部分も管理対象に含まれます。実はこの魔界森も地上にある迷宮なのですよ』
『そうか、道理で魔界森から魔獣が出てこないなど不思議な現象があったんだな。わかった。他に大きな変化はあるのかな?』
『細かい変化はありますが、大きな変化はこれだけです』
『わかった、ありがとう。細かい話はまた別に聞くとして、ここでの召喚も実施して帰還したい。なぜだがいつもよりも更にまた眠くなってきたんだ』
『それは大きな力を得ており体に負担がかかっている為睡眠を欲しているのでしょう。ジン様は各種耐性をお持ちのためその程度で済んでいますが、耐性がない場合はおそらく気絶している程の激痛にさいなまれているはずです。ではお疲れでしょうから早速召喚をお願いします。Lv上げはこちらで実施しておきます』
『ありがとう、頼むよ』
そう言い、俺は召喚を実施した。
以前の話によれば、ここ<神猫>で召喚する魔獣は広範囲攻撃に適した魔獣が召喚できるはずだ。
人柄も攻撃的じゃなければいいが・・・
「ジン様、召喚いただきましてありがとうございます。エレノアと申します。粉骨砕身、全力をもってジン様のために身命を賭して働かせていただきます」
うぉい、これまた美人、美人さんや。堅苦しいけど。
こうなってくると、贅沢な悩みだが同じ男であるウェインが恋しくなってくるな・・
いや、変な意味じゃないぞ。きっと眠くて思考能力が落ちているんだ。
まてまて、そういえば<転移>のスキル上げをしなくちゃいけなかった気がするが・・・
『ジン様、全く問題ありません。全ての力が今すぐに使えるわけではありませんが、ジン様は種族も変わっており<転移>もLvの枠にとらわれずに使用することが可能です』
そうか、そうか・・・もう眠くて種族の変化も突っ込む気が起きないや。
帰って寝よ。布団が俺を呼んでいる。
俺はエレノア以外を連れて、自宅に転移した。
転移は問題なくできたので即布団に潜り込み深い眠りについた。レイラ、迎えに行けなくてゴメンな。
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