2話 5年後
あれから、5年の歳月が経ち俺は20歳となった。
そして、Sランク冒険者まで登り詰め、世界中のダンジョンを攻略している。
というのは、嘘で・・・現実は甘くなかった。
今は王都エードから馬車で10日ほど離れたカマクーラ町に住んでいる。
仮面のせいで気味悪がられ、まともな職業に就くことができず冒険者になった。
冒険者は自由で、生死とも隣合わせの危険な職業だ。
それゆえ、冒険者ギルドへの登録は、あれこれ細かなことを聞かれずに簡単にできる。
格好も様々で、常にフルフェイスの兜を被っていても、たいして日常生活に支障が無い。
しかし、俺には戦闘に特化したスキルが一切無かったため、5年間ずっとFランク冒険者で、若い新人冒険者にも最弱マスクマンなどと馬鹿にされる始末だ。
この世界では、スキルが全てだ。
12歳の誕生日以降に教会を訪れ、加護水晶から生成される7つのダイス(正5角形:12面体)の出目の合計値によって授かるスキルが決定する。
ダイスには0~11の数字が振ってあり、ダイス7つの合計値は0~77である。
< ダイス合計値によるスキル表(目安) ※教会調べ >
・0 ~ 7 : ユニークスキル
・8 ~ 17 : レアスキル
・18 ~ 59 : 標準スキル
・60 ~ 69 : レアスキル
・70 ~ 77 : ユニークスキル
ダイスを振る回数は、その人の才能により異なると言われている。
最低でも1回、多いと4回振った者さえいる。大体1人2~3回振るとダイスは消滅する。
ただ、例外があり、Lv30、Lv60までレベル上げることで、ダイスを各1回振ることができ追加スキルを授かれる。
何年も修行や努力をしなければ手に入らない力を、スキル1つで得ることができる。
更にスキルには補正が付くため、素人同然だった人が、スキルを得る事により、その道の上級者になった事例もある。
そして、熟練度をあげることで、より強力な力を得ることができる。
そのため、有能なスキルを覚えられれば、レベルも冒険者ランクもスムーズに上げられ、格段に良い生活ができる。
そんな俺は、2つスキルを身に着けている。
気配察知と記憶力強化(標準)のスキルだ。
このレアスキル気配察知のお陰で、モンスターの接近に一早く気が付け、大幅に危険を回避できている。
また、記憶力強化スキルにより、様々な知識を記憶している。
この2つのスキルにより、俺は、物知り博士 兼 荷物持ち役として冒険者を続けてこられた。
気配察知というレアスキルがあるので、戦闘系の剣術スキルや身体強化スキルなどでもあれば、もっとランクの高い冒険者になっていただろうが、こればかりは才能なので仕方がない。
今日もボロアパートで朝ごはんを食べた後、冒険者ギルドへ向かった。
冒険者ギルドに入ろうとした際、がっちりした体つきの中年の男性が冒険者ギルドから出てきて、俺に声を掛けてきた。
「ピート、探していたんだ。これから、シルバーウルフ狩りにダンジョンに行くんだが、後方支援で来てくれないか。 報酬はいつも通り1割だ」
「ラルフさん。俺も臨時で参加できるPTを探していたところなんです。」
ラルフは、Dランクの冒険者だ。ラフルのPTは、剣士のラルフ、弓士のローラ、魔術士のカリナの3人だ。
前衛、中衛、後衛とバランスの良いPTである。
「今すぐ出かけるからついてきてくれ」
いつも急だなと思いつつ、ラルフの後をカマクーラ町近くのダンジョンへ向けて、2人して歩いていった。
向かった先は、カマクーラから10分ほど歩いた場所にある初級冒険者向けのダンジョン【ベアアシカ】である。
ローラとカリナは、道具屋でポーションなどを購入してから、ダンジョン【ベアアシカ】前で合流するようだ。
ほどなくすると、ダンジョン【ベアアシカ】に到着した。
ダンジョン【ベアアシカ】の前には、武装した冒険者が多くいる。
殆どが既にPTを組んで待合せをしている冒険者だが、一部、臨時PTを組むために人を募集している冒険者もいる。
そんな中、ダンジョン【ベアアシカ】の入り口付近に2人の女性が立っており、こちらに手を振っているのが見えた。ローラとカリナだ。
ローラは、グリーンの髪を後ろで1つに結び、スラっとした体形で、身軽な格好をしている。
カリナは、ワインレッドの髪を肩まで伸ばし、ちょっとおっとりした感じで、魔術士のローブを着ている。
「ラルフ~、ピートを勧誘できたんだね!良かったぁ。ピート今回もよろしくね」
「ローラさん、カリナさん、今回もよろしくお願いします」
ローラが、俺に話しかけて来たので、返事をした。
そのあと、少し雑談をして、ローラとカリナから、回復系の道具などを預かり、それらをリュックにしまうと同時に、俺は銅のナイフを取り出し装備した。
リュックは、モンスターのドロップ品を回収するため、7割ほど空いている状態だ。
そして、ラルフ達と臨時PTを組み、ダンジョンの中に入っていった。
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