表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/169

<シータ王国>対策緊急会議(1)

 俺はウェインの安全を確認するために、即<念話>で連絡を取った。


 『ウェイン、状況はかなりまずいことになっている。ドルロイによって召喚されたやつらは、俺の前世の知り合いで特殊な能力を持っているので、捕獲はあきらめて即帰還しろ。』


 『ジン様、実は既に<シータ王国>の王城まで来ているのですが、破壊された塔と、大量の遺体が存在しますが、ドルロイを含めて生存者を見つけることはできておりません。スキルを使用して探索した結果ですので、大変残念ですがドルロイは何らかの方法でその召喚された者達を共に<シータ王国>からは逃亡していると思われます。』


 『そうか、それは残念ではあるが、ウェインが無事で何よりだ。即帰還してくれ。』


 『承知しました。』


 その後、執務室側からウェインが表れて一礼し、俺の背後に立った。


 「皆さん、<シータ王国>に偵察に行ってもらっていたウェインに状況を報告してもらいます。」


 ウェインが一歩前に出て一礼し、説明を始めた。


 「皆さま、私は<シータ王国>の王都そして王城へ赴き状況を確認してまいりました。召喚が行わたであろう場所を突き止めましたが、その場所は既に破壊され、召喚による多数の犠牲者も確認しております。また、首謀者であるドルロイと召喚者に関しましては痕跡がなく、特殊な方法で既に<シータ王国>を脱出していると推測されます。」


 円卓が一機にざわつき始めた。

 

 こうなってくると、いつどのような手であいつらが再度<アルダ王国>を攻めてくるかわからない。

 悠長に交流を深める祭りを実施していてよいのだろうか?

 祭りは今日が最終日なのだが・・・

 

 悩んでいると、父さんが結論を出してくれた。


 「状況はおおよそ理解できたと思います。現在は大同盟各国の交流を深める祭りを実施している最中で、本日が最終日です。ですがこの状況を鑑みますと、最終日の最大イベントである闘技場の大会は中止、または延期とさせて頂きます。彼等の試合中にドルロイが来てしまった場合に対応が遅れるからです。ただ、その他のイベントは通常通りとし、<アルダ王国>全ての部隊が警戒に当たります。そして、一部私事にはなりますが、終了の挨拶時には<フラウス王国>リノス第二王子と我が娘ソフィアの婚約の発表を行わせて頂きます。これでよろしいか?」


 「うむ、大会は残念だが仕方がないでしょう。今後は更なる防衛に向けた話を詰めさせていただく必要がありそうだ。」


 リンデム王が賛成の意を述べてくれ、他の王族も異を唱える者はいなかった。


 「今日出場予定だった者達には、カードに直接褒賞金を入れておくとして・・素晴らしい戦いをした制限有の出場者について、戦力増強になる為今後の扱いを検討させて頂きたい。だが、先ずは今日の大会は少なくとも中止である旨即連絡を実施しよう。」


 やがてカードに、本日の大会は種々のトラブルにより残念ながら中止になる旨が送付された。

 具体的な理由については記載されていない。余計な心配と混乱を避けるためだ。


 そして、同時に制限有で有望だった者達を呼び出し、今後の戦力になり得るかどうか話をさせてもらう事にしている。


 対象は、

  <イグイム王国>人族  

  <エフソデア王国>人族

  <ゴルデア王国>ドワーフ族

  <フラウス王国>獣人族

  <ラーム王国>人族

 だ。


 所属国については、出場時にいた国が登録されているだけなので、あくまで参考だ。

 そして、そこに<ゴルデア王国>に留学中にもかかわらず<シータ王国>の危機に駆けつけてくれた獣人族のグリフも加えた。

 彼は既に<A:上級>の力を持っている。


 魔族の二人については、昨日の敗戦直後に既に<アルダ王国>を出国しているのが確認できているので対象外だ。

 

 敵の主戦力の能力は分かっている。

 特に回数制限がある能力については、モモ曰くあまりにも巨大な力であるが故の制限である可能性が高いため、注意が必要との事。


 そして、あいつらの誰かが持っている<反射攻撃>は神Lvの攻撃限定だが、逆に神Lvの攻撃を反射できると言う事だ。これもある意味巨大すぎる力なので加わっている制限なのだろうか?


 そもそも、こんなとんでもない力を得ているのだから、他のどんな能力についても油断などはしてはいけない。

 しかし、ユージが言うには能力の定着に時間がかかるため、全力は出せないようだ。つまり、ドルロイはその定着の時間を稼いでいるという事になる。


 凡その時間は、ユージの感覚では1週間程度・・らしい。

 だが、他の能力者も必ずしも同じ期間であるとは限らないので、今日の大会は急遽中止で決定している。


 俺の<神の権能>はいつ完全になじむのかすわわからないのに、ちょっと羨ましい。


 呼び出している大会出場者を待っている間、方針を決めるための話し合いが行われた。


 「まずは、最悪の事態から確認させて頂く。前回と同様に各国での避難については<魔界森>そして各地下迷宮(ダンジョン)としますが、相手の能力が強大であることが予想されるため、<アルダ王国>に異常があった瞬間に避難を開始していただきたい。暫くは避難がある前提で、食料や生活必需品については先行して避難先に移行していただく。もちろん費用は我が<アルダ王国>が負担させて頂くので、迅速な対応をお願いしたい。避難先への荷物の移動は<転移>スキル持ちが順次訪問させて頂くが、防衛の観点から時間をあまり割けないので、日時を決めて実行させて頂く。」


 流石は父さん。合理的な考えだと思う。

 各国の王も特に異論はないようだ。


 「私の想定では、ドルロイはまずは<神狼>の町を攻めてくるだろう。当然<シータ王国>に接しているし、我が<アルダ王国>の一大拠点だからだ。だが、前回の敗戦の経験もあるので、各国の防壁に関しては今回の大会により更なる強化技術を得られているはずなので、【技術開発部隊】により迅速に補強させて頂こうと考えている。ガジム隊長、できるな?」


 「ダン様、もちろんでございます。今すぐにでも可能です。ご納得いく成果をご覧いただきます。野郎ども行くぞ!!」


 ガジム隊長は腰を浮かしかけているが、父さんは慌てて止めに入る。本当にこの人は父さんの言う事が絶対で、他の事には一切興味が無くなる。


 「ガジムよ、もう少し待て。せめてこの会議が終わるまではここにいろ。」


 父さんも苦笑いだ。


 そして、避難の順番、準備、防御能力の強化について話が終わりかけたころ、呼び出しを行った大会参加者が到着した旨連絡が来た。


 父さんは入室を許可し、各人それぞれに自己紹介をお願いした。

 どの道<シータ王国>との直接戦闘は<アルダ王国>が行うため、現在の所属国の王は、彼らが<アルダ王国>の所属になっても何の問題もないとの事。


 五人が入室してきた。


 申し訳ないが、ハルドとオルド、そしてミーナのそれぞれのスキル<魔眼>と<鑑定眼>で真偽等を見させてもらっている。

 もちろんガジム隊長が作成した真偽を判断できる魔道具も使っている。


 ないとは思うが、既に<シータ王国>の手先になっている可能性もゼロではないため、安全には安全を考えての対策だ。


 「皆、急な招集によく来てくれた。また、急な事情で大会が中止になり大変申し訳ない。実はこれから話すことは機密事項になる。この秘密を洩らさないと約束はできるだろうか?もし、自信がない場合は遠慮なく言って欲しい。決して何か罰則があるという事ではない事は、<アルダ王国>国王であるこの私、ダン・アルダが保証する。」


 すると、全員問題ないと言う返答が来た。

 父さんはさりげなく各護衛の位置にいるオルト、ハルド、ミーナ、そして円卓に座っているガジム隊長を見た。

 全員問題ない旨の行動をしたため、継続して話をすることになった。

 


 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ