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第一章:1

よろしくお願いします!

 雲一つない、晴れやかで清々しい空に、


「せやあぁぁぁ!」


 岩石が飛舞い上がり。


「ぐるおらぁぁぁぁぁぁ!」


 地面は抉れ、炎の塊が咲き乱れる。


 ちょっと小鳥がさえずる様な場所じゃないけど、とてもいい天気!


 そんな場所で、僕らは今…………。



「私の愛弟が一番ですわ!」

「わしの愛娘が一番じゃ!」


 姉上と大陸最古で最強の竜と呼ばれる、古竜(エンシェントドラゴン)ファヴニールとの戦闘(弟と娘どっちが最愛?)に巻き込まれているのだから…………。



 事の発端は三日前。


「あらあらアル! (ドラゴン)を退治し、下僕としましょう!」


 学園の昼休み。

 珍しく一人で、ゆっくりと食事を取っていた僕に姉上が、


『この後、お茶でもどうですか?』


 なんて風に、気軽に話しかけてきたのだ。


「うん。姉上はなんでいつも、突拍子もない事を、何でも無いように言うのですか?」


 いつもよりゆっくり、落ち着いて食事が出来たからだろうか?

 僕は余裕をもって、長年の疑問を訪ねてみた。

 結果。


「はい! それは、私、いえ、私たちにとって、何でも無い事だからですわ!」


 うん。

 やはり、姉上は姉上だった…………。


「で、なんでいきなり? 竜の討伐なんです? 魔王の脅威も無くなった今、討伐し、下僕にする理由が分からないのですが?」


 出来る限り冷静に、理路整然と言葉を並べるのだが、


「あらあら、私、アルとの幸せ結婚生活を急ぐあまり、いろんなものを端折ってしまったようですの」


 いつも通りの、姉上は、自分ルールを話し始めた。


 いわく、魔王討伐をする勇者には、幾多の困難が立ちふさがること。


 いわく、勇者はその困難を仲間と共に打ち破り、仲間との絆を深め、その中でも最愛の女との絆を強固にすること。


 そして固い絆で結ばれた二人は、見事魔王を追討伐し……。


「うん。姉上。それって先日劇で見た『英雄恋物語列伝』ですよね? 物語(ストーリー)そのままですよね?」


 先日、姉上と見た劇の内容を思い出す。


 そう言えばあの後、姉上。

 劇の原作や背景にした場所など、いろんな情報を集めてた。

 もちろん、侯爵家や自身の影を総動員してだ。


「はい! その結果。魔王城に行くには『竜の巣』と呼ばれる北端の場所へ赴き、そこのボス的な竜を調きょ……いえ、洗の……いえ、ボコボコにして完膚なきまでに服従させ、魔王城まで連れて行かせるとの結論にたどり着いたのです!」

「うん、何となく分かってたけど、劇見たからって安直すぎやしませんか? それにもう神聖視されるはずの竜に対して、マズイ言葉しか発して無いんですけど!?」


 一応この大陸では、竜とは神々に最も近しい生き物とされている。

 さらに竜の巣にいると言われる最古の竜は、この大陸を作った神々と同列だと言われている。

 

「そんな最古の竜、神竜を調教? 洗脳? それよりボコボコにしちゃダメでしょ?」

「あらあら? でも、劇で古竜は『己の力を示せ』っと、戦闘になったではありませんでしたか?」


 うん。言いたくはないが劇団の人々よ。

 なんでそこで竜と戦った?

 そこは何か、知恵比べとか度胸試しで良かったんじゃね?

 

 客観的に芝居は見ていて楽しかったのだが、今はとってもマズイ状況だった。


「とにかく、そんな簡単に『竜の巣』へは……」


 行けません! っと言葉を強くしようとした僕に、


「おろおろ、確か最後、勇者は、花嫁と一緒に竜に乗り、『最愛の女性を幸せにする!』っと城下に宣言するのじゃったのう?」


 僕の言葉を遮り、いつの間にかヒルデがいた。

 しかも、


「そ、それなら、魔王を倒した後、勇者がその魔王の跡継ぎの娘に一目ぼれして求婚! 人間と魔族は仲良くなりました! とかの方がオリジナルィ溢れていて良くないかな?」


 いつの間にか僕の腕を取り、グイグイと体を寄せるメイリン(魔王の娘)がいた。


「あらあら? そこの魔王のピーに引っ付いていたカスが、かろうじて(生まれた)だけのゴミ虫が、私の愛弟の腕に引っ付くなんて……その腕ごと浄化してあげましょうか?」

「うん? 姉上? それだと僕の腕も一緒に無くなるのでは?」

「あらあら、大丈夫ですわアル! 不浄のゴミが付いた腕は、彼女がちゃんと蘇生してくれますもの!」

「おろおろ? 大丈夫じゃ。わっちの魔力で、その穢れた腕共々灰も残さぬよう燃やし尽くすてくれようぞ!」


「うん。もしかしなくても、僕の腕は彼女と共に消滅するの決定なの?」


 さすがに一瞬でも自分の腕が無くなるのは嫌なんですけど?

 そう思う僕は、

 姉上に片手で襟首を持たれ、突き出される者に目をやれば、


「ぐびっ……ぷはっ! 良いんです! もう、私なんて、ただの回復アイテムで良いんです! ぐびっ! ぷはっ!」


 なんかすでに人生を諦めたような、酔っぱらいのおっさんのように酒瓶代わりに魔力回復薬の瓶を持つ、お腹をタポタポにさせたマリアーナがいた。


 一応アレな彼女に、さすがにそれは不憫だと口を開きかけたが、


「お待たせしました! さあさあ! 財宝とレアなアイテム(主にこの首輪を外せるアイテム)が眠る竜の巣に、レッツらゴーです!」


 ある事件が元で、姉上に『絶対服従』の首輪を付けられた少女ミナが、身の丈を越えるリュックを背負ってやってきたのだった。


 え? これってもう、行くの決定なの?


 そんな僕に、


 がしっ!


 右から姉上。

 左からヒルデが僕の両肩をホールド。


「「さあ! 行こう! 竜の巣へ!」」


「なんで二人とも息合ってんだよ! それにヒルデ! いつものじゃはどうしたじゃは! いつもらしくないじゃんか!」


「いやいや、雰囲気と言うものがあるじゃろ?」


「僕の言葉を聞かずに、なんで空気読んでんの!」


「おろおろ? そんなことより、もう準備は整っておる。さあ! 出発じゃ!」


 姉上から発する空気は読めたはずなのに、なんで僕の言葉は届かないんだろう?

 ため息を一つ。

 僕は黙々と旅の準備を始めるのだった……。


最近、パソコンの調子も作者の調子もよろしくない。

こんな時、誰かが特効薬(ブクマとか評価とか、感想なんかも!)

くれたらな・・・・・・。

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