第2話 元狼の転生生活
どうも今回は新たなヒロイン達と主要人物(♂)を紹介します。
今回も一万字・・・自分的にはもう少し短くしたいのだが、どうしよう(´・ω・`)?
やぁ!俺の名前は、澤村 建二しがない傭兵サァ⭐依頼主の裏切りによって死んでしまった俺はなんの因果か生前ハマっていた。凌辱ゲーの鬼畜主人公の幼少期に憑依転生しちまった!!このまま原作通りに物語が進んだらヒロイン達が主人公の肉奴隷になっちまう。俺は、原作改変をすることを決意しその一歩を歩みだしたのだ!!……と、まあこんな感じで第一歩踏みしめた訳だけど危なかったわ~原作征男の通う小学校がどこに有るんだかわかんねーんだもん、初っぱなから挫折しかけたよ……。
まあ、同じ学校に通ってる理子ちゃんがいるから道に迷う心配は無いんだけどね。
「あ……あの、ゆきおさま…」
一緒に歩いていた。理子が恐る恐るだが俺に声をかけてきた。珍しいな、こっちから呼び掛けない限り基本怯えていて何も話さない理子が、向こうから声をかけてくるなんて……。
「どうしたんだい?理子ちゃん?」
理子から声をかけてきてくれて嬉しい俺は理子の呼び掛けに応じる。
「ぐ、具合……悪いんですか?いつもなら…ドンドン先に進むのに……」
「あ……あぁ、そのことか…」
原作征男は……って、いちいちめんどくさいな……今度からはオリジナルって呼ぼ。オリジナルは相手の事を考えない自己中野郎だから人と歩く時も自分のペースでズンズン先に進んで行く、それに比べ今の俺は学校に行く道順がわからないから理子ちゃんと一緒にいや、理子に比べ半歩遅く歩いている。オリジナルのペースに慣れた理子からしたら俺が体調を崩してペースが落ちたと思ってもおかしくはない。
「いつも理子ちゃんのこと考えないで先に進んでいたからさ、僕も少し反省してね。これからは理子ちゃんのペースに合わそうと決めたんだ」
「そう…ですか…」
理子は俺の話を信じてくれたようだ。勿論、これはこの場だけの嘘じゃないよ。これからは理子のペースに合わせて歩くつもりさ、他人に無防備な背中晒したくないしね。
「あ!それと理子ちゃん」
「はっ、はい!」
俺が突然声をかけたからビビりながら返事をする理子、そこまで怖がらなくても…
「心配させてごめんね、それと心配してくれてありがとう!」
俺のことを気にかけてくれたんだ、謝罪と感謝をするのは当然である。
「えっ、い、いえ…どう…いたしまして…」
まさか俺が感謝するとは思わなかったのか戸惑っているな。こうやってコツコツと暴落した俺の(というよりオリジナルのだが)株を上げなければ…。
とりあえず理子の後について行けば小学校までは確実だ。問題は、学校でどの様に過ごしていくかだ。
原作ではこの頃のオリジナルがどの様に過ごしていたか描かれていなかったが、電話帳並みに分厚い公式ガイドブックによるとこの頃から虐めを受けていたようなのだが…内容までは載っていなかった。
力業で虐めを無くすのは簡単だが、それによってどの様なバタフライエフェクトが起きるのか未知数な以上それは控えた方が賢明だ。今まで通り虐めを受けた方が無難か……。
「ちょっとブタオ!邪魔だからそのクッサイ体、退きなさい!」
この声は!?背後から誰かが近づいて来る気配には気付いていたがまさか、彼女にもう会えるとは思わなかった。
「やぁ!恋ちゃんおはよう!」
挨拶をしながら振り返るとランドセルを背負い腕を組んで仁王立ちする美少女がいた。
『東堂 恋』原作ヒロインの一人、オリジナルと理子の幼馴染みでピンク色のセミロングをツーサイドアップにしていて可愛らしい。原作ヒロインの一人だけあってつり目だが顔は美形、オリジナルと違い運動神経は良く原作ではたしか陸上部に所属していた。故に体形は健康的なスレンダータイプで機能美的な美しさを感じた。性格は勝ち気で自信家、若干プライドが高いが快活で世話焼きなため他者からは悪く思われていない寧ろ可愛い容姿が彼女の人気を上げている。理子と違い彼女は身長と年齢以外原作と変化はない、原作の彼女をそのまんま小さくした感じで保護欲を掻き立てられる。
「恋ちゃんですって?ブタオ…あんた何あたしを名前で呼んじゃってくれてるワケ?東堂さんでしょ!このクソが!……理子!?あんたこのクズになんかされなかった?」
「お、おはよう、ございます。東堂さん……い、いえ特には…」
おおぉ!恋の罵倒を生で聞けるとは思わなかった。彼女は基本オリジナルのことが嫌い…いや、厳しいと言った方がいいか…幼稚園までは罵倒されることはなく寧ろ世話焼きで親がなかなか帰ってこないオリジナルのために矢鱈と構って来たのだが、両親があまり帰ってこないのを良いことに自堕落になり、虐められると理子ちゃんに八つ当たり気味に接する。性格の歪み出したオリジナルを嫌悪し今のような罵倒に繋がっている。ブタオも彼女がオリジナルに対する嫌悪感が生み出し名付けたあだ名で虐めっ子達も気に入り原作でもオリジナルはこの蔑称でバカにされていた。
「ごめんごめん、次からは気を付けるよ。恋ちゃん」
「だから恋ちゃんって呼ぶなブタオ!」
恋がなにやら騒いでるようだがとりあえずそっとしておこう。オリジナルには理子、恋、と後二人幼馴染みがいるのだが、恋ちゃんが出てきたからにはそろそろ出てきても……おっ、噂をすれば来たか
「れんちゃーん!ハァ…ハァ…は、早すぎるよぉ……」
「そうだぞ恋、愛が死にそうじゃないか」
現れたのは恋を追って走って来たのか息切れしているこれまた可愛いらしい少女とその少女を心配している容姿の優れた少年だった。
「愛…あんた、これくらいでへばるなんてもう少し運動しなさい。出ないとそこのブタオみたいになるわよ」
「もう!れんちゃん!!ブタオじゃなくてゆきおくんでしょ!あ、ゆきおくん!りこちゃん!おはよー」
恋が俺の蔑称を咎めつつ、俺と理子に元気良く挨拶したのは、『西寺 愛』オリジナルの幼馴染みうちの一人であり原作ヒロインの一人だ。
水色の髪を恋と同じくツーサイドアップにしているが彼女の場合は髪が腰まで届くロングである。恋とは違い目は垂れ目で優しそうな印象を与える。実際性格も優しくブタオと蔑まされるオリジナルを初め誰とでも分け隔てなく接するため人気は高い、体形は今はまだ発展途上だが原作では俗に言うボン・キュ・ボンと男の理想の塊である。反面、運動はからっきし駄目で今みたいにすぐ息切れを起こす。だが成績は優秀で高校も次席入学を果たしている。美形という共通点以外全てに置いて恋とは真逆なのだが何故か馬が合うようで原作でも仲の良い描写が見受けられた。
「恋は、相変わらずだな。お、理子に…征男じゃないか、おはよう」
そして愛を心配していた少年もこちらに挨拶をしてきた。改めて見ると童顔だが、整った顔立ちの少年だ。将来は、モテモテのイケメンになるに違いない(ケッ!)。
彼の名前は、『善野 服男』オリジナル唯一の男の幼馴染みだ。見た目デブ、運動オンチ、勉強も壊滅的な征男と違い見た目イケメン、運動神経抜群、勉強も原作では首席で高校に入学したハイスペックな男だ。ちなみに原作開始時には、恋と愛に想いを寄せられるが唯一の欠点唐変木によって本人は気付いていない(どこぞのラノベの主人公か?)。
「おはよう!愛ちゃん、服男くん」
「お、おはようございます。西寺さん、善野くん」
「うん!おはよー」
「ッ!?ああ、おはよう」
俺が挨拶を返すと愛は嬉しそうに服男は心底驚いていた。まあ、この頃のオリジナルは、挨拶すら返せないようなヘタレだったから、驚かれても仕方ないかもしれないが……服男お前驚き過ぎ
「あんたが挨拶を返すなんてね……なんか企んでるじゃないの?」
はい、原作改変を企んでます!
「ハハハ、そんなことしないさ、サァモタモタしてたら遅刻するから理子ちゃん僕達は先に行こうか!」
「は、はい!」
恋は、勉強は出来ないけど勘は鋭いから油断出来ない余計な詮索をされないように先を急ごう。
「ちょっと!待ちなさいよ!あたしの話はまだ終わってないn……止まれって言ってんでしょ!このバカブタオ!!」
やけに後ろが騒がしいがそっとしておこう。
文句を言いながら恋が追ってくると思っていたが、へばっている愛がいるため恋は追って来ず俺は無事に学校に着いた。
「そ、それでは、ゆきおさま…わ、わたしはクラスが違うので…」
「うん、またね!」
俺と理子は、クラスが違うので理子とは暫しのお別れだ。4年1組に向かう理子に手を振った。
「やっと追い付いたわよ。デブオ!」
「あれ?恋ちゃん意外と早いかったね?」
振り返ると恋が両手を腰に宛て怒ってますと言いたげな表情をしていた。
「ああ、それはね。愛を服男に任せてきたのよ……って話を反らすな!」
「まあまあ、それより一緒にクラスに行こうよ」
「だから話を反らすな!」
騒ぐ恋を無視して俺は自分の所属する4年3組の扉を開けた。
騒ぎ動き回るヤンチャな男子、隅に集まりお喋りに興じる女子と教室内は喧騒に包まれていた。小学校は前世も現世変わらないようで懐かしさを感じた。
おっと、感傷に浸ってる場合ではないな。自分のクラスは名札に書いてあったから解ったものの、自分の机がどこにあるのかは、流石に解らない。どうしたものか……。
「教室の前にちんたら立ってないでさっさと退きなさいよブタオ!」
考え事をしていたら後ろにいる愛が文句を言ってきたのでさっさと入口を開ける。
「たく、なんでこんなウスノロがあたしの隣なのよ。早く席替えしたいわ」
お!ラッキーこれで自分の席が解る。
恋の後を追うため教室内に入るとクラスメイトからの視線に晒された。嘲笑、侮蔑、嫌悪と負の視線だけで好意的なものはひとつもない。
恋の席は教室の奥、つまり窓側だったので俺は恋の右側の席に座る。
「…ん?」
机に違和感を感じたので中を調べると中からゴミが大量に出てきた。
「アハハハ!」
「プッ、ククク!」
「クックックッ」
下手人はあいつらか…こっちを見て笑っていたのは3人、小学生にしては体格の良いガキ大将、その腰巾着と思われるチビ、優等生風だが性格の悪そうなメガネ、3人組はイタズラが成功したガキのように笑っていた。
「こりゃ、前途多難だな」
ゴミを片付けながら溢した独り言は教室の喧騒に掻き消された。
その後、愛や服男そして担任の先生もやって来てホームルームを済ませ授業が始まった。
一時間目、国語
小学校の授業は前世で一度経験しているので簡単だった。ただ問題があるとすれば後ろの席が例の3人組のひとりのチビなんだが矢鱈と俺に消しゴムのカスを飛ばしてくる。
ウザい……後ろを振り替えればあのチビが真面目そうにノートを録っているがニヤつく顔がそれがフェイクだとすぐに解った。
「やめてくれないかな?」
ダメもとだが止めるようにチビに呼び掛ける。
「へぇ?なんのことwww?それよりダメじゃないかブタオ!授業は真面目に聞かないとwww」
ニヤついた顔で何も知らないとほざくチビ、だろうと思ったよ。
「ああそうか、消しカス投げるくらいしか脳がない君に何を言っても無駄か」
「あ?」
俺の皮肉が癪に触ったようだが俺は無視して黒板に向き直る。投げつけてくる消しカスの量が増えたが無視して一時間目の授業を終えた(やはり消しカスを投げることしか出来ない低脳だったか)。
二時間目、算数
算数も国語と同様に簡単だった。
「東堂さん、この問題を解いてください。」
担任が問題の解答者に指名したのは、俺の隣に座る恋だった。
「え?は、はい!」
恋は慌てて立ち上がったがなかなか答えを言おうとしない……ああ、そういえば彼女、運動は出来るが勉強はからっきしだったな(特に算数・数学は天敵)。
「東堂さん?解りませんか?」
「い、いえ……こ、答えは……」
フム、分数の計算問題か、黒板に書かれた問題は小4に出す問題としては簡単な部類だが勉強が苦手な彼女からしたらかなりの難問だろう。どれ助け船でも出しますか。
「4分の3…」
「え?」
「答えは4分の3だよ恋ちゃん」
助け船と言っても俺に対する印象を少しでも良くしようという打算目的だがな。
「……よ、4分の3…です」
「東堂さん、正解です」
問題を答えられた恋は、ほっとしながら席に着くが……。
「まさか、ブタオに助けられるとはね……屈辱だわ!」
折角助けたのにこの台詞である。う~ん堪りませんな。(Mではない)
「……でも、その……助かった。か、感謝するわ!」
こ、これはツンデレ!?原作でも罵詈雑言しか吐かなかった恋がまさかこんなことをするとは、転生してよかっt……。
ゾクッ…
俺の斜め前から嫌な視線と気配を感じた。殺気や敵意の類いではないが、見張られているような不快感を覚えるような視線に背筋がざわつく、視線の大元を探ろうと斜め前を見るがそこには真面目に授業を受けている愛や服男、授業を真面目に受けていないガキ大将がいるだけだった。
「……気のせいか?」
釈然としないまま算数の授業は終わった。
三時間目、体育
国語、算数は問題なかったが体育は鬼門だった。
体育は運動場で行われた。内容は準備体操、300メートルある運動場3周分走った後サッカーをする予定だったのだが……。
「ハァ…ハァ…き、キツい……」
俺はオリジナルの脆弱さを甘く見ていた。まさか運動場3周したくらいでここまで息切れするとは、思わなかった。
「ブタオダセーなwww」
「ブタオくんと同じチームの人は可哀想だ。だって選手じゃなくてお荷物がチームに入るんだからねw」
「ブタオだけにブタみたいな走りだったね!」
「「「アハハハハハハ」」」
ガキ大将、メガネ、チビの順にバカにされた。腹が立つが本当の為何も言えないし、そもそも息切れのせいで言い返す元気がない。
それにしてもこの体は貧弱過ぎる。オリジナルが運動を疎かにしていたことを嫌と言うほど思い知った。
ああ、前世の鍛え上げた体が恋しいなぁ。
「ヒィ……ヒィ……ヒィ……し、死ぬ……」
体育が終わる頃には一匹の豚がへばっていた。無論、俺のことだ。
サッカーで俺は一度もボールを取ることが出来ずにボールを追っかける味方チームメイトを追っかけるだけで手一杯だった。
運動場でへばっている俺に愛や服男が駆け寄る。体操着姿の愛も可愛らしいがゆっくり見ている余裕はない。
「ゆきおくん大丈夫?」
おお、心配してくれる愛が天使に見える。
「だ、大丈夫…だよ」
「征男、普段から運動しないからそうなるんだ」
服男よ、疲れきってる俺にそれは止めてくれ~。
「て、手厳しいな……ヒィ…ヒィ…」
愛と服男が他のクラスメイトと話すために俺のもとから離れた頃には俺も大分落ち着いてきた。
「ヒィ…ヒィ…と、とりあえず……教室…戻ろ」
節々から悲鳴を上げる体を引きずりながら俺はトボトボと歩いた。原作開始前にダイエットを兼ねてこの体を鍛えないと……てか先に風呂に入りたい、もう只でさえ臭いのに体育で汗かいたからより一層臭くて精神的にもキツい。原作開始前にこの体臭もなんとかせねば…。
「ザマァないわね!ブタオ!!」
甲高い声が聞こえたと思えば、恋が不敵な笑みを浮かべて腕を組んで仁王立ちしていた。それは君の決めポーズなのか?
「れ、恋ちゃんか……お、お疲れ……」
駄目だ、疲れで最低限の言葉しか喋れない。
「珍しく仮病使ってサボらないと思ったら、案の定へばってるじゃない。体を動かさないからそうなるのよ!自業自得ね!」
その台詞は俺がオリジナルに憑依する前に言って欲しかったな。まあ、オリジナルは仮病で体育をサボるから無理なんだけどさぁ…。
「でも……」
ん?雰囲気変わったな。それに恋の顔が赤いのだが……。
「最後まで諦めないでボール追っかけたガッツだけは、認めてあげるわ感謝しなさいブタオ!」
恋は恥ずかしいのか顔を背けた。まさか、恋のツンデレをその日のうちに2度見れるなんて……え?俺死ぬの?体育疲れで死ぬの?転生一日目で死ぬの?
「……ってあんた!あたしが折角褒めてあげてるんだからなんか言いなさいよっ!!」
「え?あ、ごめん!まさか、恋ちゃんに褒められるとは思わなかったから……ありがとう嬉しかったよ!」
恋に褒められるとは思わなかったから呆然としてしまった。それにしてもオリジナルに厳しい恋が……。
「フンッ!あたしだって褒める時は褒めるわよ。例えブタオ…あんたでもね!」
なるほど努力に見合った評価はキチンとするのか……恋が原作のオリジナルに厳しいのは当然なのかもしれない、あいつは努力のどの字もしない奴だからな。
「ハハハ、僕、この調子で頑張るy……ッ!?」
ゾクッ―――
まただ!あの嫌な視線を背後から感じ俺の背筋に寒気が走った。こんなぶしつけな視線を向けるのはどこのどいつか確かめようと後ろを振り返るもいるのはクラスメイトと話し込んでいる愛と服男や他のクラスメイトをからかうあの3人組、教室に向かおうとするクラスメイトばかりで確かめようがなかった。
「ちょ……ちょっとブタオ!またあたしを無視するなんてどういうつもりよ!」
「あ、ごめんごめん!何でもないよ」
また不機嫌になった恋の機嫌を直そうとしているうちに視線のことは忘れていた。
四時間目、理科
国語、算数同様に理科も楽勝だった。もうこの頃になると真面目に授業するフリすら面倒になり、だらけた状態で今後の予定を考えていた。
だがそれがいけなかったようで……
「先生!ブt――ごほん、征男君が授業をサボっています!」
密告者はあのメガネだった。おかしいな?俺とメガネとの席の距離が離れてるから俺がサボっててもわかない筈なんだが……?
「征男君、君はどうやら私の授業を受ける必要がないほど自信があるようですね。では、絶対零度は何度を示すのか答えてください」
担任の発言とメガネが一瞬見せた悪どい笑みを見て俺はハメられたのだとようやく気付いた。
国語、算数の授業を受けて解ったことなのだが、うちのクラスの担任は授業を真面目に聞いていない生徒がいるとその生徒に聞いていなかった箇所に関する問題を出す。当然のことながら真面目に聞いていなかった生徒が答えられる訳もなく皆の前で赤っ恥をかく訳で……つまりうちの担任は不真面目な生徒を見せしめにし他の生徒が真面目に授業を受けるように仕向けたのである。
あのメガネはそんな担任の性質を利用し、真面目に授業を受けていない俺を密告、担任の問題を答えられない俺はクラスの笑い者にされるように仕組んだのだ。
ノートを見る限りオリジナルは授業を真面目に受けていないのであのメガネの悪巧みは成功と言える。
オリジナルのままであればだがな……
「マイナス273.15℃です」
一度小学生を経験した俺からしたらこの程度の問題楽勝である。
「せ、正解です」
まさか、俺が答えを言うとは思わなかった担任は一瞬だけ驚いたがすぐに持ち直し正解であることを認めた。
「あのブタオが正解したなんて…」
「ま、まさか、まぐれだろ?」
「おいおいおい、明日は雨でも降るのか?」
教室がざわつき、驚きの声があがる。この様子だとオリジナルは毎回問題に答えられなかったようだ。
「クッ……」
ふと見れば俺を密告したあのメガネが苦虫を噛み潰したような顔をしていた。思惑通りにいかなくて悔しそうだ、ザマァみろ!
昼食
四時間目が終わったら昼食だ。体が子供になったせいなのか腹が減ってしょうがない。この学校の給食は生徒がトレーを持って列を作り当番がトレーに給食をよそるシステムだ。
列に並び給食を受け取った俺は自分の席に戻ろうとトレーを持ちながら移動していた。
「チンタラ歩いてんじゃねーよ!邪魔だどけよ、ブタオ!」
後ろから不穏な気配を感じたと思えばガキ大将が俺を肩で突き飛ばしてきた。オリジナルいや、普通の小学生でもあんな体格の奴に突き飛ばされたらバランスを崩すのは当然で、しかもトレーで両手が塞がっているから机などに手を着くことが出来ずに転倒するのは確実である。
「へぇ?―――」
しかし前もって突き飛ばしを予想できていれば話は別だ。ガキ大将の肩が接触した瞬間、俺は相手の力に逆らうことなくその力を受け流したのだ。端から見たらガキ大将に突き飛ばされて俺が体を半回転させたようにしか見えないだろう。
「うぉっ!?」
ガッシャーン
俺に受け流されて逆にバランスを崩したガキ大将はトレーで手が塞がっていることもありそのまま転倒した。
「あらら……」
トレーごと転倒したガキ大将はそれはそれは、無様だった。
「熱いぃぃ!!」
転んだ拍子に本日の献立であるシチューを顔面から浴びた。大分冷めたとはいえ、温かいシチューを成長途上の子供の肌で浴びたのだガキ大将は悲鳴を上げながら転げ回った。
「た、大変だ!?毅くんが!!」
「先生を呼ばなきゃ!先生!先生!」
ガキ大将と一緒にいたチビとメガネがガキ大将に駆け寄る。つーか毅っていうんだなガキ大将。にしてもチビやメガネ以外の生徒は驚いてはいるが毅を助けようとしないな、てか何人か笑ってる奴いるし……
俺以外にもちょっかいかけてたから良い印象は持たれなかったんだろうな。(ザマァ)
「おい!ブタオ!毅くんになんてことをしてくれたんだ!?」
「は?」
このチビ何言ってんの?
「そうだよ!毅君を突き飛ばしてシチューを顔にかけるなんてあんまりだよ!」
なんか謂れのない罪を被せられたんだが……つーかお前ら俺を責める前に毅助けろよ。いまだに床の上を転がってるぞ。
「先生に言い付けるからな!」
先生に言い付けるって、小学生かよ。てかこいつら小学生だったな。
それにしてもこのままだったら不味いなホントに俺のせいにされそうだ。クラスのマドンナで仲裁してくれそうな愛はさっきトイレに行ったし、クラスのリーダーである。服男は担任に呼ばれて不在だし、他の生徒は毅のに良い感情は無さそうだがブタオたる俺の味方をしてくれそうにないし……どうしたものか、
「黙ってないでなんか言e――「うっさいわねお昼ご飯の時くらい、静かにしなさいよ」げっ、東堂……」
騒ぐ二人を実力行使で黙らせようかと、考えていたら救世主が現れた。恋だ。
「ブタオにちょっかいかけようとしてマヌケな佐藤が転けただけじゃない、それをあんたらがああだこうだ騒いで……ダッサ!」
「……クッ」
「チッ」
恋の発言に反論出来ないメガネとチビ、周りも恋の発言に納得している。
「佐藤、あんたいつまでそんなショッボイ演技してんのよ。バカみたいよ」
恋が転げ回る佐藤こと毅に冷たく言い放つ、すると騒いでた毅がピタッと止まり鋭い目付きで恋を睨みながら起き上がった。
「………覚えてろ東堂」
「フン!」
捨て台詞を吐きながら去った毅、関心のない恋はトレーを机に置いて席に着いた。まさか、毅のあれが演技とは思わなかった。そこまで知恵が回ると思わなかったから演技の可能性を最初から否定していたのだが……不覚だ。
「ありがとう恋ちゃん」
「れ、礼は要らないわ、あいつらがうっさかったから苛ついただけだし……」
そういうと恋はまた顔を逸らしてしまった。
「でも恋ちゃんのお陰で助かったからさ…やっぱりお礼はいわせてよ」
恋が助けてくれなかったら俺の転生生活は一日目でぶち壊しになっていたかもしれないのだ(病院送り的な意味で)やはり礼のひとつは言わないと。
「要らないって言ってんのに……調子狂うわね」
その後担任が来たが毅の件はふざけて転んだということで話は済んだのだった。
5時間目、社会
この学校での社会とは歴史・地理・公民をまとめたもので日ごとに科目を入れ換えて授業を行っていた。
今回は、歴史なのだが……体育以上に鬼門だった。
『8月9日終戦』『特殊自衛隊』『死刑制度廃止』
「俺の知ってる歴史と違う件について」
「ブタオ何言ってんのよ?」
小声で恋が聞いてきたがそれどころではない。
先程のパワーワードの数々が改めて俺がゲームの世界に転生したのだと実感させる。
確かにあれらの単語は現実日本の歴史には記されていないものだが、『悪夢の学園』を初めとするユートピアが製作する作品群をプレイしていれば聞きなれたものもある。ユートピアの製作するゲームにはゲーム本編では少ししか触れないような世界観設定を無駄に細かく描くという特徴がある。
何故そこまで設定を無駄に作るのかは諸説あるが製作スタッフの中に設定厨がいるというのがファンの見解だ。
生憎前世ではその世界観設定に興味がなかったので深い内容は知らないが、学校の授業受けていけば覚えるだろう。
社会だけは真面目に授業受けようと俺は心の中で決意した。
「それでは今日はここまで、気を付けて帰ってください。さようなら」
「「「「「先生、さようなら!」」」」」
今日の授業が終わった。小学生のフリをするのも中々疲れる。
ああ、葉巻吸いたい……後10年待たなきゃいけないなんて拷問かよ。
「学校が終わったらさっさと帰るあんたが珍しいわね」
「そうかな?」
俺は今4年1組の教室の前にいる。理子と一緒に帰るために彼女が来るのを待っているのだが……恋の発言的にオリジナルは待たずにさっさと帰ってたようだ。
「理子が来るのを待ってるワケ?」
「そうだね」
今日一日を振り替えってみると恋がかなり話しかけてきて驚いたな原作だと『汚い』『臭い』『キモい』と一方的に罵倒されるだけで話しかけてくることはなかったのだが……。
「ゆ、ゆきおさま…どうして」
理子が驚きながらこちらに来た。恋の発言通りなら先に帰ってると思った俺が、自分の教室の前で待っていたのだ驚くのも無理はない。
「いつも勝手に帰っちゃってたからさ、たまには一緒に帰ろうと思ってね……もしかして嫌だった?」
俺としては理子と居る時間を増やして関係を修復したいのだが……ダメなのだろか?
「い、いえ…そういう訳では」
幸い驚いてはいるようだが嫌ではなさそうだ。
「そっか、なら帰ろっk――「れんちゃーん!一緒に帰ろっ♪」」
可愛らしい声とともに水色のツーサイドアップが恋に抱きつく――
「愛!?ちょっと解ったから抱きつかないでよ!暑苦しい!」
「エヘヘ♪あ、りこちゃんにゆきおくんだー!二人も一緒に帰ろっ♪」
愛は恋に抱きついて嬉しそうに頬擦りをしていた愛に抱きつかれて恋は嫌そうな口ぶりだが、無理矢理振りほどこうとしない辺り恋も満更ではないのだろう。百合百合しいのは良いことだ。
「ちょ!?愛!あんた、こんな臭くてグズで最低なブタオと帰るだなんて正気なの?」
恋は辛辣だ、精神年齢37歳のおっさんでもこれは堪えるわ~
「もう!れんちゃんブタオくんじゃなくてゆきおくんでしょ!それにいつも先に帰ってるゆきおくんが今ここに居るんだよなら久しぶりに一緒に帰ろうよー」
愛はオリジナルに普通に接してくれる数少ない女友達であるということは前世から知っていたが、いざ彼女の優しさを目の当たりにすると彼女が聖人のように感じた。
「僕も久しぶりに愛ちゃん達と帰れて嬉しいよ」
こんな可愛い美少女達と帰れるなんておじさんからしたらご褒美です。
「やったー!りこちゃんとゆきおくんと一緒に帰れる♪……れんちゃんは嫌?」
俺達と帰れると知って喜んでた愛だったが恋が乗り気じゃなかったことを思い出し、不安そうに自身が抱きついてる恋を見た。
「ハァ~仕方ないわね。ブt――じゃなかった。征男が理子や愛に変なことしないように見張らないといけないから、嫌だけどあたしも一緒に帰るわよ」
恋が溜め息混じりに了承する。てか、俺ってそこまで信用ないのか?いやこの場合オリジナルの信用がないのか……
「ありがとー!れんちゃん!」
嬉しさのあまり愛は抱きついてる恋を更に強く抱きしめた。
「だから離れなさいって言ってるでしょうが!」
「騒がしいなって、恋達かよ」
ギャーギャー騒いでる俺達に服男が現れた。これで幼馴染み全員が揃ったことになる。
「あ!ふくおくんだ!れんちゃんとりこちゃんとゆきおくん、一緒に帰るんだけどふくおくんも一緒に帰ろっ!」
「お、おう!解った一緒に帰ろうぜ……理子は兎も角征男が一緒になんて珍しいな」
愛の発言に驚いていたが了承した服男、そこまで驚くことなのだろうか?
夕焼けに染まる住宅街を五人の少年少女が自宅への帰路を歩む。
「皆と一緒に帰るの久しぶり過ぎて楽しいな♪」
幼馴染み全員が久しぶりに揃って帰ることを心底喜ぶ愛
「フン!ブタオあんた臭いからこっち来ないでよ!理子もそんな奴ほっといてこっち来なさい何されるかわからないわよ」
理子を俺から引き離し警戒する恋
「は、はい……」
そんな恋に連れられて困惑ぎみの理子
「………」
今だに俺が一緒に帰ることが信じられないのか終始無言の服男
「ハァ~」
そんな微妙な雰囲気に溜め息を溢してしまう俺
愛の嬉しそうな顔を見れたのはよかったが、他の3人の空気が違いすぎて少々気まずい。
「――ん?どうしたの?ゆきおくん?」
この重い空気が理解できてない若干天然が入っている愛が不思議そうに俺を見た。
「うん?いやね、こーやって5人で帰るのが懐かしく感じてさ」
折角嬉しそうにしてる愛の気分を害したくなかったので適当なことを言って誤魔化す。
「ホントそうだよ!ゆきおくんたら最近いつも先に帰っちゃうし遊びに誘っても無視するし……愛、寂しかっただからね」
「うっ……」
ヤバイ、一瞬クラッとした。寂しかったの後の涙目上目使いは卑怯だって、しかも自覚なしでやってるから余計に質が悪い……ってそれどころじゃね!
「「「……」」」
恋達の視線が痛いヤベーよ、特に恋は『愛泣かすんじゃねーよ!あぁん?』って感じでガン飛ばしてくるし、早くなんとかせねば……。
「その…ごめんなさい」
俺は愛に頭を下げた。俺に非があるんだ(ホントはオリジナルの責任だが)謝るのが筋だ。
「グスッ……良いよ……だけど今度からは一緒に帰って遊びに誘っても無視しないでね?」
「うん約束する」
よかった許して貰えた。しかも一緒に遊ぶおまけ付きだ。後ろの3人の視線も落ち着いたし、とりあえず穏便に済んでよかった。
転生初日色々あったが俺、澤村 健二改め悪原 征男は無事今日一日を終えるのだった。
主人公が転生した世界の世界観の説明は本編で追々説明していきます。
早く主人公を成長させたい・・・(切実)




