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ドルロイと北野

 第三者視点


 ドルロイ、北野、そしてモモは<A:上級>の地下迷宮(ダンジョン)最下層まで到達し、最下層のフロアボスを撃破した。


 もちろんかすり傷一つ負っていないし、最後に止めを刺したのは北野だ。


 この時点で北野のステータスは、


---------------------

名前:北野 信二(召喚者) 

種族:人族

Lv:51(A:上級) ➡ 55(A:上級)

HP:700/700  ➡ 780/780  

MP:600/600  ➡ 730/730

MT:900/900  ➡ 920/920

【スキル】

 <特殊能力:心身操作>

 <身体強化:Lv5・・上級>

 <物理耐性:Lv5・・上級>

 <雷魔法 :Lv5・・上級> NEW

---------------------


 この<雷魔法>は、最下層のフロアボスを討伐した時に手に入れた。

 その後、即この地下迷宮ダンジョン<雷獣>の管理者となった北野。


 「北野よ、これでこの<雷獣>の地下迷宮ダンジョンは思いのままだぞ。この中にいる魔獣は、普通<テイマー>を持つ者のみが従えることができる可能性があるのだが、<テイマー>を持っている者でも魔獣の真名を知ることができずに魔獣の前で命を散らすことがほとんどだ。そんな状況の中、この魔獣達全てを統べることが事ができるのだ。正に人外の力だ。」


 「ああ、悪くないな。確かにここに入る前と違って力が溢れているし、疲れも感じない。まあ、疲れるほど何かしたわけではないがな。だが、俺の力が増したことによってこの獣の力も正確にわかるようになってきた。とんでもない奴だ。こんな奴があと三匹もあっちにいるんだから、十分気を引き締めて戦う必要があるな。」


 もちろん北野達は既に幻獣部隊が復活し、強大な力を得ていることは知らない。

 もしこの時点で知っていたら、この<雷獣>の地下迷宮ダンジョンで閉じこもる生活を選択していただろう。

 進入禁止措置を取り、モモに侵入排除のみに力を振るわせればかなり長い時間身の安全は確保できていたのではないだろうか。


 「どうだ北野、実はもう一つ近くに同じLvの地下迷宮ダンジョンがあるんだが、こっちも制覇しその管理者にしてもらえないか?」


 ドルロイは自らも管理者になりたいと言っている。

 これは自ら管理する地下迷宮ダンジョンでドロップを容易に得て、今後の会議・・・と思っているのはドルロイ本人だけで、実際は他の大陸の国々に良いように扱われているだけなのだが・・・を有利に進めたいという魂胆がある。


 「まあ、これだけ楽な作業なら良いだろう。」


 だが、この<雷獣>の地下迷宮ダンジョンが攻略された時点で情報は水晶さんを通してジンに伝わっている。

 そして、ジンは北野とドルロイと対峙するのを少しでも早くしたいと思っているのだ。

 <未来視>から外れない程度に彼らにプレッシャーを与えて、早く再戦できるように<アルダ王国>幹部と話をしている。


 ジンを筆頭に<アルダ王国>が打つ手は、わざと<雷獣>地下迷宮ダンジョンの周りにソラとトーカがいる事を匂わせて、彼らの行動に制限を加えることにした。


 既にその場にいるソラと、そこへ<転移>で合流したトーカが気配を隠すのをやめて、<雷獣>の地下迷宮ダンジョンを覆うように力をある程度解放している。


 ドルロイと北野は最下層にいて、近くにいるモモにより保護されているのでまだこの状態は把握できていない。


 ドルロイは北野の了承を得られたので、喜々として<雷獣>の浅層に地下迷宮ダンジョン転移を行って移動し、即地上に出て他の地下迷宮ダンジョン攻略に向かおうとした。


 しかし、浅層に到着した瞬間に嫌な汗が吹き出し、北野も少し焦っている。


 「おい、まだ俺の地下迷宮ダンジョンの中にいるのに、外の異常な力が流れ込んできているぞ。この感覚はあの獣共か?少々まずいな。このまま外に出るのは得策じゃない。一旦入場制限をして制御室に戻るぞ。」


 ドルロイは一般のLvしかないので、ガクガク震えている。


 「う、うむ。止むを得ないな。」


 そうして、モモとドルロイ、北野は再度深層へ転移して管理室に入った。


 「そうすると・・残念だが次の地下迷宮ダンジョン攻略は今はあきらめた方がよさそうだ。この<雷獣>の魔獣を限界まで量産し一気に攻めて、奴らが全方向からの魔獣の攻撃に対応しているその間に、こいつを使って背後から同じ力を持つ獣共を排除することにするか。」


 そう言って北野は70階層ある全ての層に、隙間なく魔獣を呼びだす作業を始めた。

 そして、一階層の出入り口とモモの力を利用して<転移>を使い<アルダ王国>の前後左右に出現させる作戦だ。


 浅層にいる魔獣達は、管理者権限を使って一階層に転移させ絶え間なく出入口から魔獣を排出する。もちろん各層での魔獣は継続して生産するのだ。


 「ドルロイ、斎藤は大丈夫だろうな。ここでこの獣に離脱されたら俺達は確実に敗北する。」


 「ああ、問題ないだろう。あの湖畔は地図にも載っていないし、かなり辺鄙な位置にあるからな。」


 彼らは<アルダ王国>の新たな力を把握することもできずに、淡々と最後の戦いに向けて準備を行っている。


 最終決戦まで残り時間はあとわずかだ。


 もちろん浅層にモモが来た時点で、トーカとソラは気配を察知している。

 そして再び再深層へ転移したことで行動を制限する作戦が成功したことを確信し、ジンに報告を入れている。


 『ジン、モモ達が浅層に来たけど私たちの気配を察知して再深層に戻ったよ。作成成功!!』


 『そうか、ありがとう、引き続き警戒しておいてくれ。』


 北野はひたすら魔獣を生産している。

 その傍でドルロイは色々な思いを巡らせている。

 

 万が一の敗走に使える最後のアイテムの確認や、勝利した場合の北野の扱い方法などだ。


 北野は指輪の呪いでドルロイに牙をむくことはできないが、非協力的な態度はとることができるのだ。

 なので、新たな地下迷宮ダンジョンの攻略を了承してくれた時はとても喜んだのだが、実現することはなかった。


 やがて浅層の魔獣も増えて、出入口からも視認することができるようになってきた。


 『ジン、この地下迷宮ダンジョンの中の魔獣が際限なく増えているよ。ロメの<未来視>の通り、多数の魔獣が作られているみたい。というと、決戦はこの場所になるんじゃないの?ロメに確認してみたら?』


 「ロメ、トーカから報告で、いまドルロイがいる地下迷宮ダンジョンに魔獣が溢れているようだ。きっと北野が操作しているだろうが・・いや、ロメは知らないかもしれないが、地下迷宮ダンジョンの魔獣を増やす能力もあるんだ。それで、<未来視>の確認をしたいんだが、俺達が立ち向かう場所は近くに地下迷宮ダンジョンはあったか?」


 管理者権限についての説明は相変わらず曖昧にして話を進める。


 「はい、確かに地下迷宮ダンジョンが見えます。そして周りは林がありますね。その中に一本だけとても大きな木があるのが確認できます。」


 『トーカ、ソラ、その地下迷宮ダンジョンの周りは林で、一本だけ大きな木が見えるか?』


 『見えるよ。一本だけなんだか不釣り合いな大きな木があるね。』


 よし、決戦はそこで間違いないな。

 もうすぐモモも戻ってくる。


 俺は父さんを含めて全員に聞こえるように話を始める。

 もちろん、悠里を連れて出て行ったセリアとキャンデル副隊長は既にこの部屋に戻ってきている。


 「皆、ようやく最終決戦になりそうだ。と言っても、今回は絶対に何の問題もなく勝利を収めることができる。一応油断はしないが、決戦場所もロメの<未来視>の通りの場所を確認することができた。これから行ってくる。楽しみに待っていてくれ!」


 俺、シロ、ウェイン、ユフロ、マーニカ、レイラ、セリア、エレノア、そしてユージが集まり<転移>しようとしたら、キャムがユージの近くで何か囁いた。


 すると、ユージのやつあれほど一緒に連れて行けと言っていたにも関わらず、


 「あ、ジン悪い。俺やっぱり行くのやめるわ。よく考えたらロメちゃんの<未来視>に俺っていなくない?」


 俺はロメを見ると、頷いている。どうやらこの戦いの場にユージはいない状況の<未来視>であったらしい。

 とすると、確実性を増すためにユージはここに残ってもらった方が良いだろう。


 「わかった。心配せずに待っていてくれ。キャムもユージを頼むぞ」


 「承知しました。」


 そして俺達は最終決戦の場に<転移>して、トーカ、ソラと合流した。

 


 


 

 

 


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