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日本・・(1)

 俺は北野(きたの) 信二(しんじ)


 以前違う地域に住んではいたが、学校でちょっとした悪さをしてしまい、いつもの通り父が握り潰してくれていたのだが、あまりにも回数を重ねてしまった事、そして最近は携帯で動画を撮影し投稿するといったクズがいるせいでその学校にいられなくなったのだ。


 ちょっと彼氏持ちの女に手を出したからって小さい奴らだ。


 そして転校してきた先が、このしけた学校だ。

 いつもの通り、女を見渡すも碌なやつがいないが、一人だけ俺と付き合ってもいいだろうと思えるやつがいた。

 

 なんだか彼氏がいるようだが、問題ないだろう。

 そいつの名前は佐伯(さえき) 悠里(ゆうり)

 セミロングのストレート、そして隣にいる釣り合わない男は久田(ひさだ) (じん)と言うらしい。


 この久田と言う男は、母親はおらず、父親は出張中だななんだか知らないが不在であり一人暮らし状態。そこに世話を焼きに悠里が通っているようなのだ。


 俺の力・・まぁ厳密には親の力だが・・この程度はすぐに調べることができる。

 甲斐甲斐しく世話ができるやつは中々いないので、結構ポイントが高いぞ。


 どうやって落としてやろうかと考えていると、やがて久田の父親の乗った飛行機が行方不明なったらしい。

 という事はあいつは完全に一人暮らしで、そこに悠里が通っているという事だ。


 俺としては非常に面白くない。なので、俺は徐々に悠里の心を俺に向ける作戦を取ることにした。

 こんな状態で強引に迫っても、久田の現在の状況から、良い結果にはならないのは経験で解っている。


 「佐伯さん、何だか疲れているようだけど大丈夫?何か僕に手伝えることはあるかな?」


 「えっと、北野君だっけ?私は大丈夫だから。心配してくれてありがとう。」


 よし、名前は確実に覚えて貰えそうだな。そして、俺は”いい人だ”と悠里の心に植え付ける必要がある。


 「そうなんだ。なんだか少し・・えっと、ごめん。正直に言うとかなり疲れているように見えて心配していたんだ。それで、実は俺ある飲料メーカーと懇意にしていて、疲労によく聞くと言われているドリンクいくつか入手したんだ。正直僕が持っていても飲みきれるものじゃないからいくつか貰ってくれると嬉しいな。」


 そうして俺はいくつかドリンクを差し出した。飲料メーカーと懇意にしているのは親だが嘘は言っていない。

 それにこのドリンク、本来ならばこの小さな瓶入りで五千円以上はする代物だ。


 普通に渡したら、絶対に悠里は受け取らないだろう。だが、さりげなく悠里の為に準備したことをにおわせて、更に貰いやすいような言い方をする。

 俺のテクニックのうちの一つだ。これで受け取れば、次は悠里の負担にならない程度の小物を送る。


 この段階で、きっと彼女は罪悪感が出てくるだろう。

 お返し等を準備してくるはずだ。

 そこでお返しではなく俺の洋服を買いに行くので、いい服がわからないから見繕って欲しい・・とお願いする。

 そしてそこで悠里の服も買ってやり・・・と言う流れだ。


 今回は、相手の久田がダメージを受けている状態なので、もう少し慎重に時間をかけていく予定だが、まあ問題はないだろう。


 今までこの流れで落ちなかった女はいないしな。


 そうして、順調に悠里は久田と過ごすよりも俺と過ごす時間が長くなってきた。だんだんと久田の家にも行かなくなっていたのだ。

 作戦通りだ。


 そして、ある日俺の家に招待し、悠里は家の豪華さに一瞬固まっていた。

 そして悠里にこう伝えた。この頃は既に僕なんて呼び方はもうやめている。


 「悠里、俺はお前に苦労を掛けたくないし、して欲しくもないんだ。悠里が疲れている姿ももう見たくない。幼馴染である久田の状態から、彼に手を貸したくなるのもわかる。悠里は優しいからね。でも、久田もこのままずっと悠里に甘えていたら駄目だと思うんだ。少なくとも悠里は既に義理を返す以上の事もしたし、これからは悠里自身の幸せを考えてほしい。」


 そういうと、悠里の目に涙が浮かんだ。

 意外とチョロかったな。久田、悠里は貰ったぞ。飽きたら返してやるけどな。


 その日から一切悠里は久田の家にはいかず、俺の家に来るようになった。もちろん悠里は俺と一つになっている。


 もう俺はこの学校にも慣れ、権力を振りかざして気に入らない物を排除していった。

 権力は親の力だが、それも含めて俺の力だと思っている。

 始め悠里は困惑していたようだが、時が経てば慣れたのか、俺に排除方法をアドバイスしてくるまでになっている。純真さが無くなってきてしまったのが残念だ。次が見つかれば用無しか?


 だが、まだ俺の女なので、一応目障りな久田は潰しておこう。


 そうしていると、あいつの親友とか言う雑魚が生意気にも俺に意見をしてきた。


 「おい、お前いよいよ猫かぶるの辞めたんだな。こんな時期に引っ越してきたんで色々調べさせてもらったぞ。とんでもないクズもいたもんだ。そして・・悠里ちゃん。本当に残念だよ。こんなクズについて仁を裏切るなんてな。」


 悠里は若干うつむいてしまった。


 「なんだい、斎藤君。失礼だな。」


 こいつ・・確か斎藤(さいとう) 雄二(ゆうじ)とか言ったな。俺の過去を調べたらしいから、ここでうかつなことは言わない方が良いだろう。

 俺に楯突きやがって、腹が立つ。


 「まあいい、あんまり下らない事をしていると、過去をばらすぞ!」


 くっ・・この野郎、この場でボコボコにしてやろうか・・・いや、我慢だ。


 「何のことかわからないが、忠告有難う。」


 その日俺はあまりに頭に来て、既に情報を仕入れていた・・悠里からも聞いて確認したが、久田の家にいるペット共を始末してやった。

 ざまぁ~みろ。俺に楯突いて機嫌を損ねるのが悪いんだ。


 暫く生活していたが、その日は突然やってきた。

 久田を使って気分転換してやろうかと思っていたが、失踪したらしいのだ。

 斎藤はかなり動揺しているようだが、この件に関しては俺は何もしていない。悠里を見るが、もうすでにあいつに心が全くないようで、動揺している様子はない。


 こうなると、こいつは久田に返却できなくなったので、次が見つかり次第ゴミ箱行だな。斎藤に返しても良いかもな。


 悠里は俺のおかげで良い立位置にいるのが、急に理不尽に苛めのターゲットにされるとどんな表情をするだろうか?経験から行くと、驚いた、そして媚びた表情をする者がほとんどだ。実は俺はこの表情を見るのが隠れた楽しみの一つだ。


 翌日、斎藤はショックを受けたのか登校してこなかった。

 まあ、次に登校してきたら次のターゲットはお前だがな。


 暫く何の変哲もない生活を送っていたが、ある日斎藤が登校してきた。

 あまりに日が経っていたので、何だかターゲットにする気が失せていたが、あいつの落ち込んだ姿を見たら久々にやる気になってきた。


 そうして、俺と悠里は斎藤の前に行った。周りには俺の取り巻きが3人程いる。


 まずは軽く朝の挨拶でもしてやるか?と思ったが、突然声も出ないし瞬きもできない。指一本すら動かせない状態なのだ。


 当然周りを見ることもできずに困惑していると、目の前が真っ暗になり・・・そして俺達は教室にいたはずが、石が敷き詰めらている部屋に立っていた。

 よく見ると周りの壁も天井も石でてきているようだ。壁にはいくつか人が通れるほどの隙間があるようだが・・冷たい風が入ってきている。


 俺達は困惑した。何せいきなり見た事もない所にいるのだ。

 その時、脳内にメッセージが流れた。

 

 <心身操作>を獲得しました。


 何だこりゃ?更に困惑した。周りのやつらも何やらメッセージを受け取っているようなそぶりを見せる。

 俺がメッセージを受け取った瞬間に、連中がビクッとしていたからな。


 よし、何だかわからないが少し落ち着いてきた。

 状況を整理してみるか。

 

 まずここにいるのは俺、俺の取り巻き3人、悠里、そして斎藤・・・斎藤??何処に行った??


 あの野郎、いつの間にかいなくなっていやがる。だがまて、逃げたとは限らない。何か不思議な現象が起きているので、どこかに一人で再度飛ばされたか・・


 とりあえずここにいるのは俺を含めて3人だ。


 「おい、お前ら何かメッセージのようなものが聞こえただろう。なんて言われたか順番に教えろ。」


 「私は<重力魔法>だって。」

 

 悠里が一番に返事をした。


 そして俺の取り巻き。正直こいつらは完全な使い捨てなので名前すら憶えていない。全員男だ。


 「<強制隷属>だけど、使用回数は1回のみ・・しけてんな。」

 「俺は<魔力強奪>。」

 「<反射攻撃>てなってたよ。でも神Lvに限るって・・」


 全員違うメッセージが流れたようだ。


 使用回数1回とか言うふざけたやつがいるが、内容はよさそうだ。使い所は気を付ける必要がある。

 まずはどうするか・・・このメッセージの信頼性を確認して、もしメッセージの通りの力を得ていることができているなら、ある程度安全が確保できる。

 そうでなければ、先ずは危険を冒すことになるが周りの探索をしなくてはならない。当然使い捨ての手駒にやってもらうがな。


 そう考えていると、


 「みてみて信二、何だか体を軽くできる。おかげで浮くことができるよ。」


 おいおい、どう試そうかと思っていたが、悠里が何も考えずにやってくれた。どうやらメッセージの能力を得られているようだし、能力を発動しても生命力?のような物を対価にしているわけでもなさそうだ。

 普通に考えたら怪しすぎて、いきなり能力を試そうとはしないと思うんだが、こいつらが考え無しのバカで助かった。


 そうすると、俺は<心身操作>か・・・

 悪くないな。

 

お読みいただきありがとうございました。

若干体調不良で、少しの間投稿できないかもしれません。

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