プロローグ
プロローグなので短めです
去っていく者と残される者どちらにも悲しみは存在すると思う。
だがその悲しみの大きさにはちがいがある。
なぜなら、去っていく者の人生はそれでおわりだが残される者の人生はまだ続いていくからだ。
つまり残されるものはその悲しみを一生背負っていかなければならないのだ。
そして、その悲しみに打ち勝てる者などごく一部の人間しかいないのだ。
◆
【おはようっ!長瀬君】
【おはようっ!】
【ねぇ。長瀬君!アヤくんってよんでいい?】
【ありがとうっ!アヤくん】
【ありがとう】
【ありがとう】
【ありがとう】
【好きだよっ!】
【大好きですっ!つきあってください】
【これからもよろしくお願いします】
【……ごめんね…アヤくん………】
【……………アヤくん……大好きだよ…………ごめんね……】
「はぁはぁはぁはぁ、っく、くるしい」
胸を突き刺すような痛みが寝起き少年のことを襲う。寝起きから過去の事を思い出すなんて最悪だ。少年の頭の中で【アヤくん】という声が何回も繰り返される。
「ねむい。ていうか今、何時?」
ふと時計を見ると 3時26分 をさしていた。そりゃあねむくもなるわけだ。そして少年はおもだるい体をベッドから起こし、今日から始まる新しい高校生活が騒がしいものにならないようにと願い、朝ごはんをつくるためにキッチンに立つのだった。
こうして少年、長瀬綾人の高校生活が始まっていく。
次話からはもう少し書くつもりです