<アルダ>の強化(5)・・召喚(3人目)
ますます鉄壁の婦人いや布陣になっていくような・・
全員が<アルダ>に帰還したのはLvアップ作業開始をしてから3日目の夜だ。
皆ケガもなく・・兄さんだけは服がボロボロだったが・・無事終了して安心した。
まずは一晩全員ゆっくりし、明日の朝から各自のステータスを確認、そして連携が必要なメンバーは連携の確認、ドワーフ族は防壁を補強、俺たちは今後の方針を決定・・・と作業を行うこととした。ドワーフよ・・
一部の防衛組もLvアップを行っていたので、夜の警備を補完するべく<幻獣>であるウェインとユフロが警戒に当たってくれるとのこと。
ウェインも言っていたが、基本的に幻獣は睡眠せずとも問題ないとのことなのだ。
俺は、全員の無事を確認したので、モモ、トーカ、ソラと共に自室に戻り就寝させてもらうこととした。
最近は彼女たちの存在に癒されて体がリラックスできているのか、昼間の疲れが出ているのか、眠くてしょうがないのだ。
部屋は全員で俺の部屋を使っている。
彼女たちは俺から離れることを極端に嫌がるので、しょうがなくですよ、しょうがなく。
そこのところは間違いないようにお願いします。 へっへっへ。
残念ながら、ベッドも全員分くっつけられており、俺が寝るときは皆それぞれのベッドにいるのだが、気が付くと両脇と何故か上に分かれて皆がいるのだ。
前世では、モモ(犬)とシロ(猫)は良く布団の中に潜り込みに来たのを思い出した・・・
よし、寝ようと思った時に・・
『ジン様、お休みになる前に少し提案があります。現在ジン様の僕として<神狼>のウェイン、<神龍>のユフロがおりますが、既に攻略した<神鳥>と、まもなく攻略する<神猫>でも魔獣を召喚することをお勧めします。それぞれの魔獣には特色がありますので・・』
言われてみれば2人の特色も違っている。
<神狼>召喚獣ウェインは、隠密系。
<神龍>召喚獣ユフロは、防御系。
『<神鳥>では、回復系をメインにできる魔獣を、<神猫>では、広範囲瞬滅系統の魔獣を召喚しやすいのです』
水晶さんは相変わらず色々考えてくれている。
良い方向になるので、アドバイスには従おうと思う。
『わかった。そうさせてもらう。召喚自体はすぐだから、今からするか?』
『可能であればそのようにして頂けると助かります。その後、明日の夜までにはLv上げも終了させておきますので』
なんてありがたいんだろう。よし早速行こうか。もちろん他の3人も一緒だ。
そして、<神鳥>の制御室に転移し、早速召喚を行った。
召喚された魔獣は、またまたきれいな女性だった。
というよりも、ウェインだけだな男は。いや~ホント帰還させなくてよかった。男が俺だけだと何となく寂しくなっていたところだよ。
「ジン様、召喚いただきましてありがとうございます。そちらにいらっしゃるのは神々の皆さまですね。今後ともよろしくお願いいたします。私はレイラと申します」
俺の家族はにこやかに微笑みながら返事をしていた。
「「「よろしくおねがいします」」」
俺はあいさつの後にレイラにお願いをした。
「ああ、よろしく頼むよ。悪いけどこれから俺たちは一度領地である<アルダ>に帰還するので、状況は水晶さんから聞いておいて。それと、明日の夜くらいまでにLv上げ作業をしてもらうので、そっちも頼むね」
「承知しました。全身全霊をもって任務にあたらせていただきます」
う~ん、俺としてはもう少し砕けた感じがいいんだけどな。慣れれば変わってくれるだろうか?
そう思い、今回は特に話し方について特にお願いすることもなく直接自室に戻り、就寝することとした。
明日の夜にはドワーフのせいで直接部屋へは転移できなくなっているかもしれないんだな。
しかし、今のところ一応計画通りに進んでいるので過剰な警戒は必要ないかもしれないな。
クズの使者を追い返してから1週間もたっていないのだ。
父さんが言っていた鳥などを使った高速通信でもない限り、今でこちらの状況は伝わっていないだろう。
そんなことを思いつつ皆で夢の中へ旅立った。
のだが、若干外が騒がしくなった気がした。
モモ、ソラ、トーカも気が付いているらしく、横にはならずに体は起こして真剣な表情をしている。
そこにウェインから、
『ジン様、お休みのところ申し訳ありません。現在魔法防壁に攻撃を受け、防御機能が発動しました。ドワーフの皆さんが飛ぶようにこちらに来て、何故か防壁の状態のみを気にしていますが、特に大きな問題は出ておりません。状況の報告は既にダン様にも伝えさせていただいております。大した魔法攻撃ではなく、継続していない事、防壁外にいる人族のLvが低いことから問題はないと判断しております。しかし、ユフロも引き続き警戒態勢をとっておりますので、どうぞごゆっくりお休みください』
『状況連絡ありがとう。俺の<気配察知:Lv9・・聖級>にも大したLvの者は防壁外に引っかからない為、ウェインの言う通り問題ないだろう。ただし、警戒は怠らないように頼むよ』
『承知しました』
なんでこんなに早く仕掛けてきたのか?
これはクズ共に関係がない攻撃だったのか気になる所だが、たかが知れているLvの者が行った事であり、捕まえても白を切りとおすだろうから放っておくことにした。
ウェインに尾行させることも考えたが、逆に尾行させることによりこちらの戦力を下げに来る狙いがあるかもしれないので、結論として放置としたのだ。
これは水晶さんが一人追加で召喚するように伝えてくれたのも良いタイミングだったかもしれないな。
父さんもこの状況を知っているとのことなので、今後の方針については考えることが増えそうだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
一方、攻撃を仕掛けた人族は、暗闇に紛れてスキル<隠密:Lv5・・上級>という、人族では最高峰と言っても過言ではないスキルを使用して潜んでいた。
彼、いや彼らは<アルダ>が最早人族レベルでは侵入すらできない鉄壁の要塞になっていることを知らないのでしょうがないのだが、運が良ければこの騒ぎで周囲を警戒に来るであろう見回りを拉致して、内部の情報を吐き出させた挙句に人質として使用することを考えていたのだ。
しかし、戦力が桁違いに上がってしまった<アルダ>の主要メンバーには、取るに足らないLvと一蹴されているのを彼らは知らない・・・
実は、彼らはこの地域の辺境伯に関連する者ではなく、<シータ王国>内の別の地下迷宮管理者一族に連なるもので、<隠密:Lv5・・上級>も管理者権限の力を借りて得たのである。
そう、人族最強<S:帝級>一族の関係者だったのだ。
もちろん彼らも他種族排他主義であり、<アルダ>の他種族との共生が気に入らない。また、自分の管理している地下迷宮よりもはるかに高いLvの地下迷宮を男爵と揶揄されている辺境北伯が管理しているのも気に入らないのだ。
ここに潜んでいる彼らは管理者ではないが、管理者によるメリットについて極秘で教えられており、もし4大地下迷宮の1つでも管理者になることができれば、今とは比べるまでもないLvアップや富を得ることができる事を知っている。
よって、管理者である彼らの主人から、少しでもダン・アルダを排除するか、<アルダ>領を剥奪させるか・・何れも難しければ奪い取る方法を探すように命じられている。
その為の潜伏作戦であったのだが、彼らはこのまま日が昇るまで誰も見回りにすら来ない城壁の外で、もはや存在がばれているにもかかわらず、<隠密:Lv5・・上級>を使い続けて待ち続けるのであった。
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