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<シータ王国>対策緊急会議(3)

 全員の紹介が終わったころ、キャンデルさんとエレノアが戻ってきた。

 エレノアは、知り得た情報を<神の権能>を使って<念話>で共有してきた。

  

 なんともいたたまれないが、新婚旅行?こっちの世界でも同じ表現かは知らないが、その途中で<シータ王国>に行ってしまい、強制的に拉致され、キャンデルさんは身ぐるみはがされた上で放逐されたようなのだ。


 まだ一年たっていない状態なので、そこから必死に技術や戦略を磨いてここまで来たとの事。

 最終的には力を付けて、直接<シータ王国>に乗り込んで玉砕するつもりだったようなのだ。

 

 今の<シータ王国>であれば、侵入や捜索は俺達にとっては容易であるため、ウェイン率いる【諜報部隊】に即全力で捜索するように指示を出した。

 今回は<シータ王国>の内情に少しでも詳しい者を行かせる必要がある為、ユージには申し訳ないが、キャムにも行ってもらうことにした。

 キャムはユージに事情を話して一礼すると、ウェインと一緒に退出していった。

 

 そんなキャムを寂しそうに見送るユージ。ごめんなさい。


 捜索は捜索として、こっちは新しいメンバー達にどの部隊に所属してもらうか、そしてどの様にLvを上げるかを検討する必要がある。


 国王である父さんが話を進める。


 「全員がこの<アルダ王国>に所属してくれるとの事で嬉しく思う。この国では【防衛部隊】、【治安維持部隊】、【諜報部隊】、【管理部隊】、【近衛部隊】、【攻撃部隊】、【技術開発部隊】、【遊撃部隊】に分かれている。貴殿達には、その内の【防衛部隊】、【治安維持部隊】、【管理部隊】、【攻撃部隊】、【遊撃部隊】の各隊に所属してもらう予定だ。特に能力について明かしたくない物もあるだろうから、先ずはこちらで決めさせてもらいたいと思う。よろしいか?」


 全員異論はないようだ。


 「では、それぞれの所属について伝える。【防衛部隊】はノイザ殿。防壁の内部から外部を狙撃、外部からの攻撃を防御する部隊であり、守りの要だ。隊長はユフロになる。」


 「謹んでお受けいたします。ですがダン王、我らに敬称は不要です。既にダン王の配下になっております故。」


 全員頷いている。主従の関係をしっかりする人たちのようだ。

 名前を呼ばれたユフロは一歩前に出て一礼する。


 「承知した。ではこれからは完全に臣下として扱わせて頂こう。続いて【治安維持部隊】はワイム。国内の治安維持を行う部隊であり、各種国民の相談も受け付けることになるのでよろしく頼む。隊長はレイラだ。」


 同じようにレイラも一歩出て一礼すると同時に、ワイムが了承する。


 「承知しました。」


 「続いて【管理部隊】はキャンデル。商業・冒険者ギルドを統括する部隊。出入国の管理や地下迷宮(ダンジョン)の管理、カードの管理、学校関連の管理、そして今回のような<シータ王国>の襲撃時などの緊急時対策本部にもなる。隊長はセリア。早速その頭脳、見せてもらうぞ。」


 「全力をもってやつらを排除してご覧に入れます。」


 セリアも同様に一礼する。

 事情が事情のため、この人は気合の入れ方が尋常ではない。


 「次は【攻撃部隊】で、ホープ。その名の通り攻撃を主とする部隊で、組織的な攻撃だけではなく遊撃もしてもらう事になる。その大槌、存分に使ってもらおう。隊長はマーニカ。」


 「我が大槌にかけまして!」


 マーニカが一礼し、ホープを見て微笑んでいる。

 頼もしい仲間、そして高い忠誠心を垣間見ることができて嬉しいのだろう。


 「そして最後は【遊撃部隊】リゲルガ。各隊のサポートを実施する部隊であり、万能性が求められる。特に今回は【管理部隊】との連携が重要になってくるだろう。期待しているぞ。隊長はエレノアだ。」


 「お任せください。」


 エレノアも一礼する。


 これで全員の所属先は決定した。

 彼らの立ち位置とこれからのLvアップについて、そして今回補充されなかった部隊についてはどうなるのだろうか。


 「残りの部隊である【近衛部隊】と【技術開発部隊】については、今紹介できる増員はないが、各隊それぞれ人員の補充は随時実施しているので、折を見て一度顔合わせをすると良いだろう。そして【諜報部隊】だが、猫獣人のグリフの加入が決定している。私からは以上だ。」


 あれ?Lvアップはどうするのだろうか?


 すると、【管理部隊】の隊長であるセリアから<念話>で確認があった。


 『ジン様、彼等の隊での位置づけは、基礎能力が高いことから副隊長を予定しています。そうするとLvを上げる必要がある為、どこかの地下迷宮(ダンジョン)で実施してもよろしいでしょうか?想定は<S:帝級>の上限程度を予定しています。』


 『ああ、問題ないよ。色々大変だろうけどよろしく頼むよ。』


 セリアは微笑みながら俺に少しだけ頭を下げた。


 「皆さま、私は今ダン王からご紹介頂きました通り【管理部隊】の隊長を務めさせていただいておりますセリアと申します。皆様には所属先の副隊長の任についていただく予定ですが、その場合の必要なLvは<S:帝級>となります。」


 そこまで聞いた五人は、一気にざわつき始めた。


 「セリア隊長、今<S:帝級>と申されましたか?」


 まずは、同じ所属になる予定のキャンデルが確認してきた。

 少々、いや、かなり動揺しているようだ。


 「はい、キャンデル副隊長。そのように申し上げました。」


 「あの権力を振りかざしていた<シータ王国>の連中の最高戦力になり、他国ではそのLvに達した者は一人もいないと聞いておりますが、もし仮にそのLvまでなれるとすると少なくとも10年近くは厳しい鍛錬を行う必要があると思います。なので、今回の<シータ王国>の対策には間に合わないのではないでしょうか?」


 他の四人も同様に頷いている。


 「いいえ、あなた方にはどんなに長くても四日以内にそのLvに達していただきます。」


 五人とも完全に固まってしまった。

 これはどの様に説明するべきか?と考えていると、セリアは続けて説明を始めた。


 「ここにいる【諜報部隊】副隊長のグリフですが、彼も<C:中級>を三日で<A:上級>まで上げています。彼にできるのですから、あなた方にも問題なくできますよ。もちろん彼もこれから<S:帝級>まで上げて頂きますが。」


 微笑みながら説明をするセリア。美人が微笑んで恐ろしい説明をしているので、皆冷や汗をかいている。

 どんな過酷な訓練が行われるのかを想像しているのだろう。なんだか脅迫されているように思っているに違いない。

 実際は全然過酷ではないのだが。


 そこに彼らにとっては希望となるだろう説明があった。

 ソフィア姉さんだ。


 「皆さん、私は第一王女のソフィアと申します。実は私もグリフ副隊長と同じように鍛錬し、今は<SS:聖級>の力を持っています。私でも問題なくできたのですから、皆さんにも問題なくできますよ。」


 「<SS:聖級>・・・恐れ入りました。」


 何故か全員首を垂れてしまった。 

 可憐な王女が有り得ないLvなのだから、気持ちはわからなくもないが・・


 こうして各隊に配属された新人副隊長は、最低でも四日以内に<S:帝級>に上げてもらう事になった。

 一応彼等に対する説明は、管理者権限について全て説明するわけにはいかないので、幻獣のサポートがある為に容易に下層の魔獣を討伐できる・・・と言う形にした。


 魔獣からの攻撃については、管理者権限について知っている隊長クラスや身内であれば禁止しているが、今回は禁止としてしまうと怪しまれる可能性がある為、致命傷を負わせない程度に制限した。もちろん幻獣が同行するので致命傷など負うはずもないが・・

 

 そして、Lvアップ作業については<神猫>で実施することにした。王都で実施していれば、彼らも安心するのではないだろうか。但し、この<アルダ王国>にある<神猫>でのLvアップである為、<アルダ王国>に対して不利益な行動をとった場合は、<神猫>で得ることができたLvについては消失すると説明している。

 実際は少し違うが、管理者権限についての説明ができないから、この方が良いだろう。


 更に、緊急事態であるがゆえに、<アルダ王国>の国民になってくれていた特殊スキルのある<神龍>の1階層に住んでもらっている兎獣人の一部も、<神龍>でLvアップを行ってもらい、最適な隊に所属してもらうことにした。


 

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