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最終決戦

 確かに林に囲われて地下迷宮(ダンジョン)っぽい物もあって、周りの木とは異なる木が目立つ位置に一本だけある。


 地下迷宮(ダンジョン)っぽいというのは、きっとあいつらが入場制限をかけているのだろう。入口が見えない状態になっているが、<A:上級>レベルの地下迷宮(ダンジョン)が<SSS:神級>の俺達の目をごまかせるわけがないのだ。


 正直はっきりと地下迷宮(ダンジョン)であると認識できる。

 そして、ソラとトーカ以外<神の権能>の力を極限まで抑制した状態で地下迷宮(ダンジョン)入口から若干距離を取り、あいつらからは見えない位置で待機し、あいつらが出てくるのを待ち構えている。


 入場制限を行っていても、俺達の目には既に入口付近にも溢れんばかりの魔獣がいるのを確認できている。

 あの魔獣は・・<A:上級>が最高戦力だな。持っているスキルは<雷魔法>ばかりだ。

 そういえば、ここの地下迷宮(ダンジョン)入口のモチーフは<雷獣>になっていた。つまりは雷系統に偏った地下迷宮(ダンジョン)なのだろう。


 そう思っていると、俺達がいる位置を中心として左右と背後に魔獣を<転移>しているのがわかる。きっとモモの力を利用しているのだろう。

 正面は地下迷宮(ダンジョン)の入口になっているので、四方から一気に攻撃する作戦か?

 通常であれば有効な作戦ではあるが、あまりのLvの差に状況は筒抜けだし、俺達の中の誰か一人で対応したとしても余裕で全て撃破できる。


 すると、入口からモモと共にドルロイと北野が出てきた。

 モモによる防御を発動させているようで、トーカとソラの力の影響を受けなていないようだ。


 「よう久田。いや、ジンだったか。悠里の一撃でくたばってなかったのかよ。まあいい。悠里は飽きたからお前に返してやるよ。もうあいつの戦力も必要ないしな。だが、まだ生きていればいいな?ハハハ。まあ今頃はどっかの魔獣の胃袋の中か、既に消化されて違う形で出てるかもしれないぞ。」


 よし、相変わらずクズなのを確認できたので、心おきなく叩き潰せるぞ。


 「辺境北伯の子供の分際で<シータ王国>の国王であるこのドルロイに歯向かった罰、ここで受けて貰おう。」


 よしよし、こっちもクズっぷりが健在だ。


 「まずはドルロイ、お前には既に忠告をしてあったはずだ。次はないと。命を捨てる覚悟はできているんだろうな。そして北野。残念ながらお前の思い通りにはならない。悠里は既に一時的に保護している。まあ、今後の生活については、どうなるかわわからないけどな。」


 「ハン、悠里がどうなろうが興味ないな。これからお前は俺達の力にひれ伏すんだ。」


 「その通りだ。この獣、<神狼>の地下迷宮(ダンジョン)の守護神獣だろう。とすると容姿からも神狼(フェンリル)で間違いないはずだ。この力、お前たちに破ることができるかな?フハハハハ」


 北野とドルロイは強気だ。でもバカだな。ドルロイの指摘は一部的を得てはいるのだが、こっちには残りの神獣がいるのを忘れているのか?


 「何を勘違いしているかわからんが、俺達を囲んでいる魔獣は脅しにはならないぞ。それにドルロイ、お前は珍しく正しいことを言っているが、こっちには残りの守護神獣がいるのを忘れているわけではないだろう?」


 「そんなことは分かっている。だが、貴様たちの戦力は先の戦いで激減している。そして貴様、いや貴様らは甘ちゃんだからこの神狼(フェンリル)に攻撃することはできまい。それに、魔獣で囲っていることは明らかになってもいいのだ。だが、どれ程の魔獣がいるかは想像もできまい。」


 そう来ましたか。もちろん攻撃はできない・・いや、しないけど、抑え込むことはできるんだけどね。こっちは神クラスが10人もいるんだ。10対1だと勝負にもならんだろ。


 だがドルロイと北野は、俺達が力を抑制していること、そして幻獣部隊を視認できていないからまだ勝てるつもりでいるらしい。

 幻獣部隊は後ろと左右に魔獣が<転移>された時点で、目立たないように討伐しに行ってもらっている。

 特にウェインは、隠密としての修行をしつつ討伐しているようで、使用する暗器を都度変更している。正に良い練習台と言わんばかりだ。

 既に殆どが討伐されているが、目立たない攻撃をしているのか衝撃や閃光、地響きや魔力の奔流などは確認できない。


 なので、北野やドルロイは、魔獣がいることは俺達にバレていても、大量の魔獣により包囲しているので問題ないと思っているのだ。

 

 だから、あいつらはまだ勝つ気満々だ。滑稽を通り越して憐れみを覚えるな。


 「あ~、もういいや。とりあえずトーカ、シロ、ソラ、こっち来て」


 すると、三人の美女が俺の傍に<転移>で顕現した。

 

 「ジン、お前そんな美人を・・・まあ今に見てろ、お前の目の前で蹂躙してやるからな。フヒヒヒ」


 こいつは本当にもう救いようがないな。


 「ホントお前クズだな。逆にそこまで一貫してクズだと大したもんだ。皆、とりあえず力解放していいよ。」


 目の前の美女三人から、神狼(フェンリル)の姿になっているモモと同様の力を感じ、北野は無意識に後退している。


 「な、なんだその力は、そいつらがこの獣と同じ力の持ち主だとでもいうのか?」


 こいつは神獣達が人化できる事を知らないようだ。

 

 「皆、悪いけど人化解いてくれる?」


 俺が頼むと、目の前が発光し、


 赤い炎に覆われた鳥<神鳥(フェニックス)>であるソラ、漆黒の鱗に覆われた龍<神龍(バハーム)>であるトーカ、紫の毛に覆われた猫<神猫(ベヒーモス)>であるシロが表れた。


 「おい、クズ共、これでもお前たちはまだ戦うか?できればお前たちクズごときに疲れることはしたくないんだがな。」


 「はん、そういう事か。人の姿からそんな変化を見せられたから少々驚いが、そもそもお前らにもこの獣と同じ強さの獣がいることは当然わかってるんだよ!!おい、獣!俺達を守る事だけに集中しろ。魔獣達よ総攻撃だ。」


 すると、地下迷宮(ダンジョン)の入口から無数の魔獣が飛び出てきた。

 その瞬間、幻獣部隊が俺達とやつらの間に立ち、神獣達は俺を守るような位置に移動した。


 「な、お前ら確実にあの時に死んだはず・・」


 北野はウェイン達幻獣部隊を見て驚きを隠せていない。


 「残念だったな。お前らごときの攻撃では死なないんだよ。幻獣部隊よ、力を開放しろ!!」


 本当はレイラ以外一回死んだんだけど、そこは良いだろう。

 新たな幻獣部隊は既に<SSS:神級>だ。その力を全開放している。

 モモによる防御があって辛うじて立っていられる状況なので、モモの防御がなければ、力を感じるだけで死亡だな。

 もちろんあいつらの背後にある地下迷宮(ダンジョン)から湧き出ている魔獣は、攻撃を受けたわけでもないのにバタバタと倒れている。


 「北野、お前が配置させた魔獣共は既に排除済みだ。そしてそこのチンケな地下迷宮(ダンジョン)から湧き出ている魔獣も、見ての通りだ。俺達は特に何もしてないんだけどな。理解できるか?この状況?」


 「く、おい獣!俺達を連れて逃げるぞ!」


 すかさず北野とドルロイはモモに乗ろうとするが、そうはさせない。


 「残念だったな、モモよ戻れ!!」


 俺は指輪に魔力を注ぎ込んだ。

 すると、神狼(フェンリル)の姿をしているモモの左前脚が光り、何かが壊れた音がすると共に、モモは人化した状態で俺の前に<転移>し抱き着いてきた。


 「ご主人様!ご主人様!!!」


 モモは涙を流して俺に抱き着いている。

 色々思う所はあるだろう。だが、一番気に病んでいたはずであった幻獣達は無事なのだ。俺は優しくモモを抱きしめて、頭をなで続けた。

 その間、幻獣部隊はやつらを包囲しつつも、あいつらが<SSS:神級>の力で死なないように若干力を抑えている。もちろん魔獣もとめどなく現れているのだが、幻獣達は魔獣に対しては局所的に力を解放しているようで、即死亡している。ああ、これが<未来視>の状況か。


 幻獣達の力の制御はすごいな。慣れてはいないようだけれど、馴染んでいるだけはある。まぁ、そのまま力をクズに向けるとはあいつら死んじゃうからね。優しい気づかいだ。


 「これで決まりだな。俺の家族を苦しめたこと、決して許されないと思え。」


 あいつらは震えている。いい気味だ。そんな中、ドルロイは何やら覚悟を決めた顔をしている。

 腐っても王か。


 と思ったら、何やらネックレスを地面に叩きつけるとドルロイの姿は掻き消えた。

 

 あの野郎、一人だけトンズラしやがった。腐っても王なんて思ってしまった俺が恥ずかしい。


 「ウェイン、ドルロイがどこに行ったかわかるか?」


 「特殊な魔道具を使用したようで、我らの<転移>と違い魔力の揺らぎによる正確な位置は把握できませんが、この大陸外に移動したようです。おそらくあちらの方向かと・・追いますか?」


 「追えるのか?方向だけがわかっても見つけるのは至難の業だろう。この大陸から出たんだろ?」


 「そうですね。方向だけは大体わかりますので、しらみつぶしに探すことになります。」


 まあ、あいつはもう何もできないだろう。


 「だとすると、今は追わなくてもいい。おい、北野、お前の数少ない味方もトンズラした。お前程度に付き従う味方はあんなレベルだ。しかし鬱陶しいな。お前の<心身操作>、さっきから俺達に必死にかけているようだが効かないぞ。その力先に剥奪させてもらおう。」


 俺は、まだ涙を流しているモモを他の神獣達に任せて、北野に近づいた。

 本当はもっとモモを慰めたいけど、こいつは放っておくと何をしでかすかわからないからな。


 「な、やめろ!」


 騒ぐクズをよそに、さっさと能力を剥奪しておいてやった。

 ついでに蹴りを入れてしまったのはお約束だ。もちろん相当手加減している。


 「とりあえずお前は<アルダ王国>に連れて行き、断罪する。この<雷獣>の地下迷宮(ダンジョン)は潰しておくから安心しろ。」


 そうして、俺はこいつが死なない程度に更に腹に一撃加えて気絶させ、<ウェイン>の<神の権能>に組み込まれている<空間魔法>に放り込んだ。


 積年の恨みがあるので、とりあえず蹴りと追加で殴らせてもらったんだが、まだまだ断罪はこれからだ。


 そして、斎藤だ。


 「ウェイン、すまないが<強制隷属>の斎藤を探し出して同じよう連れて来てくれ。万が一を考えて、ユフロとエレノアも同行して、発見し次第能力は剥奪しておいてくれ。」


 「「「承知しました」」」


 <神の権能>を使ってあいつの魔力を探索し、あっという間に見つけたのだろう、<転移>で消えて行った。

 魔力の探索でドルロイも探せればいいのだが、はっきり言ってあいつの魔力はほとんど、いや、全然ない。それが大陸外に行ってしまったので、いくら俺達でもちょっと厳しいのが現状だ。残念。


 「よし皆、最後はあっけなかったけど完全勝利だ。この、<雷獣>の地下迷宮(ダンジョン)潰してから帰ろう!!」


 <神の権能>を使えば、あのクズから管理者権限も剥奪するのはたやすい。もちろんこの管理者権限が<A:上級>というかなり格下だから容易にできる事だけど・・・


 そして<雷獣>の地下迷宮(ダンジョン)を潰して、俺達はモモと共に<アルダ王国>に帰還した。

 もちろんその間モモはずっと俺に引っ付いている状態だよ。

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