<シータ王国>対策 Lvアップ
誤字報告ありがとうございました
今回のLvアップについては、<神猫>で、各隊の副隊長に任命された者達が<S:帝級>までとなっており、対象者は、
【管理部隊副隊長】キャンデル
【遊撃部隊副隊長】リゲルガ
【攻撃部隊副隊長】ホープ
【防衛部隊副隊長】ノイザ
【治安維持部隊副隊長】ワイム
【諜報部隊副隊長】グリフ
だ。
そして、更なる戦力強化を行い<シータ王国>に対抗するべく、兎獣人達の特殊なスキルを磨いたうえで、各隊に配属させてもらう。
兎獣人達は、現在の居住地である<神龍>の深層で作業を行ってもらうのだが、各副隊長と同様に、管理者権限に対する説明はしていない。
対象者は、
<未来視>を持つロメ
<統制術>を持つコーロ
<戦略術>を持つジュリ
<超聴力>を持つイノザ
だ。
<アルダ王国>重鎮、もちろん各隊長も含んだ会議において、それぞれの配属隊はこのように決定した。
ロメ <未来視> 【管理部隊】
コーロ<統制術> 【攻撃部隊】
ジュリ<戦略術> 【遊撃部隊】
イノザ<超聴力> 【諜報部隊】
<シータ王国>との戦いでは、これらすべての能力を有効に活用する必要があるだろう。
ただ、ロメの<未来視>に関しては、<神の権能>で調べると、どうやらどんなにLvを上げても必ずしも起こる未来が見えるわけではないようで、いくつもの起こり得るであろう未来が見えてくるようなのだ。
これは、実際に経験を積んで精度を上げるなりして、活用方法を検討する必要がある。
時間によっては、今回の作戦には活用できないかもしれないな。
ユージが言うには、こっちに召喚されたやつらの能力は一週間程で定着する予定だが、不測の事態にも対策できるように、早めにLvアップを終了させたい。
<神猫>と<神龍>でLvアップを行うため、それぞれの箇所で召喚した幻獣にしようかとも思ったが、隊長としての業務もあるので、<神猫>はマーニカ、<神龍>はエレノアにお願いすることにした。
そして、ユージの護衛になるキャムも、今ウェインと<シータ王国>に行きキャンデルの妻であるエルフ救出が終了し次第<神龍>にてLvアップを実施してもらう予定だ。
既にその旨<念話>でウェインに連絡しているので、彼に面倒を見て貰おう。
そうして各メンバーは各地下迷宮に散っていった。
その後は、通常通り祭りに参加して、大きな混乱もなく夕方の終了時刻を迎えることができた。
王城前の広いスペースで、父さんが終了の挨拶とリノス王子ソフィア姉さんの婚姻についての話をするのだ。
終了後は、このまま帰国する人もいるし、一泊して明日に帰国する人もいるだろう。
もちろん今日の宿泊も<アルダ王国>持ちになっている。
「皆、残念ではあるがこの祭りも終わりの時がやってきた。初めての試みであったが、大同盟各国の絆は深まり、相互理解ができたのではないだろうか。カードシステムについても使い慣れて貰うことができたと思っている。今後はこれを機に更なる発展を遂げることができるよう、共に歩んでいこう。」
広場に集まった人々は大きな拍手をしている。
もちろんこの挨拶は、映像として全ての町にある魔道具の画面に映されている。
「この場を借りて、大同盟の内の<アルダ王国>と<フラウス王国>の繋がりについて少々話をさせて貰おう。」
リノス王子と、ソフィア姉さんは父さんの横まで進み出た。
さりげなく、姉さんの護衛のハルドも半歩程前にでて、姉さんとの距離が離れすぎないように配慮している。重心はやや下に移動させており、瞬時に動ける体制を取っているのだ。
もちろん父さんの護衛である二コラも既に父さんの近くにおり、同じように重心は下に移している状態だ。
<アルダ王国>の近衛達は練度が高い。
そして、父さんは続ける。
「ここで、この二人・・<フラウス王国>リノス第二王子と、<アルダ王国>ソフィア第一王女の婚姻を発表する。リノス王子は、このまま<アルダ王国>に居住を構えて我が娘ソフィアと共に力を発揮してもらう予定だ。」
楽しい祭りの最終日に、大同盟の安定につながる幸せな話が発表されて、観衆も大きな拍手を送って切れている。
二人はとても幸せそうに寄り添っている。ソフィア姉さん、良かったね。
リノス義兄さん、何度も言うけど姉さんを怒らせると<SS:聖級>ですからね。骨も残りませんよ!!
お幸せに!!
そうして、祭りは完全に終了した。各国の王族は長期不在にしていた国に即帰還するようで、幻獣が各国に<転移>で送ることにした。
魔道具での移動も可能だが、この場から瞬時に帰還できる<転移>の方が早いのだ。
そして、帰還した各王は、<シータ王国>に対する対応・・生活用品などの<魔界森>への移管準備や、避難に関する再徹底を即実施することになっている。
各王を送り届けた後、ユージがあの場では言えなかった話をしてくれるとの事なので、<アルダ王国>の重鎮とユージが再び円卓に集まった。
「改めまして、召喚者の話の続きをさせて頂きます。今朝は他国の王族がいらっしゃったために話すことができませんでしたが、先ず私ことユージとここにいるジンは異世界で親友でした。ここまでは既にご存じかと思います。そして、その後ですが・・・同時に召喚された残りの五人ですが、上手く説明しづらいですが・・・」
ユージにしては、緊張していない状態でこんなに歯切れが悪いのは珍しい。
神獣達も、ユージの性格は分かっているので、不思議そうに首を傾けてつつ心配そうにユージを見ている。
「軽く状況を説明しますと、召喚された者は、私を除いて女一名、男四名と申し上げました。男三人は、残りの男一名の・・そうですね、家来のようなものです。そして女一名も代表的な男の恋人?です。」
ユージは心配そうにこっちを見てきた。
「ジン、そしてモモちゃん、シロちゃん、トーカちゃん、ソラちゃん、落ち着いて聞いてくれ。」
なんだか俺達にとって良くない話をするらしい。
俺は問題ない旨軽く右手を上げて回答した。
「ジンの家族の皆さんには、いきなり名前を伝えてもわからないでしょうが、先ずはジンにわかってほしいので名前を伝えます。家来の男三人は名前は知りませんが、代表的な男の名前は北野 信二、そしてその恋人になっているのが、佐伯 悠里です。」
俺は一瞬固まり、神獣達からは恐ろしいほどの殺気が出た。
その殺気のおかげ?で俺は瞬時に冷静になれて、神獣達を抱きしめた。
「皆、落ち着いて、俺はもう大丈夫だから。前にも言ったろ?皆がいるから、皆にまた会うことができたから俺は幸せだって。それに周りを見ろ、<SS:聖級>のLvを持つ近衛達でさえ、大汗搔いちゃっているよ。落ち着いて!!」
何とか彼女達は殺気を押し込めてくれた。
ユージも凄まじい殺気に当てられて、座り込んでしまっている。
辺りをみて、神獣達は慌てて謝罪した。
「申し訳ありませんでした。少し取り乱してしまいました。」
モモが代表して謝罪し、神獣皆が立ち上がり深く頭を下げている。
「いや、少々驚いたが問題ない。ユージ殿、我々にもわかるように説明してくれるかな?」
父さんが場を纏めてくれた。
「はい、私も驚きました。ふぅ~。それで、その二人と言うのが、私たちのいた世界でジンに対してとても酷い扱いをしていた者達なのです。」
と言った瞬間、今度は近衛達とソフィア姉さん、ロイド兄さんから殺気が溢れてきた。
嬉しいよ、嬉しいけど・・・父さんや母さん、そしてあまりLvの高くない人がかわいそうだから落ち着いて。
「皆、ちょっと落ち着いて。さっきも言ったけど、今俺は幸せだから・・ね!!」
すると、全員殺気を抑えて恥ずかしそうに下を向いてしまった。
俺は本当にこの世界に転生できて幸せだ・・という事を改めて感じた一時だった。