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インターミッション1942年8月16日

インターミッション1942年8月16日

米英蘭の日台両国への宣戦布告は全世界を驚愕させた。

そして世界各国で3カ国連合軍への批判の声が上がった。


特にドイツ・イタリアは極めて強い口調で抗議した。

「21世紀からの平和の使者への攻撃をただちに停止せよ、然らずんば我が国も日台を守るために行動を起こさざるを得ない。」


フランスもこの2カ国に同調した。

日本と台湾のおかげでヒトラーの支配から解放されたという思いがフランス人にはあった。

さらに、21世紀でもそうであったようにこの時代のフランスでもちょっとした日本の漫画ブームが起こっていたのだ。

「わがフランスの恩人であると同時に、文化をこよなく愛し、そして素晴らしい文化を世界に発信している日本と台湾に対し不当な攻撃を行う事は我がフランス国民は許さないであろう。」


カナダとメキシコはアメリカの影響力が強いので沈黙していた。

遠慮がちに「米英蘭の行動は理解できる。21世紀技術の日台両国による独占は誠に遺憾に思う。」…とコメントするにとどまった。


米英蘭3カ国はそれに対し

「我々は21世紀の軍事技術を独占し世界の安全保障に危機をもたらすものを許さない。

断固とした態度で臨む!!」

…と反論した。

3カ国連合軍の攻撃が惨敗に終わった事で彼らの態度は一層頑なになっていた。

しかも今この瞬間もこれら3カ国の植民地では独立闘争が激化し、彼らの権益は日々脅かされているのだ。

米英蘭は植民地での独立運動を徹底的に弾圧し始めた。


反対にフランスはアジアアフリカにあるフランス植民地の独立を認めた。

どの道独立してしまうのならさっさとさせてしまえばいい。

無理に植民地支配しなくたって日本のように通商によって利益をあげればいいのだ。

それに現在の国際世論を見れば植民地支配にこだわるのは得策とは言えない。

(おまけに支配を維持する力もない。)

実利的なフランス人はそう考えた。

アジアにおいてはフランスの保護国(事実上の植民地)であるラオスとカンボジアの独立を認めた。

オーストラリアもフランスに倣ってパプワニューギニアの独立を認めた。

時代は変化してきている。

その空気をオーストラリアは敏感に感じ取っていたのだ。


フランスとオーストラリアのこの行動は米英蘭をかなり刺激した。

両国の植民地独立容認は米英蘭の本当の戦争目的である「植民地権益の防衛」に徹底的に反する行為であり、植民地の独立運動にさらに火に油を注ぐ行為に他ならないからだ。


いつの間にか…日台両国は民族独立運動のシンボル的存在になっていた。

それゆえに英米蘭は日本と台湾を許すことは出来なかったのだ。


さらに米英蘭の3カ国の神経を逆撫でしたのは3カ国連合軍の攻撃を非難した国々がよりいっそう日台との交易量を増やした事であった。

特にフランスは戦争で荒廃した国土復興のために日本から多大な援助を受けていた。

フランス人としては恩返しの意味合いが強かった。

フランスの港から日本に向けて大量の小麦が出荷されていった。

そしてそれはドイツ・イタリアも同様であった。

資源こそ輸出はできないものの日本製品を可能な限り買い付け、また日本企業進出に便宜を図った。

あろうことか中立国であるはずのオーストラリアやニュージーランド、そして独立したばかりのパプワニューギニアまでもが日台へ石油や鉄鋼等の戦略物資の交易を公然と始めた事であった。


これらの国々の輸送船団が様々な原材料をもたらし、また日台で生産された様々な高度な工業製品を買い取るために続々と日台の港にやってきた。


米英蘭はこれに憤激した。

ただでさえ手ごわい日台両国に戦略物資を流すというのは彼らにとっては敵対行為に他ならない。


3カ国連合軍は日本列島・台湾島に向かう全ての輸送船に対し無差別攻撃を行うと宣言した。

1942年12月8日

バシー海峡を日本に向け航行していたフランスの貨物船「ベル・エキップ」が英国海軍潜水艦により撃沈された。

そして同じ日にダーウィンを出港しフロレス海を、やはり日本を目指して航行していたオーストラリア鉱物輸送船「ブランチタイム」も米海軍潜水艦の攻撃を受け沈没した。

さらにフィリピン沖の南シナ海でもドイツとイタリアの貨物船が米海軍潜水艦によって沈められた。


これに激怒したドイツ・イタリア・フランス・オーストラリアの4カ国は米英蘭に宣戦を布告し、オーストラリアに至ってはパプワニューギニアと共にアジア連合に参加すると宣言した。

さらに同じANZAC諸国であるニュージーランドもこれに加わった。

フランスもラオス・カンボジアにアジア連合参加を薦め、両国はこれに同意した。


かくして、事実上の「第2次世界大戦」が始まった。



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