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魔獣とその他50匹

 前回、初討伐任務に喜々として向かったが肩透かしを食らってしまった二コラだ。

 だが今回は全く話が違う。

 <ドツマ大陸>の担当をしていたセリア隊長から、<SSS:神級>の魔獣がいたとの報告が来たのだ。

 その魔獣は、隊長格の攻撃を無傷で防いだらしい。

 と言っても、一割の力で攻撃したらしいのだが、それでも無傷で防ぐとはなかなかの強者、<SSS:神級>で間違いないだろう。


 そんな状況が<念話>で報告された時には、私はいてもたってもいられなくなった。

 護衛中であるにも関わらず、この様なことで心を乱すようでは近衛失格だ。


 だが、わが敬愛するダン様には私の心はお見通しだったようだ。


 「二コラ、前は不完全燃焼だったようだな。今回は本物のようだ。隊長達も複数現地にいる事だし万が一もないだろう。どうだ?腕試しに行くか?」


 なんと、ダン様自ら私に出撃を進めて下さったのだ。

 本当にありがたいことだ。


 すると、その場にいらっしゃっるヤリス様も自らの近衛であるオルドに対して同じような事を仰っている。

 いやいや、オルドはいらないですよ。私だけで充分です。

 取り分が減りますし・・・とは口には出せないのだが・・・


 そんな希望も虚しく、何と二人で向かうことになってしまった。

 そして、その旨をジン様に報告し、前回の醜態をご存じのジン様は<SSS:神級>は私、その他の魔獣はオルドと担当を決めて下さったのだ。


 そして、可能であれば<SSS:神級>については捕獲可能であれば捕獲するようにご指示を頂いた。

 ありがたいご指示に全力で答えるべく、即<ドツマ大陸>に<転移>した。


 報告の通り、瘴気は除去されておりスキルに何の影響もない状態だ。

 念のためではないが探索系統のスキルで避難民を探してみたが・・・これも残念ながら報告通り何も見つけることはできなかった。


 気を取り直して、隊長達の所に行くことにする。

 即現場に<転移>し、状況を確認した。

 

 確かに50匹いるなかで一匹だけ別格の強さの魔獣がいる。

 隊長達が結界を張っている中に囚われている形だが、状況は分かっているはずなのに怯えるそぶりすらない。

 いつでも抜けられると思っているのだろうか。


 そして、結界の中は荒れ狂う災害の後の様相だが、残留魔力から察するにマーニカ隊長の攻撃による物だろう。

 

 マーニカ隊長は広範囲の攻撃を得意としており、模擬戦でもよく使っている。あの攻撃を無傷で耐えるとは、フフフ、なかなかの相手に巡り合えたようだ。


 他の魔獣が邪魔にならないように、結界を二つに分けて頂いた方がやりやすいな。やつらは一カ所に固まっている状態だが、幻獣部隊の方々にとってはそんな状況であっても結界を分割してしまう事は容易いだろう。


 『エレノア隊長、セリア隊長、ユフロ隊長、これから我らが担当する魔獣を討伐するのでそれぞれ分けた状態で結界を張って頂けますか?』

 『『『わかりました。』』』


 やはり隔絶した力をお持ちの隊長格だ。何の問題もなく目の前でやつらを隔離して見せた。


 よし、これからが私の本当の実戦だ。


 「オルド、行くぞ!」

 

 オルドは私の声に頷くと、50匹近い<SS:聖級>の魔獣がいる結界内部に<転移>した。

 既に武具は通常の状態で展開ているために、オルドの手には持ち手は黄金、刃は銀の槍が握られている。


 気合は十分のようだ。よし、では私も行くとするか。

 私の相手は間違いなく<SSS:神級>だ。

 といっても、<アルダ王国>隊長格と比べると雑魚も良い所だが・・・


 しかし、油断や慢心などは愚策である。

 漆黒の刃で、柄は金色の武具を開放し私の獲物に近づく。


 その魔獣は、私が<SS:聖級>だとわかったようで勝ち誇ったようにこう言ってきた。


 「貴様らは、魔神様に弓を引いた愚かな集団だ。その見せしめとして魔神様より頂いたこの力、<SSS:神級>の力を持って手始めに貴様を地獄へ叩き込んでやる。<SS:聖級>程度でどうにかなるつもりなのか?それともこの結界を張っている<SSS:神級>の助けがあるから自分が強くなったつもりなのか?」

 「確かに私は<SS:聖級>だ。だがお前程度であれば私一人で十分だ。」


 この魔獣は、どこかの大陸の神の力を受け継いでいる。だが、受け継ぐにしても強大な神の力をその身に取り込める土台が必要なはずで、そもそもの力がある魔獣だったか、何らかの魔術で対応したかの何れかだろう。

 

 私は油断なく剣を構えて、どの様にこの魔獣を捕縛するか考えを巡らせる。

 この魔獣は一般的な人型だ。とすると、四肢を切り落としてしまえばそれでいいか?仮にその状態でも魔法を行使してくるようであれば五感の内、そうだな、視覚、聴覚を潰せば十分だろう。

 

 よし、方針は決まった。

 あとはこの魔獣の持つスキルに注意すれば問題ない。


 魔獣は怒りに顔を強張らせつつも、当然無詠唱で魔法を放って来た。

 <炎魔法><氷魔法><雷魔法>と言った所だ。


 ふむ、流石に他者から奪った力とはいえ<SSS:神級>だ。何もなしで直撃してしまえば、流石の私もダメージを負いそうだ。と言っても若干だが。

 

 しかし、わざわざ回避するまでもない。ジン様から頂いた武具である剣を通常状態のまま一閃し、私に向かってくる魔法を切断した。


 切断された魔法は、私の両側をすり抜けた後に地面に着弾し大爆発を起こした。

 その隙に、魔獣に肉薄したが危険を察知したのか距離を取られてしまった。


 「貴様、なんだその力は。たかが<SS:聖級>が神の力を叩き切るとは。これは<SS:聖級>だからと言って油断していい相手ではなさそうだ。良いだろう、小手調べは終わりだ。これからは全力で行くぞ。」

 「是非そうしてくれ。こんな攻撃では私の鍛練にならないのでな。」

 「な、鍛錬だと?」


 よしよし、これでこの魔獣は本当に手加減はしてこないだろう。

 私が全力を出しても、隊長達の結界のおかげで被害を考える必要もない。

 

 その私の思いが漏れてしまったのか、結界の強度が上がってきた。

 こうなると結界の外の音すら聞こえなくなる隔絶した空間になってくる。

 

 そんな中、何故か念話が来た。


 『隊長、こっちは終わっちゃいましたよ。くっそ~、なかなか強そうじゃないか。羨ましい。』

 『残念だったなオルド。だが見る事で自らの鍛練にもなるだろう?』

 『確かにそうですね。でももし次回のチャンスがあれば、私が<SSS:神級>ですからね!』


 オルドにとっては<SS:聖級>が50匹いようが相手にすらならないのは分かっていた。

 ここからは私の戦いを見て、自らの糧にしてもらおう。


 私は武具を一段階解放した。

 刃の先端が銀色になり、ここから相手の防御を無視した斬撃を飛ばせる。

 以前はクールタイムがあったが、今の私なら斬撃は出し放題であり、斬撃の動きもコントロールすることができる。

 武具の性能上昇により、武具から与えられる強化の程度も上昇するので、私の身体能力も上昇している。


 実は我ら【近衛部隊】が持っているジン様から頂いた武具は成長する武具であり、今現在は全員が3段階の開放を行えるまでに至っているのだ。

 まずは、直線的に斬撃を一つ飛ばしてみる。


 魔獣は危険察知系統のスキルがあるのだろう。斬撃を飛ばした瞬間に回避行動をとり始め、余裕をもって回避できている。


 ならば少々速度を上げてみるか。いや、速度も上げて斬撃の数も増やそう。

 一気に30程の斬撃を放ってみる。だがあくまで直線的な攻撃だ。


 これも魔獣は余裕をもって回避した。


 「貴様、その程度の攻撃でこの我に挑んできたわけではあるまいな?」

 「安心しろ、先ずはお前の力がどの程度か見極めているに過ぎない。」


 すると、魔獣が手に私と似た剣を創造し全く同じ挙動で斬撃を飛ばしてきた。

 もちろん私は軽く相殺したが、これでこの魔獣のスキルについては判明したな。見た攻撃を自らの物に出来るのだろう。

 かなり厄介なスキルだが、自らが持つ力以上の力は真似できないはずだ。

 

 


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