表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/169

私はウェイン(3) <シータ王国>撃破の手順

 各副隊長のステータスは、各々の隊長が確認後に展開することとして、<シータ王国>が攻めてきた場合の対処について説明を受けることとなった。


 説明を行うのは、【管理部隊】副隊長のキャンデル殿だ。

 彼は奥方が無事に発見されて不安が解消されると同時に、<アルダ王国>に対する忠誠心が非常に高くなっており、気合の入り方が違っている。


 当然彼も副隊長に必須の<S:帝級>まで達している。

 詳細のステータスは後で開示されるだろう。


 「皆様、【管理部隊】副隊長の大役を仰せつかりましたキャンデルと申します。今回は緊急事態という事で、【管理部隊】が対策本部を務めさせていただきます。早速ですが、前回の<シータ王国>の我が国への攻撃についても情報を頂いており、それを含めて今回の対策を行いたいと思います。」


 すでにキャンデル殿は<アルダ王国>を我が国と呼んでいる。自らの国と認識しそのために力を使う覚悟ができている証拠だ。


 「<シータ王国>王族の伝承となっている、以前の召喚者が残した何かしらのアイテムを用いて、今回の召喚者をある程度意のままに使用することができている状況であることが確認できています。各召喚者の能力についてはユージ殿から情報を頂いており、特に危険視しているのが使用回数制限が一回きりとなっている<強制隷属>です。これはその名から推測するに、強制的にどのような力を持つ者でも配下にしてしまう能力であると推測できます。つまり、例えばジン様も配下にされてしまう可能性があるという事です。」


 なんと!そのような状況が起きてしまった場合は、最早我らに勝ち目はない。

 もしキャンデル殿の言うような能力であるならば、どの様に防ぐべきなのか・・


 「これを防ぐ手段ですが、魔道具やスキルでの防御はできないと考えた方が良いでしょう。よって、高い攻撃力を誇る自立型攻撃装置、そして能力の時間制限付魔獣を準備します。自立型攻撃装置に対して<強制隷属>を使われた場合、攻撃に必要な魔道具の数を予め制限しておけば問題ありません。また、仮に人型でないと<強制隷属>が発動しない場合に備えて、スキルの時間制限付き魔獣を準備することになります。こちらを<強制隷属>されたとしても、時間制限によりスキルを失うようにしておけば脅威になりません。」


 そうか、我らが要のジン様がスキルの対象になる前に、スキルを使わせる方法か。


 「この攻撃装置については【技術開発部隊】で既に準備済みで、魔獣は準備中です。」


 魔獣を準備中?そのような事ができるのは、管理者であるジン様だけのはずだが・・

 私は思わず【管理部隊】の隊長であるセリアを見てしまった。


 『ウェイン、キャンデル副隊長の忠誠心は、今回配属された副隊長の中でも突出して高く、ジン様に管理者権限についての話をする許可を頂いたうえで情報を全て開示しているの。その上での今回の立案よ。でも機密情報である管理者権限については他の副隊長は知らないから、あえて準備中と言っているだけで、ジン様の方で既に準備はできているわよ。』


 セリアも<アルダ王国>、そしてジン様の為に色々考えて行動しているようだ。<念話>で状況報告をしてくれた。もちろん私向けだが、隊長全員に<念話>を飛ばしている。


 「他の能力者については、制限があるのが<反射攻撃>となります。これは神レベルの制限があるとの事で、神獣の皆様の攻撃はこの能力者には決して放ってはならないという事です。しかし、現時点ではだれがこの能力を持つ者か判別できる手段がないため、戦闘開始時点で、<鑑定眼>を持つ者が鑑定し、該当能力者を判別できる特徴を即<念話>で展開します。更に、【諜報部隊】所属のイノザ殿には、スキルの<超聴力>を使用して、彼らの状況を把握していただきたい。このスキルは、たとえ相手が視認できない状態でも情報を聞き取れ、<念話>でさえも傍受可能と聞いております。この情報も、即<念話>で展開お願いします。」


 私もイノザのスキル<超聴力>の力を聞いた時は、驚きを隠すことができなかった。

 何と、<念話>での会話も傍受できるのだ。彼女には早速<アルダ王国>に貢献してもらおう。


 「ここで再度確認しておきたい事が有ります。高Lvの<念話>を使用すれば、念話を受けた側も送信者に対して<念話>での会話ができます。この会議終了後に徹底していただきたいことは、なるべく<念話>を使用して<念話>での対話可能対象者を増やすこと、そして各報告については必ず全隊長と副隊長、【近衛部隊】、神獣殿、ジン様に行う旨伝達する事です。<念話>での報告は決して全員に実施してはだめです。混乱を招くために制限を設けさせていただきますので、隊員に徹底させてください。」


 これも一理ある。混戦などになってしまうと情報が錯綜し、正しい動きを阻害するのだ。

 やはりキャンデル殿はよく考えている。


 「そして、<反射攻撃>持ちの特徴をつかめたら、【攻撃部隊】で一斉に対象者を攻撃します。可能であれば、先制攻撃で潰せるのが理想です。おそらく彼らは<強制隷属>の守りに<反射攻撃>を当ててくるでしょう。そのため、最初の攻撃対象は<反射攻撃>を持つ者とし、撃破後に自立型攻撃装置と魔獣で<強制隷属>を攻撃しますが、ここで障害となるのが<重力魔法><魔力強奪><心身操作>です。この中で<重力魔法>と<魔力強奪>については、各個撃破で行きます。<重力魔法>は唯一の女性という事で対象は即判別できるでしょう。そこには重力に左右されない攻撃が必要になる為、<光魔法>を持つ【治安維持部隊】のレイラ隊長にお願いしたい。」


 「わかりました。ではその間の【治安維持部隊】の任務は任せましたよ、ワイム。」


 「承知しました。」


 幻獣の中で<光魔法>を持つのはレイラだけだ。私も<複写>を使って使用することはできるが、しょせんは模倣だ。彼女の<光魔法>は、回復はもちろん攻撃でも素晴らしい力を発揮する。


 「そして<魔力強奪>については、魔法攻撃ではそもそも魔法自体を強奪される可能性がある為、直接戦闘で仕留めます。ここはミーナ殿にお願いしたい。時間との勝負になるので、最初から全力で行き、撃破後に即離脱でお願いします。」


 「わかったにゃ。でも、対象はどうやって判別するにゃ?」


 「初期の<鑑定眼>による鑑定で、情報を開示しますので、そこで判別してください。」


 「了解にゃ。」


 「最後に<心身操作>です。何の制限もなさそうなので、レジストできそうな気がしないでもないですが、能力の届く範囲や操作可能な人数、効果の程度など一切不明であり、攻略がし辛い能力です。ただ、攻撃自体は<魔力強奪>と違い、明らかに操作対象にはなりそうにないので、多数で一気に遠距離から攻めれば問題なく撃破できると考えます。ここは強い遠距離攻撃を持つラム殿、そしてエレノア殿にお願いしたい。」


 「「わかりました。」」


 「【諜報部隊】の最新報告によれば、<シータ王国>側の国々には最早戦力と言える戦力はなさそうですが、万が一にも軍隊を率いてきた場合には、【遊撃部隊】で撃破をお願いします。但し、理想は召喚者討伐後に撃破が良いですが、不可能である場合は十分に注意をお願いします。」


 「では、我らの部隊はこの作戦では主に攻撃を主とした任務を承ります。」


 エレノアが回答し、副隊長であるリゲルガ殿も一礼している。

 この話を聞く限り、作戦的には大きな問題はないように見える。


 ただ、私はロメの<未来視>によるジン様が重傷を負ってしまう事が気になって仕方がないのだ。

 今の想定では、そのような状態になることは中々考えられない。

 

 よって、この後は【幻獣部隊】での覚悟を確認する必要があるだろう。

 


 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ