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6話 魔分身

「」の前に、人物が分かるように頭文字を入れました。


光が止むとそこは、ダンジョンの中のようだった。

少し開けた空間があり、その奥にボス部屋のような大きな扉があった。そして、この大きな扉以外に出入口は、見当たらなかった。


ラ「ここはどこだ? ダンジョンみたいだが、出入口も見当たらないし。 あるのは、このボス部屋の扉だけだな。」


カ「たぶん、宝箱の罠で隠しボス部屋にでも転送されたのでしょうね。ただ、ここが初級ダンジョン【ベアアシカ】で良かったわ。罠で転送されたとしても、ダンジョンボスより強いモンスターが相手になる訳ないと思うし。」


ピ「確かにそうですね。初級ダンジョンであれば、あのイエロースコーピオン以上のモンスターが出るとは思えません。もう一度イエロースコーピオンが出てくるかもしれませんし、準備を整えてから行きませんか。」


ラ「そうだな。イエロースコーピオンを倒したばかりだから、ちょっと休憩してから、ボスへ挑むとするか。」


各自、装備や道具の整理を行った。

俺は、本当に出口が無いか念のため、周りを再度探索したが、結局見つけることができなかった。


そして、準備が整った俺たちは、ボス部屋に入って行った。


入ってきた扉が閉まり、先ほどのイエロースコーピオンの倍(3mほど)はありそうな煙が立ち、中からおぞましい魔力を放つ4つの頭を持つケルベロスが出現した。


「グワァァーーーーーーーーーーーーーーー オォォーーーーーーーーーーー!!」


ピ「・・・・なんだ・・・こいつは・・・・。」


ロ「・・・・・・バケモノだ・・・。」


全員、恐怖で体が震えて、動けないでいる。


ケルベロスは、全くこちらを警戒しておらず、ただ餌としか俺たちを見ていなかった。冷たく鋭い目に睨まれるだけで、息が苦しくなり、心臓の鼓動が早くなった。

俺は一瞬気を失いそうになったが、唇を噛み締め、痛みで意識を保った。


ピ「みなさん、このバケモノの後ろに転送水晶があるはずです。どうにか、隙をついてみんなでそこまで行きましょう。 必ずどうにかなるはずです。」


カ「・・・どうにかなるって、そんなレベルの敵じゃないでしょ。もう、おしまいよ・・・。」


ロ「カリナ、何言っているの。 このバケモノは倒せないかもしれないが、転送水晶のところまで行くだけなら、生き残るチャンスが少しあるわ。 みんなでどうにかして、生き残りましょう。 最後まで希望を捨てないで・・・・。」


ラ「そうだ、ピートとローラの言うとおりだ。 ・・・・まだ、少ないがチャンスはある。奴が油断している隙にどうにか転送水晶まで駆け抜けるぞ・・・。 固まっていたら、一気にやられてしまう。 恨みっこなしで4人同時に、バラバラになって転送水晶へ向かって走るぞ。 誰が、犠牲になろうが、振り返らずに駆け抜けろ。 いいな、これはリーダー命令だ!!」


ロ「分かったわ。 恨みっこ無しね。」


カ「・・・みんな、ありがとう。 ・・・少し落ち着いたわ。」


ピ「それじゃ、行きましょう。 用意は良いですか。 俺が3つ数えるので、そのタイミングで一斉に走り出しましょう。 それでは、行きますよ・・・・・・・。 1・・・・2・・・・3 ゴォォォーーー。」


4人が一斉にケルベロスの裏手へ向かって駆け出した。

そんな中、ピートとラルフだけが、ケルベロスへ向かって走り出していた。ピートは自分が囮になり、少しでも時間を稼ごうと思ってケルベロスへ向かっていたのだ。それは、ラルフも一緒だった。


しかし、その行動は、全く意味を成さなかった。


ケルベロスは、一瞬で消えたように動き、気付いたときには、俺のすぐ隣りに現れた。そして、気がつくと右手を引っ張られるような衝撃を受けた。それと同時に激痛が走った。ケルベロスが俺の右腕を引きちぎり食べていた。更にケルベロスが俺の右足に噛み付き振り払うように首を動かすと、俺は右足を失い吹き飛ばされた。


ラルフは、何が起きているのか分からず一瞬混乱していたが、俺の叫び声で我に返った。そして、ラルフはすぐさまケルベロスへ駆け寄り背中へ渾身の一撃を放った。


しかし、ケルベロスは全く動じず、ラルフの一撃を受けた。ラルフの攻撃では、傷一つ付かなかった。ケルベロスは、ハエでも寄ってきたかのようにラルフの頭目掛けて尻尾を振った。その一撃で、ラルフの頭が胴体から離れ、血しぶきが飛んだ。


ケルベロスの興味は、ローラとカリナへ向けられていた。ケルベロスは、一瞬にしてローラとカリナの前に移動し、よだれを垂らしていた。

ローラとカリナは、ケルベロスを前にして放心状態となり、膝を突いて落胆した。

一瞬にして、ケルベロスは落胆した2人を食した。


そして、ケルベロスは、まだ俺だけが重症を負っているが、虫の息で生きていることを発見すると、少し苛立ったように歩いてきた。

ケルベロスが右腕を振り上げ俺の頭目掛けて振り下ろそうとした瞬間・・・。

俺の影からドス黒い何かが現れ、ケルベロスの右腕を切り裂いた。


?「・・・よう、そこのお前・・・・・。こんな奴に負けて貰っては困るな・・・。」


ケルベロスは何が起きているのか分からず混乱していたが、すぐに目の前に現れた何かが強敵であると感じ取り、身構えた。しかし、それも束の間、ケルベロスが一瞬にして黒焦げになり、リチとなった。


?「・・・エクストラヒール。」


ドス黒い何かが俺に向けて回復魔法を唱えると、俺の体が光だし無くなった四肢が再生され、全ての傷が治った。俺は何が起きたのかわからず呆気にとられていた。


ピ「・・・誰だお前は・・。 俺に何を・・・・・したんだ。 なぜ、俺を助けたんだ。」


?「・・・・質問ばかりだな。 そうだな・・・少しだけ答えてやる。 俺の名はドキネピ、お前の遠い遠い祖先だ。 お前を助けたのも、ただの気まぐれだ。」


ピ「・・・俺の・・・・・祖先?」


ド「そうだ。 そして、最も興味深い事に、お前の影から俺の魔分身を出現させる際に、お前とシンクロしたようだ。 その影響で、俺の力の一部がお前にも宿った。」


ピ「・・・・シンクロ? ・・・・力が宿った? 何だそれは?・・・・」


ド「そんなことは、自分で考えろ。 まあ、俺の力を使って、ましな奴になったら、教えてやる。 そろろろ、時間のようだ・・・。」


ピ「って、なんだよそれは・・・。 俺は、ピート。 必ずあんたを見つけてやる。」


ド「・・・・そうか。 楽しみにしているぞ、・・・ピート。」


そうゆうと、ドキネピの魔分身が消え去り、辺りは静けさを取り戻した。


お読み頂き、ありがとうございます!

作者のモチベーション維持の為、ブックマーク、評価を頂けたら幸いです。

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