4話 トントン拍子
今日から、ばら色の生活の第一歩だ。
この現状を打開するため、食事も切り詰めお金を貯めた。
才能を装備でカバーするのである。
この銀貨60枚をもとに攻撃力を重視した装備に変更するのである。
大通りから一本路地に入り、口が悪いが良い仕事をする店主がいると評判の武器・防具屋へ入った。
ここは、冒険者たちが御用達のドワーフが営む店である。
ドワーフの店主へ銀貨60枚の予算を告げ、攻撃主体の装備を見せて欲しいとお願いした。
程なくすると店主が、鋼の剣(銀貨45枚)と伴に鉄の鎧(銀貨20枚)の購入を提案された。
予算をオーバーするが、サービスしてもらい現装備を売却する条件で、銀貨60枚で鉄の剣と鉄の鎧を購入することができた。
<ステータス>
名前 ピート
レベル 8
HP 85
MP 0
攻撃力 80 (+40)
防御力 57 (+28)
素早さ 16
賢さ 10
運 7
ピートは新しい武器を手に取り、意気揚々とPTメンバーを求めて冒険者ギルドへ入った。
装備を一新し、前衛をはれることを様々なPTへ説明するが良い返事が得られず、一日が過ぎた。
次の日も同じ結果で、結局1人でダンジョン【ベアアシカ】へ潜ることになった。
1人では、上層階しか行けず経験値も収入も思ったほど得られなかった。
それから、数日が経ったが、ピートは良いPTを見つけられずにいた。
そして、ピートは、いつしかラルフたちのPTを探すようになっていた。
しかし、ここ最近ラルフたちは、次のステージであるCランクを目指し長期間ダンジョンに潜っていたため、冒険者ギルドにいなかった。
更に数日が経ち、ついにピートは、ラルフたちを冒険者ギルドで見つけることができた。
「っあ、ラルフさん、このところずっと冒険者ギルドに顔を出してなかったようですが、何かあったんですか?」
「おぅ、ピートか。何があったって訳でもないさぁ。俺たちもそろそろ次のランク・・・。そう、Cランク冒険者を目指すために、初級ダンジョンの完全攻略へ向けて、ダンジョン【ベアアシカ】に潜っていたってわけだ。」
「そうよぉ、ピート~。私たちもCランク冒険者へ調整することにしたのよ。」
「だが、結局、後一歩のところで、ボスへ到達する前に引き返してしまった。俺がもっと敵の注意を引き付けられれば、ローラとカリナが攻撃に専念でき、苦戦せずに済んだのだが・・・。」
「・・・前衛が足りないのだったら、俺を使ってください! この前、鉄の剣と鎧を購入して、前衛をこなせるようになりました。」
ピートは、装備を一新し、前衛の対応もこなせることをラルフたちへ説明すると次のダンジョン探索からPTへ入って欲しいと要望された。
トントン拍子で、話しが進み、明日からラルフたちと初級ダンジョンの攻略をすることになった。
そして、更に願ってもない事に、この初級ダンジョンの攻略が成功したら正式にラルフたちのPTメンバーとして採用されることになった。
この5年間ずっと、臨時PTしか組んでこられなかった状況を考えると、最も嬉しいことだった。
次の日、数日分の食料と消耗品を持ち、ラルフたちとの待合せ時間よりずいぶん早く、ダンジョン前で待機していた。
しばらくしたら、ラルフたちがやってきた。
「おはよぉ~~。今回のダンジョン攻略のできによって、ピートが俺たちのPTへ加わるかも決まってくるから、がんばってくれ。正直、試験みたいな形になってしまって申し訳ないが、まあ~、なんだ~、そんなに難しく考え無くて良いから。ピートの今までの立ち回りを俺たちは知っているし、ピートが前衛でも十分動けることが分かれば、採用だと思ってくれ。」
「ピートくんも、いつもの普段通りで良いからね。別に試験見たいな事を行う訳じゃないので、気楽に、気楽に。」
ラルフとカリナがピートへ話しかけた。
「そんな、気楽にと言われても、俺はこれまで臨時PTしか組んだこと無くて、正式にPTへ入れて貰える機会なんて無かったので、凄く緊張しますよぉ~。」
「そんなに緊張すると、思ったとおりの力が出し切れなくなるよ。リラックスしなさい、ピート。」
ピートが言葉を返すと次にローラからもフォローが入った。
「緊張しているからって、からかわないで下さい。」
「「「あははははぁ~~」」」
そして、ピートたちは、ダンジョン【ベアアシカ】へ足を踏み入れた。
このときは、これから起こる悲劇の事など全く予想していなかった。
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