<神龍>攻略完了(2)
今日二話目の投稿です
俺、トーカ、モモ、ウェイン、ラムで再深層(200階層)に戻り、<空間魔法>によって異空間にいて貰っていた<龍人>の皆を呼び戻した。
皆、俺の付与したスキルとドロップされたポーションのおかげで、具合もよさそうで安心した。
但し、付与術による付与スキルは、付与された本人とのLv差があると体に大きな負担をかけるため、この時点で解除しておいた。
「ジン殿、思ったより早く異空間から戻されたようですが、<神龍>の攻略は完了したのでしょうか?」
龍人族長のチェダが聞いてきた。
「全力で行ったので、予定よりもかなり短い時間で攻略できたよ。皆の状態は良さそうに見えるけど、問題ないよね?」
「はい。もちろんです。ありがとうございます」
「そこで、ちょっと相談なんだけど、このまま地上に戻したりするとまたトラブルになると思うんだ。本当なら、種族差別なんてない<アルダ>領に来てもらうのが一番なんだけど、これから大きなトラブルが起きそうな状況なので、安全とは言い難い。なので、この<神龍>の中に隔絶した新たな層を作るので、そこで暫く生活してもらいたいんだけど・・希望の環境、例えば森がいいとか何かある?最低でも、果物のなる木、魚のいる池、作物の作れる畑は準備させてもらうけど・・あ、もちろん魔獣はいないよ」
「そこまでして頂いてありがとうございます。もしよろしければ、岩のエリアを少々用意していただけますでしょうか?爪を研いだりするときに使いたいもので・・」
「問題ないよ。他にはないかな?」
「ございません。皆者も、聞いた通りだ、ジン殿が我らを保護してくださる。わかっているだろうが、恩には恩で返す事を忘れるな」
「「「は!!」」」
何故かみな俺の方に跪いてしまった。
「いやいやいや・・こういうの無しで!俺が緊張しちゃうから!!!」
慌てて、新たな特別な階層を作るように水晶さんに依頼したのだ。
そうそう、肉については、水晶さんが定期的に送付してくれるとのことで一安心。
よし、一応目的は達したし、攻略自体も1日程度で完了できることが分かった。
これからの予定としては、まずはウェインを戻して、次の攻略目的地である辺境伯西領、<神鳥>へ向かう・・と。
何が起こるかわからないから、先行してウェインには戻ってもらうか。
「ウェイン、忙しくして悪いけど、今回の攻略は終了したので、<アルダ>に戻ってもらえるか?」
「承知しました。また何かあればご連絡いただければ馳せ参じます。それでは」
ウェインは<転移>で<アルダ>領に戻った。
仕事が早い。
『ジン様、<アルダ>に到着しました。したのですが、何やら門番の<ボノガ>と揉めている者がいます。ひょっとすると、辺境東伯の使いではないでしょうか?』
おいおい、想定外のタイミングだぞ。
<神龍>の踏破が早く済んだからよかったものの、もし遅れていたら・・いや、まだあのクズの使いかどうかはわからないからな。
『少し、気配を消して様子を見てくれるか?もし<ボノガ>や他の<アルダ>の領民に危険がせまったら対処してくれ』
『承知しました』
『現在、彼らの会話を聞いていますが、どうやらいきなり領主であるダン様を出すように騒いでいるようです。騒いでいるのは・・・やはり辺境東伯の使いで間違いなさそうですね。使いがダン様の所に行っていましたので、今はこれ以上は揉めないと思います』
いや、危なかった。猛ダッシュで<神龍>を攻略して良かった。
しかし、あのクズ本当に来たんだな。
想定されているのは、俺が「勝手に暴走して行方不明になった」という事を伝えることだが、どうなることか・・
もう少し注視する必要があるだろう。
『ウェイン、お前が<アルダ>に戻ったことは父上は知っているのか?』
『いえ、戻ったら揉めていたものですから、先ずはジン様に報告させていただきました』
『そうか。父上の対応は、ウェインが<アルダ>にいるか否かで対応が変わると思うから、今戻ったことを伝えておいてくれ。あと、俺と連絡がついていることも忘れずに』
『承知しました。すぐに・・・・・』
『ジン様、ダン様は全て了解した。とのことでした』
相変わらずの速さですね。
『ダン様は、門に出向き、用件を聞くことにしたそうです。私はそのままダン様の陰に入り護衛を行います。ダン様直属の近衛騎士である二コラ殿が表立った護衛として同行しますが、念のため・・』
俺達家族の近衛騎士には、全員父上がこの<アルダ>に連れてきた、魔界森から追放された人族以外の者がついている。
特に二コラはエルフでありながら、剣術が得意という変わり者だ。
Lv:57・・A(上級)であり、地下迷宮管理者になっている人族を除けば、ほぼ最強と言える。
残念ながら、同族のラムには抜かれてしまっているのだが・・
彼がついていれば問題はないだろうが、油断して取返しがつかないとまずいので、そのまま護衛に入ってもらう。
そして会話をそのまま報告してもらうと、予想通り俺の暴走という事を言ってきた。
まあ、ここまでは我慢できる。しかし、その後が許容範囲を超えていた。
許容範囲を軽く超えてきた彼らの会話は、
「ダン殿、我が主、辺境東伯のザイド様が申すには、あなたのご子息ジン殿は、他の辺境伯様の子供の手柄を奪おうと暴走した挙句勝手に失踪し、そのせいで残された方々は相当危険な目にあったという事です。この責任はどのように取るのでしょうか?これは、他の辺境伯である、南伯ロウン様、西伯マロイ様も同様の事をおっしゃっており、こちらがその旨が書かれた連名の書簡です」
「そうか、そのようなことがあったのか。しかしジンは<テイマー>であり、他のメンバーと比べるとまともな動きはできない。その辺りは辺境伯もご存じのはずだが・・・。明らかにLvの劣るジンが、しかもスキルは<テイマー>しか持っていないのに、勝手に失踪するまで動けた経緯を教えてもらいたい」
使者は、まさか行方不明となっている息子の事を聞かされても微塵も動揺せず、挙句の果てには逆におかしいところを突かれるとは思ってもいなかったようで、少し動揺している。
「な、何をおっしゃっているのでしょうか?それは我が主を含め他の辺境伯様への敵対行為ですかな?」
「何処が敵対かわからないな。単純に疑問に思った事を聞いただけだが・・。書簡に書いてあるかもしれない事を期待して、ここで読んでみるか・・」
そうして、父上は書簡をその場で開封し読み始めた。
普通は礼儀的に、その場、しかも外でいきなり開封して読む事はしないのだが、かなり頭に来ているのだろう。
「ふむ、私の疑問に対する回答は一切なく、ここの領地および辺境北伯管理の<神猫>を他の辺境伯へ管理を移せと一方的に書いてある。これは常識的に考えて、到底受け入れられるものではない。正直返事を書くにも値しない。即刻この手紙と共にお帰り頂こうか」
流石は父上。主張すべきはきっちり主張して領の権利を守っている。まさに領主の鑑だ。
「くっ、そのような暴挙にでてよいのですかな?この内容は各辺境伯様だけではなく、<シータ王国>国王様の意向でもあるのですよ?」
「このような一方的な言いがかりで、領民を路頭に迷わせるわけにはいかない。これ以上話すことはない」
流石父上。これぞ上に立つものだ。
「人族以外とも共存という世迷言を言うばかりか、国王様の意思に反するとは、脳まで他種族に侵されたか・・」
使者達は、父上が意見を曲げることがないと気が付いたか、捨て台詞を吐いて<アルダ>から去っていった。
そもそも領内には入れなかったのだ。
その後、ウェインを通して父から今後の戦略を練るべく、至急帰還するように指示を受けたため、<神鳥>の攻略は一旦中止とした。
ひょっとすると、辺境北伯にある<神猫>を先に攻略することになるかもしれないな。
そして、俺達は転移を使用し即<アルダ>に帰還した。
読んで頂き、ありがとうございました。夜に、キャラのステータスを投稿できればと思っています。
誤字報告ありがとうございました。




