1/1
友情は壊れるためにあるの
「あんた見てると、イラつくのよ。消えて。」
奈津子の感情のこもっていない、冷たい目が静かに私を見ていた。
「奈津子―。」
私の声が聞こえていないかのように、奈津子は、坂道を登って行った。私は奈津子を追いかける気がなくなって、その場にしゃがみ込む。
私と奈津子がはじめて出会ったのは、桜が丘中の入学式だった。名前順で前後ろだったから、必然的に仲良くなった。一緒に映画を見に行ったり、海に行ったり、川で遊んだり、たくさん遊んだ。
出会って5か月ぐらいたったころから、奈津子は私と話さなくなった。近づくと、私を避けるように私と仲が悪い恵達の所へ行ってしまう。