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大同盟の交流・・(25)大会2日目 ハルドVSミーナ 開始直前

幻獣達とのスキンシップ?です

 当然、試合が終了したら休憩となる。

 今回は、緊急の休憩を試合中に取ってメンテナンスを実施したので、30分の休憩で試合再開になりそうだ。


 しかし、今までの制限無しの試合はあまり時間がかからずに決着している。

 そのおかげで、予期せぬ休憩時間を結構取っているが、何とか今日中には終了できる予定だ。


 次の試合に出場するのは近衛騎士同士、魔族のハルドと猫獣人のミーナだ。

 この二人は、互いにドロップの武具を使用する。

 

 既に敗退はしてしまっている近衛騎士である、オルドと二コラの武具の扱い、そして俺さえも知らない進化をさせていた状態を考えると、この二人も間違いなく武具を進化させていると見て良いだろう。


 俺の知っている武具の状態は、

  ハルドは、銀の刀と、赤の刀2本の刀

  ミーナは、黄色のガントレットと、茶色のソルレット

 だ。


 何れの武具も、通常装備するだけで攻撃力と速度に極大の補正がかかる。

 そこから進化するのだから、特にミーナの動きは大画面の魔道具でも捉えることができくなくなっているのかもしれない。


 そこへ、試合を終えた幻獣達が揃って帰ってきた。

 勝利したのが、マーニカ、ユフロ、エレノア、そして敗退してしまったのが、セリアだ。

 

 セリアはちょっと涙目になっている。なんだか少し可哀そうだ。


 「皆、お疲れ様。勝敗はともかくとして、とてもいい試合だったよ。最後のセリアとエレノアの試合は、突然試合中に力を制限してもらってごめんね。作戦とかもあったんだろうけど、闘技場が壊れそうだったから急遽そうさせてもらったんだ。」


 マーニカ、ユフロ、エレノアは笑顔のまま、


 「お褒め頂きありがとうございます。」

 「まだまだ試合が残っていますので、これからです。」

 「絶対にこのメンバーの中でトップを取ります!!」


 と、力強い宣言をし、そして・・幻獣の中では唯一敗退してしまったセリアはやはり元気がなく、少し伏し目がちで可愛い顔を少し歪めている。


 こんなに頑張ってくれたんだから、何かフォローをしないと・・どうしようか・・・


 俺達は飲み食いしながら彼女たちの必死の戦いを観戦させてもらっていたんだ。なんだか罪悪感が凄い。

 どうすれば彼女は元気になってくれるだろうか??

 とりあえず、ジュースは・・・俺の飲みかけがちょっとしかない!!

 今から買ってくるか??


 ちょっろオロオロしていると、セリアが小さい声で話してくれた。


 「ジン様、頑張ったんですけど負けてしまいました。ご褒美頂けなくて残念です。」


 下を向きながら、涙がポロッと落ちている顔を見ると、いたたまれなくなって思わず軽く抱きしめて頭をなでてしまった。


 「セリア、とってもいい試合だったと思うよ?セリアはセリアで頑張ったんだから、良いじゃない。俺、頑張り屋さんは大好きだよ!」

 

 セリアは涙を流したままの顔で、ガバッと顔をあげて俺を見ると、弾ける笑顔で俺に抱き着いてきた。

 

 「ジン様、ありがとうございます。嬉しいです。これを何というのでしょうか?試合に負けて勝負に勝った?ような感じです!!」


 セリアのご機嫌は良くなってくれたようだ。良かった良かった。


 ただ、俺の背後にいる3人の幻獣からはとてつもない寒気を感じるので、見ないことにしよう。そうしよう。

 

 「セリア、上手くやったわね。あれなら私も負けた方が良かった!!」

 「そうよ、抱きしめて貰えるなんて・・」

 「羨ましい・・・」


 そして怨念のこもったセリフも聞かなかったことにする。


 ここは少し話題を変えよう。


 「皆、この闘技場の外に同盟各国が主体で出店を出してるんだ。見ごたえあるから見てきたら??美味しい物もたくさん売ってるし、ラムとレイラはもう行ってるよ。」


 まだ俺の腕の中にいるセリアは、俺のジュースが気になるらしく、


 「あの、ジン様が飲んでいるジュースも売っているのですか?」


 と聞いてきた。

 

 「ああ、あのジュースだけじゃなくて、沢山の種類が売っているから好きに選んで飲むといいよ?」


 「ジン様の飲んでいる物は、どの様な味がするのでしょうか?」


 「うーん、なんて言ったらいいんだろう、説明が難しいな。甘酸っぱい感じかな?少ししか残ってないけど飲んでみる?」


 「是非!!!」


 そして、光の速さで俺が差し出したジュースを取ると、両手でカップを持って、ちっちゃい口で嬉しそうにコクコクのみ始めた。


 ビュオー・・・


 ヤバイ、凍え死にそうだ。俺の後ろのお三方からは既に殺気が多分に籠った、いや、殺気しかない魔力が溢れ出ている。

 周りにいる王族達も、俺達の周りからは微妙に距離を取り始めた。


 そして、さり気なくオルド、二コラが俺達と距離を取った王族との間に入り込み、防御態勢を取り始めている。殺気を含む・・間違い・・殺気しかない魔力が、王族の方に行かないようにブロックしているのだ。


 はっきり言って俺のミスだ。彼女たちから明らかな好意を示されているのだから、ここまで皆の前で一人だけ、ある意味特別扱いしてしまうのは失策だ。

 

 まずい、どうしよう。セリアは我関せずといった感じで、ちびちび俺のジュースを飲んでいるし、神獣達は、あ~あ!!みたいな顔をして俺を見ている。助けてよ!!


 水晶さん!!


 『なんでこんな場面で私なんですか?全員に同じことをしてあげればいいじゃないですか。』


 成程、その通りだ。

 俺の飲みかけジュースはもうないので、先ずは全員ハグか。

 でも、この状況で振り向くのは普通じゃできない。<神の権能>を使おう。


 そして、無駄に自らを強化した上で気合を入れて、振り向いた瞬間に、三人の幻獣の元へ高速移動し、一気に抱きしめた。

 

 「皆、とってもいい試合だったよ。まだ試合は残ってるけど、これからもいい試合を見せてほしいな。」


 と言いつつ、ゆっくりと一人一人優しくなでてあげたのだ。

 殺気はあっという間に収まり、全員俺の方に寄りかかっている。


 何故か背中からセリアもくっついてきた。


 はぁ、これで一安心か。


 チラっと王族の方を見ると、オルドと二コラは通常の護衛位置に移動しており、防御態勢を解除していた。

 軽く右手を上げて、口パクでゴメン!と伝えておく。

 こんな状況では、<念話>より、何とか自分の口を動かした方が誠意?が伝わるような気がするからね。


 王族と護衛の二人は苦笑いをしていたが、頷いてくれた。


 やがて落ち着きを取り戻し・・てはいない、何故か異常に浮かれている幻獣四人は、仲良く闘技場の外の出店を見てくるために、


 「ジン様、私達これからジン様お勧めの出店を見てきます。」


 と嬉しそうに、この場から離れて行った。


 フィー、疲れた。水晶さんどうもありがとう。


 ようやく少し落ち着いた。体感では一時間位経ったような濃密な一時だったが、本当に一時だったようで休憩時間はまだ十分にある。


 「皆、さっきは彼女たちの対応・・・間違えちゃったみたいでごめんね。でもセリアがかわいそうになっちゃって、気が付いたらあんな状態になってたんだよ。」

 

 「良いんですよ。ご主人様は、昔から寂しそうにしている人や辛そうにしている人を放っておけない性格でしたから、変わっていなくて寧ろうれしいです。」


 「そうね、ジンは前からそうだったもんね。」

 

 モモとトーカの返事に、ソラとシロは嬉しそうにウンウンと頷いてくれている。


 ああ、前の世界の時も俺の事をよく見てくれていたんだな。


 俺としては特別な事をしているつもりはないので、あまり記憶に残ってはいないのだけれど、そう言ってもらえると、少し嬉しいような、恥ずかしいような。


 でも、欲を言うとさっきは助けてほしかったけどね。

 

もう少しだけ闘技大会が続きます。

お読みいただきありがとうございました。

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