第16話 美少女三人とデート
お待たせしました今回のデート回は難産でした(恋愛描写を文章にするのは初めてでしたので(^_^;))。
稚拙なデート描写になると思いますが、ご容赦くださいm(__)m
8月になった。堕悪苦寝棲を壊滅させてからもう1週間になるが世間はまだ堕悪苦寝棲のヘッド、林 孝が死んだことに気付いていない別に俺が孝を初めとする残党の死体を隠した訳ではないただ、あのまま放置しただけだ。しかしあの場所は廃村なので今だに孝達の死体が発見されていないのだ(M-10を撃って銃声が響いたが穂先と秋穂では距離があるので銃声は聞こえなかったようだ)。
まあ、壊滅した堕悪苦寝棲のことはどうでもいい今日は堕悪苦寝棲を滅ぼすのに潰してしまった夏休み前半分まで今日は楽しむつもりだ。
「皆、刈穂に着いたぞ」
「ユキオちゃん、リコちゃん、カオルちゃん、ルミちゃん忘れ物は無いようにねぇ〜」
運転席にいる父さんと助手席に母さんから声が掛けられる今俺達は父さんのセレナの車内にいる。
「父さん母さんここまで送ってくれてありがとう」
俺は刈穂まで車で送ってくれた両親にお礼を言う。
「おば様、おじ様ありがとうございます」
「おじさん!おばさん!ありがとー!!」
「お義父様、お義母様わざわざありがとうございます」
俺に続いて理子、薫、留美が三者三様のお礼を俺の両親にした(てか留美さんやお義父様お義母様はやめれ、外堀埋められてる気がする)。
「気にすることはないぞ、征男とそのガールフレンドの頼みならこれくらいなんてことないさ」
「そうよ、リコちゃん、カオルちゃん、ルミちゃん、ユキオちゃんとのデート楽しんでらっしゃい」
デート――――そう俺は理子、薫、留美の三人と今日はデートを楽しむつもりなのだ。思えば夏休み前半は堕悪苦寝棲を潰すために行動していたので彼女達に構ってあげられなかったのだ(幸い彼女達は学と一彦がケガをしたせいで俺が落ち込んでいると思ったらしくほったらかし状態だというのに不満に思う処か同情的だった)。だから罪滅ぼしも兼ねて彼女達をデートに誘ったのだ。え?デートは普通男女が一対一でするもんだろだって?バカ野郎!前世含めて彼女いない歴=精神年齢の俺がいきなり、おんにゃの子と二人っきりでデートなんて出来る訳ねぇだろ!(逆ギレ)幸い彼女達から反対意見は出なかった(彼女達もいきなり俺と二人っきりになる心の準備は出来ていなかったらしい)ので四人でデートすることになった。
デート場所は俺の一存で決めていいと三人にお任せされてしまった(前世含めてデートしたことない俺にそのお任せはキツイ……)ので刈穂町ですることにした。秋穂は良くも悪くも田舎なのでデートする場所に相応しくなかったからだ(失礼)。その点刈穂はゲーセンや映画館、カフェ等といった商業施設があるのでデートするには持ってこいだった。しかし刈穂に行くには、いなほ道から行くしかなく秋穂から刈穂まで自転車で一時間も掛かるのだ。一時間も彼女達に自転車を漕がせる訳にはいかず途方に暮れていた所、その日両手が珍しく二人揃って休みだったので車で刈穂まで送って貰ったのである。
「午後6時にまたここで集合でいいな?」
「わかったよ、父さん」
セレナから降りた俺は運転席の窓から顔を出す父さんと帰りの待ち合わせの約束をする。
「それじゃあ、父さんは久しぶりに母さんとデートするから「あらあら、マサオさんたら……」まあ、そういうことだからまたな!」
俺達を降ろした両親の乗ったセレナは町の中を走り去っていった………あの〜父さん母さんそっちはラブホ街だよ?そういうことなの?
「と、とりあえず行きましょうか?」
「かしこまりました征男様」
「賛成!征男いこっ!」
「ふふふ、二人とも征男君とデートだからってはしゃいでる……まあ、私も二人のこと言えないけどね♪」
幸い三人とも俺の両親がラブホ街に行ったのは気付いていない悟られる前に誤魔化そう……俺達が最初に来たのは映画館デートの定番である。今年は様々な大作が上映されているのでどの作品を選んでも外れは無い筈だ。
「映画選びは皆さんにお任せしますよ」
流石に皆で見る映画を独断で決める度胸は無いので三人に任せた。この世界不思議なことに前世で存在した映画もあれば存在していなかった映画もある(俺がその映画の存在を知らないこともあるかもしれんが映画オタクでもある俺が知らない映画があるなんて失態を犯す筈はない)。映画に出ている役者もそうだ知ってる役者もいるが知らない役者もいる知らない役者の大体が前世にいた役者のパチもんみたいな奴なのだがパチ元の本人はこの世界には存在していなかった。
「う〜ん、どれにしょう?」
映画をあまり見ない薫は上映案内を見て迷っている。
「無難に恋愛映画にしてみる?」
デートで見る映画定番の恋愛物をチョイスする。
「それでしたらこちらはどうでしょうか?待ち時間も少ないですし、席も空いてますので」
上映案内を見ていた理子がオススメの映画を提示する。
「それ、7月初期から上映してる海外の恋愛大作だよ!有名な女優さんや俳優さんが出てて凄く人気だから良いと思うよ」
「私、映画よくわかんないから二人に任せるよ!」
理子の進めた映画に賛同する留美と薫(薫は賛成というよりお任せだったが)フム、あらすじを見る限り現代版ロミオとジュリエットのようだ(この世界にもロミオとジュリエットの物語は存在している)。この作品は前世には無かったな……これなら俺も新鮮な気分で見れそうだ。
「なら決まりですね。チケットと飲み物を買って来ますので待っててください」
こうして見る映画は決まった。
上映10分前――――
「ムシャムシャ……早く始まらないかなっ!」
飲み物と一緒に買ったポップコーンをパクつく薫が俺の右隣に
「CMでかなり宣伝されてたから楽しみだね」
映画を楽しみにしている。留美が俺の左隣にそして―――
「ええ楽しみですですね………どうして私はパーを出してしまったのでしょう……」
俺の後ろの席に小声で落ち込む理子がいる。この席順は彼女達がじゃんけん問い詰め真剣勝負の結果である(勝者はチョキで勝利を収めた薫と留美)。
「14世紀イタリアが舞台の物語を現代のアメリカに変更するとは斬新ですね。私も興味があります」
おっと、そろそろ上映するらしい黙って観てみよう。
上映スタート―――――
「チュー……あ、始まった」
ポップコーンを食べ終わりコーラをストローで吸う薫
「ほう、敵対するマフィアのボスの息子と娘がロミオとジュリエット役ですか、アクションシーンもありそうですね」
「征男君アクション映画とか好き?この作品、主演の俳優さんがアクションシーン撮る為にスタントで体張ったらしいからかなり期待出来るよ」
「……なるほどそれは楽しみです」
前からこの映画に興味のあった。留美が俺の耳元で補足説明を囁く……態とやっているのか?こっちはポーカーフェイスだけど内心スゲー、ドキドキしてるんすけど!?
「ううっ、グーを出せばよかったです……」
後ろから俺達が見える理子が悔しそうだ……じゃんけんの結果とは言え後で埋め合わせをしないと
物語中盤―――――
「Zzz………」
途中から映画に飽きてしまった薫は俺に寄りかかって寝てしまった。まあ、寝ていた方が正解なのかもしれない何故なら……。
『ロミオ……』
『ジュリエット……』
「oh……」
現在ロミオとジュリエットはアメリカ映画でお馴染みの濃密なベッドシーンを展開していた。流石に年齢規制のない作品なので過激な描写はないが……気まずい、世のカップル諸君はこういう場面はどうやって乗り切るのだろうか……。
「ゴクリッ…………」
ふと、左隣を見れば顔を真っ赤にした留美がベッドシーンが映っているスクリーンを食い入るように眺めている。何故か俺の左を握り締めてだ。これはどう解釈すればいいんだ!?
「はわわわ………」
一方後ろにいる理子は両手で目を塞ぎスクリーンを観ないようにしているが指と指の間に隙間を空けて覗き見しているので意味がなかった。
物語ラスト―――――
ロミオが死に後を追うようにしてジュリエットも命を絶った。現代風にはしているが話の大まかな流れは原作通りだったな。
「えへへっ、征男〜……むにゃむにゃ」
あの後起きることがなかった薫は今では俺の右腕に抱き着いて幸せそうに寝ている。寝言で俺の名前が出たがどんな夢を見ているのだろう?
「ひぐっ……ぐすっ………」
一方映画を最期まで観た留美は感動したのか涙を流している。ハンカチを左手で取り出し涙を拭いているが右手は相も変わらず俺の左手を握り続けていた。
「素晴らしい……映画でした」
後ろの席に座る理子も目元を拭いながら映画を絶賛している。確かに役者の演技、脚本は素晴らしく原作の貴族設定からマフィアに変更しただけはありアクションシーンも合ったので俺も満足出来たが我が儘を言えば設定を色々変えているのだからラストもハッピーエンドで終わって欲しかったというのが本音だ。俺はハッピーエンド主義者で悲劇物は嫌いだ。悲劇物の方が観た者に余韻を残せるのは解るのだが、やはり現実がハッピーエンドで終わることが稀な以上せめて物語だけはハッピーエンドで終わって欲しいのだ……。
まあ、俺の我が儘はともかく、寝ている薫以外映画には満足した(薫は別の意味で満足しているようだが)ようなので俺はとりあえず一安心した。
エンドロールが流れ映画は終わった。
映画が終わり、映画館から出ると正午を過ぎていたので腹ごなしをしようと洒落たイタリアンレストランに行こうとしたら三人に止められた。見た感じ高そうな店だから不安になったのかと思い安心させようと『お代は私が払うので大丈夫ですよ』と言ったら余計に止められた……解せぬ。仕方ないのでファミレスで昼を済ませることになった。
「映画よかったですね」
「うんうん!私、感動して泣いちゃった」
二人して映画の内容に盛り上がる理子と薫、一方―――
「うぅ〜上映中ずっと寝てた……うわ〜損したぁ〜」
そう言ってファミレスのテーブルに突っ伏す薫、上映中ずっと俺の肩を枕にして寝ていたので映画の内容は全く頭に入っていないのだ。
「あはは……薫ちゃんずっと征男君の隣で寝てたもんね」
「私的には征男様の肩枕で眠れる薫さんが羨ましいです」
突っ伏す薫を見て苦笑する留美と珍しく羨ましがる理子だがこれが薫に止めを差したようで……。
「うがぁ〜〜征男の隣に居たのに寝てたとか、やっぱり損じゃん!」
涙目になりながら再度突っ伏す薫、まあ、俺も薫が映画に興味が無いということを知らないで映画館に連れて行ったのでこれは俺の落ち度だな。今度からは皆の好みを把握しないとな。
「薫さん、そう落ち込まないでデートまだこれからですから」
俺は薫の背に手を添えフォローを入れる、そうまだデートは始まったばかりだ。
「征男……うん、そうだよね!デートはこれからだもんね!」
どうやら俺のフォローが効いたのか落ち込んでいた薫の表情に笑顔が戻りそのまま今まで落ち込んで手を着けていなかったステーキを頬張った。
「うん!旨い!!」
「もう、薫ちゃん口にソース付いてるよ」
「ふふふ、薫さん紙フキンです」
「えへへっ、ありがとー♪」
薫の口元に付いたステーキのソースを拭く留美と理子……うん、実に良い光景だ。俺はホットコーヒーを飲みながらその微笑ましい光景を目に焼き付ける。さて、次はどこに行こうか?
「すっごーい!色んな物が並んでる!」
「露店市なんて初めて来ました…凄く楽しみです」
好奇心旺盛な薫と露店市を見たことがない理子が市場を見て目を輝かす。
「月に一回露店市場が開かれるって聞いていたことはあったけど……征男君それが今日だって知ってたの?」
色んな露店を先行して見て回る二人を微笑みながら見ていた留美が俺に尋ねた。
「ええ、ネットで調べたら大々的に宣伝されてましてね。私も珍しく物に目がなかったので」
刈穂には月に一度、露店市場が開かれる。露店市には県外からも露店商が参加するので珍しい物が見れると思いデートに組み込んだのだ。彼女達は露店市が刈穂で毎月開かれるのは知っていたが一度も来たことがなかったらしく興味深そうに露店の商品を眺めていた。
「あっ!理子!留美!征男!これ可愛いよ!」
とある露店の商品を見ていた薫が俺達を手招きして呼ぶ。
「ホントだ、太陽をモチーフにしたネックレスだね。あ、こっちの三日月のネックレスも良いよ」
「ほんとだぁ〜可愛い!」
「私はこの星のネックレスがいいですね」
「「可愛いッ!」」
三人ではしゃぐ女子達、露店に並べられている商品を見る。様々な商品が御座の上に並べられているが一際異彩を放つのは太陽・三日月・星をあしらった3つのネックレスだった。これか、三人が可愛いとはしゃいでいたのは……ふむ、可愛いかどうかは、ともかくかなり精巧な作りをしている。
「いや〜お嬢さん方お目が高いっ!こちらの三点は当店のイチオシ商品なんですよ」
露店の店主だろうか?御座に胡座をかいていた中年の男が声を掛けてきた。短パンに派手な柄シャツという年齢に反比例した服装で少し怪しい。
「すみません。連れの者ですが、これはいくらですか?」
彼女達の前に出て俺は店主に声を掛ける、流石にないと思うがこの店主がふっかけてくる可能性が合ったからだ。
「おお、お連れさんですか!こちら三点どれも材料は安い物を使っておりますが腕の良い職人が時間を掛けて作っておりますので………これくらいになりますな」
値段を聞き顔を青ざめる三人、俺からしたらいや普通に働いている成人なら大した金額では無いのだが普通の中学生からしたら月の小遣いがぶっ飛ぶような金額だ。
「あ、あははは……わ、私にはちょっと無理かな……」
「うん、私もこれは……」
「ですね………」
さっきまで楽しそうに話していた三人が嘘のように落ち込み首をガックリ落とし店から離れた。露店商がぼったくっていたのなら俺も文句を言っていたがネックレスの精巧な加工からあの金額は妥当なのでこれは仕方ない。
「そういう訳で店主……此れにて」
俺も彼女達を追うために店から離れるその時、店主に目で合図をしたが気付いてくれただろうか?
「はい、またの来店お待ちしております」
ニヤリと笑いながら返事をする店主、どうやら合図の意味がわかったようだ―――――
その後、様々な露店を見て回るうちに三人は明るさを取り戻し終始笑顔だった。ちなみに今は日が傾いて来たので刈穂の公園のベンチに座り両親が迎えに来るまで時間を潰している
「いや〜〜今日は楽しかったなぁ、ありがと征男!」
「いえいえ、こちらこそ楽しませて貰いましたよ」
ニカッと笑いながら礼を言う薫に俺も笑顔で返す
「露店市なんて始めて見ましたので少し…興奮してしまいました」
「ハハハ、理子さんの普段見せない姿が見れてよかったです」
普段は見せない興奮した様子を見られて恥ずかしそうな理子は、俺の発言で顔を赤くする。
「征男君今日はありがとう。でも、私達の分の映画館のチケット代とかファミレスの食事代とか払ってくれて申し訳ないよ……」
「気にしないでください。こういう時は男が金を出すのが筋ですから」
奢って貰ったことに罪悪感を感じたのか申し訳なさそうにする留美に気にするなと返す。最近のカップルがデート代をどうしているのかは今まで彼女のいなかった俺は知らないがデートの時は男が金を払うのが当然と思う人間なのでデート代のことはあまり気にしていない(そもそもこの前売ったバイクの代金で懐は潤っているのでこれくらいの出費は問題ない)。
「それより皆さん、露店市場で何も買っていませんでしたが宜しかったのですか?」
俺の疑問に三人は顔を合わせて笑う。
「あははは、珍しい物は見れたけど別に買いたいほどの物は無かったからね」
「私は様々な物が見れただけで満足です」
「うん、私も二人と同意見だよ」
「そうですか……」
薫、理子、留美が口を揃えて言うが俺からしたらやはり昼間見たネックレスを気にしているように見えた。無理もないあのような精巧で美しいネックレス、おませな中学生いや成人の女性だって欲しがる筈だ。
「私も今日1日楽しく過ごす事が出来ました。ありがとうございます」
「ちょ、ちょっと征男!頭下げないでよ!楽しい思いしたのは、こっちもなんだからっ!」
「そうですよ、頭をお上げください征男様!」
「征男君のお陰で私達、楽しい思い出が出来たんだから頭を下げないで」
頭を下げた俺に慌てて頭を上げるように言う三人、だがこれは俺の本心だ。彼女達のお陰で俺は前世を含めても経験したことのない1日を過ごすことが出来た。戦場を駆け回り彼女も居なかった俺からしたら今日1日はとても新鮮だったのだ。そんな貴重な経験をさせてくれた彼女達には感謝仕切れない。
「ですが、この気持ちに偽りはありません。ですのでこれは私からの細やかなお礼です。受け取ってください」
そう言って彼女達に小さなプレゼント用の袋を一つずつ渡した。
「え、これって?」
「どうぞ、受け取ってください」
遠慮気味な三人に有無を言わさず、袋を受け取らせる。三人も観念したのか、袋を受け取って袋を開けて中身を見た。
「え!嘘!?……これって」
「これは……征男様!?」
「これって露店で売ってたネックレスだよね征男君?」
三人は中身を見て驚いている。無理もない、袋の中身はそれぞれ昼に彼女達が興味津々に見ていた太陽・三日月・星の形を象ったあのネックレスだからだ。
あの露店商を離れた後、彼女達と他の露店商を見回っていた時に俺は御手洗いに行くと偽り彼女達から離れ先の露店商に戻ったのだ。露店商は俺の意図に気付いていたのであのネックレスを売らずに態々プレゼント用の袋に入れて取っといてくれていた。勿論購入したさ、彼女達にプレゼントする為に………。
「ええ、今日の記念にと用意しました。ああ、受け取れないなんて言わないでくださいね、これは私の気持ちですので」
彼女達の事だから遠慮すると思ったので逃げ道を塞ぐ。彼女達も受け取れないと言おうとしたので俺に先手を打たれて戸惑っていたが欲しかったネックレスが貰えて嬉しかったのが戸惑命を表情と一緒に喜びの表情が同居していた。
「征男……ホントーにありがとう!今日のことは一生忘れないからね!」
「征男様このような高価な物をありがとうございます私も今日という日は忘れません」
「まさか、人生最初のデートでこんな嬉しいサプライズがあるとは思わなかったな……征男君ありがとう」
三人がそれぞれ俺に礼をする。三人ともオーバーだな。
「そんな感謝されるようなことはしてませんよ。それより私は三人がその後ネックレスを着けている姿が見たいですね」
せっかく買ってプレゼントしたんだネックレスを着けた彼女達の姿を見たいのが男というものだ。
「わかりました。早速着けてみますね」
「うん、せっかくのプレゼントだもん、征男君に見せないとね」
「だね!……でも、私ネックレス着けたことないんだけどな……」
ネックレスを着け始める三人しかし……
「ムムムム、つ、着けられない……」
普段から男ぽいっ格好をしており着飾ることをしなかった薫はネックレスを自力で着けれないようで手こずっていた。
「仕方ないですね……貸してください」
「え?ちょ、ちょっと征男!?」
「「………ッ!」」
俺は薫から太陽のネックレスを借りると慌てる彼女の背後に回りネックレスを着ける。
「出来ました。どうですか?薫さん」
「うっ、うん、あ、ありがとう……」
顔を真っ赤にしながら嬉しそうに首に着けたネックレスを眺める薫、うん似合っているな。
「ゆ、征男様!私にもお願いします!!」
「征男君私も着けれないからお願い出来るかな?」
まくし立てるように頼んでくる理子と落ち着いた口調でありながら前のめり気味の留美……あれ?君達さっき自力で着けてなかったかい?まあ、着けさせるけどさ……。
「ありがとうございます征男様」
「ありがとうね征男君」
頬を染めながらお礼を言う理子と留美、二人の首にはそれぞれ三日月と星のネックレスが飾られていた。
「うん、三人ともネックレスを着けてより一層美しくなりましたね、私には勿体ないくらいだ」
勿論お世辞ではない元の素材が良い彼女達がネックレスを着けたことにより可愛さが美しさに変化したのだ。
「う、美しい!?わ、私が?」
「そ、そんな……征男様、冗談が過ぎます」
「征男君にストレートに言われると恥ずかしいよ……」
三人ともさっきより顔を赤くし頭から煙を吹いた……スゲー漫画やアニメだけと思ったらまさか、リアルに見れるとは思わなんだ。
「私は率直に自分の意見を言っただけですよ……おっと、そろそろ迎えが来る頃です。皆さん行きましょう」
腕時計を見たらそろそろ迎えが来る時間だったのでベンチから立ち上がる。
「お待ちください征男様」
すると理子が立ち上がり俺を呼び止める。
「はいなんでしょう?」
「私達ばっかり征男様から色々貰って申し訳ないので今からお返しをしたいと思います」
頬を染めたままそういう理子
「いえ、お礼だとかお返しだとかそんなこと気にしなくてm「問答無用です!」えっ!?理子さn「チュッ」………!?」
「あああぁぁぁ!征男のファーストキスが!!」
「理子ちゃんが一番長くいたから当然だよ。それよりまさかここで奪ってくるとは思わなかったな」
驚く薫と冷静返す留美、彼女達の会話から解る通り俺は今理子とキスをしている。いや理子にファーストキスを奪われたというべきか?いきなりキスをされて俺は混乱した。別にディープなキスではない唇と唇が触れあうソフトなキスだったが前世含めてキスなんてしたことのない俺からしたらそれだけで十分混乱する。どれくらいキスをしたのだろうか?10秒20秒?混乱で時間の経過はわからなかったがやっと理子の唇が俺の唇から離れた。
「………り、理子さん、いきなり何を」
なんとか混乱を顔に出さないようにして理子に真意を問うたが
「先程のネックレスのお返しとして私のファーストキスを差し上げました。ご満足いただけましたか?」
微笑みながらそう返した理子は普段以上に色っぽく見えた。
「え、ええ、十分過ぎるくらいに……」
ヤバい、表情はなんとか誤魔化しているがさっきから心臓の高鳴りが凄いことになっている。精神年齢が20も30も違う少女のキスでここまでドギマギするとはまさか俺はロリコンだったのか?
ガシッ
心臓の高鳴りに戸惑っていたら薫に頬を両手でガッチリと押さえつけられてしまった。
「あ、あの薫さん、一体これは……」
「征男のファーストキスは理子に奪われちゃったけどセカンドは私のだかんね!」
そう言うなり俺に顔を近付けてくる薫、うせやろ……。
「なっ、まさか薫さんm「ブチュゥウウウ」むぅううっ!?」
「薫さん凄すぎます!」
「うわぁ………薫ちゃん情熱的♪」
ファーストキスを理子に奪われたと思ったら薫にセカンドキスまで奪われてしまった。しかも理子のキスが優しく触れあうものに対して薫のは力強く荒々しい唇と唇をぶつけ合うキスだった。
「プハァ、こ、これが私からのお、お返しだからな!どうだ!?征男ッ!」
顔をゆでダコのように真っ赤にしながらそう言う薫
「はい、情熱的キスありがとうございます」
「そ、そうか!それは良かった!」
嬉しそうな薫だが、数秒したら自分がやったことが後からわかったらしく『やっちゃたー私のファーストキス上げちゃったぁ〜』と顔を両手で隠しながら小声でぶつぶつ言っている。
キスをした後の理子のような色っぽさはなかったが、キス後仕草が普段の男勝りな薫からは考えられないような可愛いさで、保護欲を掻き立てられた。
「じゃあ次は、私の番だね♪征男君こっち向いて」
「あなたもですか?留美さん……」
「当然♪チュ♥️」
二度あることは三度ある……解りきっていたことである。俺のサードキスも奪われてしまった。前者二人とは違い留美のキスは強すぎず弱すぎない不思議な感じのキスだった。それにしても同じフレンチキスでもする相手によってここまで違うとは思わなかったな。
「ふふふ、本当は舌も入れたかったけど抜け駆けは流石に不味いから私のファーストキスだけで我慢してね♪」
小悪魔のような笑みを浮かべる留美。皆キスした後雰囲気変わり過ぎだろ………それともこれが普通なのか?
「ええ、もっと深いキスは今度の楽しみにしますよ………留美さん」
年下の女の子に翻弄されるのは癪だったのでお返しとばかりに俺は留美の耳元で囁く。
「ふぇ!?あ、うん!も、勿論だよ!」
ふふふ、小悪魔ぽくっ見せてもやはりウブな乙女に過ぎないな、俺が耳元で囁いたら顔を真っ赤にして狼狽える。
「ま、まあ、そんなことより皆もうこれで正式に征男君の彼女になれたね」
誤魔化す為に話を切り替える留美……って正式な彼女!?し、しまった!期間限定で付き合うことになったが彼女達のキスを受け止めたということは俺が正式に彼女達と付き合うと言ってるようなものだ。は、嵌められたっ!
「まあ、そういうことだからこれからも宜しく!征男!」
イタズラが成功した悪がきのような笑みの薫
「私からも宜しくお願いします。征男様」
理子もいつもの笑顔で俺にお辞儀する。
「嵌めちゃったみたいになったけどこれからも宜しくね、征男君♪」
イイ笑顔でそういう留美、やれやれ清楚なクラスのマドンナかと思ったらこんな小悪魔な面があるとは思わなかった……まあこれはこれでアリだけどさ。それになんやかんや今日のデートを通して俺も彼女達をいとおしく感じ始めている。俺が彼女達にふさわしい男だとは思えないが、彼女達が望むのなら俺はそれに答えるのみだ。
「はい、薫さん、理子さん、留美さん、こちらこそ宜しくお願いします」
こうして俺達四人の初デートが終わり、俺は正式に彼女達の彼氏になった。
次回は個別デート回です。最初の相手は活発娘の薫です。お楽しみに