北海・ビスケー湾海戦1945年2月。
北海・ビスケー湾海戦1945年2月。
度重なる欧州同盟軍の通商破壊戦に腹を据えかねた米英連合軍は欧州海軍撃滅作戦を決行した。
作戦名は「オペレーション・シーアックス(海の斧作戦)」
米格軍はドイツ海軍Uボート殲滅のために新鋭のフレッチャー級駆逐艦を大量に大西洋に差し向けた。
それだけでなくドイツ・フランスの水上艦隊撃滅のため戦艦や空母も派遣した。
相手は21世紀の技術を持つ日台海軍ではない。
これなら絶対勝てる。
米英政府はそう考えていた。
…というより戦勝報告が無い事で国内に厭戦気分が蔓延していた。
それを払拭させるためにも是非とも勝利が必要だった。
オペレーション・シーアックス参加艦艇は以下の通り。
米海軍大西洋艦隊第6艦隊11任務部隊
戦艦
ミシシッピ(BB-23 Mississippi)
アイダホ(BB-24 Idaho)
空母
レンジャー (CV-4 Ranger)
ヨークタウン (CV-10 Yorktown)
軽空母
プリンストン (CVL-23 Princeton)
ベロー・ウッド (CVL-24 Belleau Wood)
重巡洋艦
ミネアポリス (USS Minneapolis, CA-36)
タスカルーザ (USS Tuscaloosa, CA-37)
軽巡洋艦
コンコード (CL-10 Concord)
リッチモンド (CL-9 Richmond)
トレントン (CL-11 Trenton)
アトランタ (CL-51 Atranta)
オークランド (USS Oakland, CL-95)
レノ (USS Reno, CL-96)
バーミングハム (USS Birmingham, CL-62)
クリーブランド (CL-55 Cleveland)、
駆逐艦
第1戦隊
ゲスト(DD-472 Guest)ベネット(DD-473 Bennett)
フラム(DD-474 Fullam)ハドソン(DD-475 Hudson)
ハッチンス(DD-476 Hutchins)、プリングル(DD-477 Pringle)
第2戦隊
スタンリー(DD-478 Stanly)、スティーブンス(DD-479 Stevens)
ハルフォード(DD-480 Halford)、リューツ(DD-481 Leutze)
フィリップ(DD-498 Philip)、レンショー(DD-499 Renshaw)
第3戦隊
リングゴールド(DD-500 Ringgold)、シュレーダー(DD-501 Schroeder)
シグスビー(DD-502 Sigsbee)、コンウェイ(DD-507 Conway)
コニー(DD-508 Cony)、コンヴァース(DD-509 Converse)
第4戦隊
イートン(DD-510 Eaton)、フート(DD-511 Foote)
スペンス(DD-512 Spence)、テリー(DD-513 Terry)
サッチャー(DD-514 Thatcher)、アンソニー(DD-515 Anthony)
第5戦隊
ワズワース(DD-516 Wadsworth)、ウォーカー(DD-517 Walker)
ブラウンソン(DD-518 Brownson)、デイリー(DD-519 Daly)
第6戦隊
イシャーウッド(DD-520 Isherwood)、キンバリー(DD-521 Kimberly)
ルース(DD-522 Luce)、アブナー・リード(DD-526 Abner Read)
アンメン(DD-527 Ammen)、マラニー(DD-528 Mullany)
第7戦隊
ブッシュ(DD-529 Bush)、トラセン(DD-530 Trathen)
ヘイゼルウッド(DD-531 Hazelwood)、ヒーアマン(DD-532 Heermann)
ホーエル(DD-533 Hoel)、マッコード(DD-534 McCord)
第8戦隊
ミラー(DD-535 Miller)、オーウェン(DD-536 Owen)
ザ・サリヴァンズ(DD-537 The Sullivans)スティーブン・ポッター(DD-538 Stephen Potter)、ティンゲイ(DD-539 Tingey)ビール(DD-471 Beale)
英国本国艦隊
戦艦
デューク・オブ・ヨーク
アンソン
ハウ
空母
インプラカブル(航空機約60機搭載:アベンジャー22機、ヘルキャット36機)
護衛空母
カンパニア(航空機12機搭載:ソードフィッシュ9、マートレット3)
ナイラナ(航空機20機搭載 :ソードフィッシュ16、マートレット4)
ヴィンデックス(航空機20機搭載 :ソードフィッシュ16、マートレット4)
重巡洋艦
ケント
バーウィック
カンバーランド
軽巡洋艦
リアンダー・アキリーズ
ネプチューン・オリオン
エイジャックス
駆逐艦
第1戦隊
ビーグル・ボリアス・ブリリアント
ブルドッグ・ガーランド・ホットスパー
第2戦隊
ヴァレンタイン・ヴィーナス・ヴェルラム
ヴィジラント・ヴィラーゴゥ・ヴィクセン
ヴォレィジ
これら米英艦隊の動きは日本の情報収集衛星が全てキャッチしていた。
この情報は通信衛星を介して速やかにドイツに通達された。
欧州同盟軍海軍総司令官カール・デーニッツ大将はこれに対しまともに戦わずに空軍と連携し艦隊を守る作戦を取った。
欧州同盟軍としては、海軍の最重要目標は英国の通商線の破壊であり、英米艦隊撃滅はそれほど重要な事ではなかった。
それに…正面からぶつかって勝てる相手ではない。
欧州海軍には空母が4隻しかいない。
こんなところで貴重な空母を失うわけにはいかない。
空母グラーフ・ツェッペリン、軽空母ヴェーザーはリューゲン島の基地に避難させ、ドイツ空軍に守らせる。
ジブラルタル封鎖に参加していたイタリア海軍のアキーラ・スパルビエロ両空母は地中海の奥深くに避難させる。
また通商破壊作戦の主力である潜水艦隊は全艦をシュラン島、ローラン島、リューゲン島の秘密基地に帰還させ、やはり空軍に守らせる。
フランス海軍の戦艦も護衛の駆逐艦と共に地中海に退避させ空軍に守らせる。
しかし、まったく戦わないというわけにはいかない。
ある程度戦ってみせて米英海軍に多少なりとも損害を与えねばならない。
太平洋で大損害を被った米英は艦艇損失に対し非常に敏感になっている。
特に国内世論は神経質になっていると言っていい。
とにかく大型艦を1隻でも沈めるなり損害を与える事が出来ればそれで良い。
国民世論を気にする米英はそれで撤退するであろう。
デーニッツはそう読んで戦略を立てた。
そうしてドイツ海軍全艦艇は北海沿岸部に、フランス海軍の全艦艇はビスケー湾沿岸部に集結した。
さらに集中攻撃を避けるため艦隊をいくつかの小艦隊に分割し、遠すぎず近すぎずの間隔を保って配置した。
また艦隊の機動性にも十分配慮した。
戦艦は戦艦だけで、重巡洋艦が重巡洋艦まとめ、それを数隻の駆逐艦で守らせる。
その他は軽巡洋艦と駆逐艦で組ませる。
その編成は
ドイツ海軍
第1部隊
戦艦
レージェン
シュレスヴィヒホルスタイン
駆逐艦
Z.4(リヒャルト・バイツェン)Z.4 (Richard Beitzen)
Z.5(パウル・ヤコビ)[Z.5 (Paul Jakobi)]
Z.6(テオドール・リーデル)[Z.6 (Theodor Riedel)]
Z.7(ヘルマン・シェーマン)[Z.7 (Hermann Schoemann)]
第2部隊
戦艦
シャルンホルスト[Scharnhorst]
ティルピッツ[Tirpitz]
駆逐艦
Z.8(ブルーノ・ハイネマン)[Z.8 (Bruno Heinemann)]
Z.10(ハンス・ロディ)[Z.10 (Hans Lody)]
Z.14(フリードリッヒ・イーン)[Z.14 (Friedrich Ihn)]
Z.15(エーリッヒ・シュタインブリンク)[Z.15 (Erich Steinbrinck)]
第3部隊
装甲艦(ポケット戦艦)
ドイッチュランド[Deutschland]
アドミラル・シェーア[Admiral Scheer]
駆逐艦
Z.16(フリードリッヒ・エッコルト)[Z.16 (Friedrich Eckoldt)]
Z.20(カール・ガルスター)[Z.20 (Karl Galster)]
Z.24 [Z.24]
第4部隊
重巡洋艦
アドミラル・ヒッパー[Admiral Hipper]
プリンツ・オイゲン[Prinz Eugen]
駆逐艦
Z.16(フリードリッヒ・エッコルト)[Z.16 (Friedrich Eckoldt)]
Z.20(カール・ガルスター)[Z.20 (Karl Galster)]
Z.23 [Z.23]
第5部隊
軽巡洋艦
ニュルンベルグ[Nürnberg]
駆逐艦
Z.25 [Z.25]、Z.26 [Z.26]、Z.27 [Z.27]、Z.28 [Z.28]
第6部隊
駆逐艦
Z.30 [Z.30]、Z.32[Z.32]、Z.33[Z.33]、Z.34[Z.34]、Z.37[Z.37]
第7部隊
Z.38[Z.38]、Z.39[Z.39]、Z.35[Z.35]
Z.36[Z.36]、Z.43[Z.43]
フランス海軍
第1部隊
重巡洋艦
エミール・ベルタン[Emile Bertin]
アルジェリー[Algérie]
駆逐艦
ティーグル[Tigre] レオパール[Leopard]
パンテール[Panthère] ランクス[Lynx]
第2部隊
重巡洋艦
シュフラン[Suffren]
コルベール[Colbert]
駆逐艦
シムーン[Simoun] タンペート[Tempête]
トルナード[Tornade]
トラモンターヌ[Tramontane]
第3部隊
軽巡洋艦
デュゲイ・トルーアン[Duguay Trouin]
ラモット・ピケ[Lamotte Picquet]
駆逐艦
トロンブ[Trombe] ティフォン[Typhon] ル・フォルテュネ[Le Fortuné]
ラ・パルム[La Palme]
第4部隊
軽巡洋艦
ラ・ガリソニエール[La Galissonnière]
ジャン・ド・ヴィエンヌ[Jean de Vienne]
駆逐艦
ラルション[L'Alcyon] ル・マルス[Le Mars] ブーロネー[Boulonnais] ブレストア[Brestois]
(残りの艦艇は全て地中海に退避)
1942年2月10日。
米艦隊はアイルランド、パリージャノンに入港。
補給の後、13日早朝ビスケー湾に出撃した。
同時刻、英国本国艦隊もスカパフロー軍港を北海方面へ向けて出撃した。
両艦隊は対潜シフトでドイツ潜水艦を探しながら同時に水上艦隊も捜索していた。
しかし、いくら探してもドイツ潜水艦は見つからない。
米英艦隊首脳部が首をひねっているところへ敵艦隊発見の報が入った。
英国軍哨戒機スーパーマリン・ウォーラス部隊が北海ドイツ沿岸部にドイツ艦隊を、ビスケー湾フランス沿岸部に小艦隊を発見したと報告してきたのだ。
この時発見されたのは、北海方面はドイツ海軍第4部隊、ビスケー湾方面はフランス海軍第3部隊だった。
米英艦隊はすぐさま目標に向けて艦載機を発艦させた。
英国空軍も攻撃機をすかさず出撃させた。
やがてドイツ艦隊に英国空母艦載機群と英国空軍機が襲いかかってきた。
F6Fを護衛に付けたアベンジャー雷撃機とスピットファイヤーを護衛に付けたハリファクスB.Mk IIIだった。
しかし、ドイツ本土から迎撃に上がってきたMe262シュワルベやFW190がそれらの前に立ちはだかった。
シュワルベが空母インプラカブルの艦載護衛機F6Fやスピットファイヤーを蹴散らす。
その隙にFw190が雷撃機を攻撃した。
たちまちF-6Fは1/3が撃墜され、アベンジャー雷撃機とハリファクスB.Mk IIIに至っては半数以下にまで撃ち減らされた。
それでも米英攻撃隊はドイツ艦隊に突撃した。
ドイツ海軍第4部隊は対空弾幕をはって応戦する。
生き残ったアベンジャー9機のうち3機が対空砲火で撃墜されたが6機は魚雷投下に成功。
うち1発がZ23駆逐艦に命中。
Z23は撃沈されてしまった。
そして8機のハリファックス攻撃機も1機が対空砲火で撃墜されたが残った7機が魚雷投下。
2発が重巡洋艦アドミラル・ヒッパーに命中。
アドミラル・ヒッパーは中破に追い込まれた。
ハリファックス攻撃機部隊はさらに雷撃を加えアドミラル・ヒッパーにとどめを刺した上に、駆逐艦Z16も大破させた。
フランス第3部隊も米空母艦載機群と英国海軍攻撃機の攻撃を受けた。
ドイツ空軍迎撃機部隊の必死の防戦でそれら攻撃機部隊の2/3を撃破。
しかし生き残った攻撃機により軽巡洋艦ラモット・ピケ、駆逐艦ティフォンが撃沈された。
欧州同盟国軍も反撃に出た。
ドイツ軍偵察機Do26飛行艇部隊が北海の中央を航行する英国軍艦隊とビスケー湾のブレスト沖200kmを航行中の米国艦隊を発見した。
ドイツ本土とフランス本土から次々と攻撃機が出撃した。
対艦攻撃用のアラドAr234ブリッツB-3ジェット攻撃機と護衛のMe262シュワルベF-1である。
最大速度800Km/hのアラド攻撃機と900km/hのシュワルベF-1はそのスピードにものを言わせて英米空母群の上空直援機を振り切り瞬く間に英米艦隊に肉薄。
アラドの魚雷攻撃とシュワルベF-1のロケット弾攻撃で米空母レンジャーを撃沈、英国海軍空母インプラカブルを大破させた。
空軍の攻撃に呼応してドイツ・フランス海軍艦隊も接敵可能な戦隊がそれぞれ集結し突撃、反航戦を仕掛けた。
ドイツ海軍は第2、第3戦隊が、フランス海軍は第1、第2戦隊が合流の後突撃した。
それぞれの艦艇が米英艦隊に一斉射撃を行った。
すれ違いざまに凄まじい砲撃戦となった。
ドイツ海軍は英国海軍の駆逐艦ビーグル、ボリアスを撃沈し、重巡洋艦ケントを大破させた。
しかし英国軍艦隊もドイツ海軍戦艦ティルピッツを中破させ、そして戦艦シャルンホルスト、装甲艦アドミラル・シェーアを大破、そして装甲艦ドイッチュランド、駆逐艦Z8、Z10、Z16、Z24を撃沈した。
フランス海軍の方は米国艦隊の駆逐艦ゲスト、ベネットを撃沈。
そして軽巡洋艦コンコードを大破、そして重巡洋艦ミネアポリスを中破させた。
しかしその代償として重巡洋艦エミール・ベルタンと駆逐艦ティーグル、シムーン、タンペート、トルナードが撃沈、重巡洋艦シュフランが大破の被害を被った。
ドイツ・フランスの両艦隊はすれ違った後はすぐさま撤退し戦域を離脱した。
追撃をかけようとした英米艦隊に再びドイツ空軍攻撃機部隊が矢のように突っ込んできた。
英国海軍は重巡洋艦ケントを撃沈され、戦艦アンソンも中破の被害を受けた。
米国艦隊は重巡洋艦ミネアポリスが撃沈。
戦艦ミシシッピも中破させられた。
これ以上の被害を恐れた米英艦隊は進路を反転し撤退していった。
最も狩るべき獲物であったドイツ潜水艦部隊は1隻も撃破出来なかったが、とにもかくにも欧州艦隊にかなりの打撃を与えた。
しかし結果的には空母を撃沈されたので米英の勝ちとは言い難い。
しかも航空機の被害は米英の方が多かったのだ。
だが、米英は自軍の被害は過小に発表し、戦果だけを大きく国民に伝えた。
米英国民は久しぶりの戦勝報告で多少落ち着きを取り戻した。
欧州同盟軍側は、確かに大きな損害を被ったが艦隊の被害は想定範囲内に収まったことでとりあえず良しとした。
特に通商破壊戦の主力である潜水艦部隊は無事、駆逐艦部隊は大半が生き残り、さらには空母も被害を受けずに済んだのだ。
デーニッツは部下たちに労いの言葉をかけ、作戦終了を宣言した。
北海・ビスケー湾海戦結果
被害艦艇
ドイツ海軍
撃沈
重巡洋艦
アドミラル・ヒッパー
装甲艦
ドイッチュランド
駆逐艦
Z23、Z16、Z8、Z10、Z16、Z24
中破
戦艦
ティルピッツ
大破
戦艦
シャルンホルスト
装甲艦
アドミラル・シェーア
フランス海軍
撃沈
重巡洋艦
エミール・ベルタン
軽巡洋艦
ラモット・ピケ
駆逐艦
ティフォン、ティーグル、シムーン、タンペート、トルナード
大破
重巡洋艦
シュフラン
アメリカ海軍
撃沈
空母
レンジャー
重巡洋艦
ミネアポリス
駆逐艦
ゲスト、ベネット
大破
軽巡洋艦
コンコード
中破
戦艦
ミシシッピ
英国海軍
撃沈
駆逐艦ビーグル、ボリアス
重巡洋艦
ケント
大破
空母
インプラカブル
中破
戦艦
アンソン
損失航空機
ドイツ空軍
戦闘機3機、攻撃機20機
英国海軍
戦闘機18機、攻撃機16機
英国空軍
戦闘機25機、攻撃機32機
米国海軍
戦闘機25機:攻撃機30機