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アラビア海海戦1946年5月3日

アラビア海海戦1946年5月3日

1946年4月15日

大英帝国の威信をかけた大艦隊が喜望峰を回り英軍支配下にあるマダガスカル島マジュンカ港に入港した。

目的はアラビア海の制海権を奪取する事である。

その後、パキスタン首都カラチ方面のアジア連合軍部隊を洋上より艦砲射撃で粉砕し上陸部隊を揚陸しカラチを制圧する作戦であった。


南太平洋方面にNGFの主力が釘付けになっている。

今なら大した戦力はいない。

しかも厄介なタイ王国海軍の空母機動部隊はトンキン湾に向かったという情報もある。

大英帝国海軍東洋艦隊司令サー・モーリス・ロレンス大将は勝利を確信していた。

東洋艦隊進撃に呼応してアフガニスタンより空軍の支援を受けた英陸軍のアジア方面軍が一斉にパキスタンに侵攻する事になっていた。

西アジアにおける大英帝国の覇権を復活させるべくアジア方面軍の全戦力が投入された。

4月30日

休息と補給を終えた英国海軍東洋艦隊はマジュンカ港より出撃した。


情報収集衛星により英国東洋艦隊出撃を知ったアジア連合もこれを迎え撃つべく艦隊を出撃させた。

日本防衛省情報本部は衛星による追跡で東洋艦隊の航路をトレース。

その目的地をパキスタンと割り出した。

アジア連合のアラビア海防衛艦隊はその情報を受けてアラビア海カラチ沖100km地点に進出した。

ボンベイ基地にはタイ王国海軍航空隊のP-3C部隊が集結。

全機対艦ミサイルハープーンを装備し英国海軍襲来を待ち受けた。

カラチ基地でも対艦ミサイルペンギンⅡを装備したベトナム空軍第3爆撃飛行隊の96式陸攻とタイ王国空軍第2爆撃飛行隊の一式陸攻が出撃準備を整えた。


5月3日06:30

英国海軍東洋艦隊はアラビア海パキスタン沖300kmの海域に進出した。

サー・モーリス・ロレンス大将は全水偵をアジア連合艦隊索敵のために放った。

同時に全空母に艦載機の発艦準備を命じた。

艦隊直援のホーカー・シー・フューリーが次々に発艦する。

ブラックバーンファイヤブランド雷撃機が雷装、フェアリーファヤフライは爆装し、発艦の時を待っていた。


しかしそれは同じくパキスタン沖に進出したタイ王国海軍航空隊のP-3Cの対水上レーダーが捉えていた。

ボンベイとカラチより攻撃隊が離陸した。


アジア連合艦隊の方もNGF第11護衛隊の空母千歳、千代田より雷鳴改隊が艦隊直援のため発艦した。

07:30

重巡洋艦サセックスの水偵キングフィッシャーがアジア連合艦隊を発見。

その位置を艦隊に打電した。

しかしその直後、サセックス搭載水偵は突然連絡を絶った。

上空直援の雷鳴改に撃墜されたのだ。


サー・モーリス・ロレンス大将はただちに全艦載機の発艦を命じた。

艦載機の発艦が終了したところで前衛の駆逐艦カンブリアンの対空レーダーが高速で向かってくる物体をキャッチした。


その数40

そしてカラチ方面から向かってくる敵機と思われる

飛行物体もキャッチした。

そちらは約90機


40の高速飛翔体の正体はタイ王国海軍航空隊のP-3Cが放った対艦ミサイルハープーンだった。

ハープーンを放ったP-3Cはすぐさま反転し空域を離脱していった。


放たれたハープーンはそれぞれの目標に向かって突進していった。

東洋艦隊は一斉に対空砲及び対空機関砲によって濃密な対空弾幕を張り巡らせた。

しかしそれはほとんど効果が無く、かろうじて2発のハープーンを撃墜したに過ぎなかった。

戦艦ネルソン、ロドニー、キング・ジョージV世にそれぞれ5発が着弾。

ネルソン、ロドニーは大破炎上。

東洋艦隊旗艦キング・ジョージⅤ世は2番主砲と機関室を直撃され弾薬と燃料に引火。

大爆発を起こし艦隊司令官サー・モーリス・ロレンス大将の命と共にアラビヤ海に沈んでいった。

そして空母インプラカブルには3発が飛行甲板に着弾し大破炎上。

軽空母コロッサス、ヴェンジャンス、ヴェネラブル、パイオニア、グローリー

らには、2発ずつ着弾し5隻とも轟沈してしまった。

その他重巡洋艦デヴォンシャー撃沈され重巡洋艦サセックスは大破炎上。

そしてさらに軽巡洋艦リアンダー、アキリーズ、ネプチューンが撃沈。

軽巡洋艦エイジャックスが大破した。


続いてカラチから出撃してきたベトナム・タイ空軍の陸攻部隊から対艦ミサイルペンギンⅡが発射された。

こちらもミサイル発射と同時に反転して空域を離脱しにかかった。

上空直援のシーフューリー隊が追撃をかけるが距離が離れすぎていて捕まえる事が出来なかった。


ベトナム、タイ陸攻部隊の放ったペンギンⅡは大破した戦艦と空母、そして重巡洋艦に殺到し、それぞれの目標を撃沈した。


一方、アジア連合艦隊に向かった英国空母艦載機群も悲惨な運命を辿った。

30機の雷鳴改の放ったAIM9サイドワインダーによって護衛のシーフューリー隊が一瞬に壊滅。

残った攻撃機も雷鳴のM-61バルカン砲に引き裂かれ次々に撃墜されていった。

かろうじて15機のブラックバーンファイヤブランド雷撃機が雷鳴改のスクリーンCAPをすり抜け艦隊に肉薄しようとしたがNGF第11護衛隊と台湾海軍の第1機動艦隊のシ-スパローの迎撃によって全機撃墜された。


生き残った英国東洋艦隊は旗艦を軽巡洋艦オリオンとし、再び陣形を整えた。

第3戦隊司令のオリバー・フラッグス少将が艦隊司令官となった。

主力の戦艦と重巡洋艦を失ったが数の上ではこちらがまだ上。

アジア連合の艦隊も軽巡洋艦と駆逐艦が主体の艦隊だ。

勝ち目はまだある。

艦載機はまだ1機も戻ってきていないがきっと敵艦隊にある程度損害を与えているに違いない。

我々白人が有色人種に敗れる事などあり得ない。

未だ白人至上主義を信じ込んでいるフラッグス少将は生存者を救出し、輸送船に移した後、進撃を再開させた。


しかし、フラッグス少将の願いもむなしくアジア連合艦隊は全くの無傷だった。

未だあきらめない英国東洋艦隊にとどめをさすために全艦が前進を開始した。

5月3日09:45

NGF第11護衛隊旗艦はつゆきの対水上レーダーが接近してくる英国東洋艦隊を捉えた。

第11護衛隊司令仮名一等海佐はただちに全艦に対艦攻撃を下命。

台湾第一機動艦隊も同じく対艦ミサイル雄風三型の発射準備に入った。

英国東洋艦隊との距離が40kmになったと同時にNGF第11護衛隊と台湾海軍第1機動艦隊、そしてインドネシア・マレーシア・シンガポール合同艦隊より一斉に対艦ミサイルが発射された。


28発の対艦ミサイルが英国東洋艦隊に襲いかかった。

旗艦オリオンの周囲を守っていた駆逐艦シーザー、カンブリアン、カプリースがミサイルの直撃を受け一瞬で爆沈した。

軽巡洋艦オリオンに2発のミサイルが対空弾幕をすり抜けて突入してくる。

フラッグス少将はそれを見て凍りついた。

回避運動を指示する艦長の声が遠くに聞こえた。


…馬鹿な…我々白人が有色人種に敗れるなど…そんな事があるわけが…

そこでフラッグス少将の意識は途切れた。

軽巡洋艦オリオンは2発のハープーンが艦橋と第1主砲に直撃。

轟沈した。


10:00

NGF第11護衛隊仮名一等海佐は「対艦戦闘用具収め。」の指示を出した。

すでに動いている船は1隻も無い。

英国海軍東洋艦隊は全滅した。

「これで英国が戦いを止めてくれればいいが…」

仮名一佐はつぶやいた。


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